結局最後まで。
あなたの心が分かりませんでした。
- その仮面に隠された本性は? -
あなたはいつも笑みを貼り付けて。
表情を変えるとしても、ちょっとむっとしたり。時折表情を消したり。
それぐらいで。
あなたは誰にも本心を明かさない。
あなたは誰にも本音を語らない。
あなたは誰に対しても仮面を付けて接してる。
…オレの前でぐらい、外してほしいんですが。
そう望むオレの心もあなたは知ってただろうに、聞き入れてはくれなかった。
ただいつもの笑みを浮かべて、はぐらかしていた。
あなたはいじわるだから。
もう、オレの願いぐらい叶えて下さいよ。
オレとあなたは、きっと長くは共にいられないのだから。
あなただって、そんなこと分かっていたはずでしょう?
ああ、もう。ほら。
オレ、死んじゃったじゃないですか。
―――結局最後まで。
あなたの心は分かりませんでした。
分からないまま、知らないまま。それでもオレはあなたの傍に。
誰もオレに気付かない。
あなたもオレに気付かない。
それでもオレは、あなたの傍に。
あなたはオレが死んでも、何でもないと言わんばかりに平然としていて。
ああ―――所詮、オレはあなたにとってその程度だったんですね。
知ってましたよ。
分かってました。
オレはあなたに思われていない。
そうでしょうとも。
ええ、構いませんよ。
それでもオレは、あなたが好きですから。
オレはあなたに着いていく。
オレはあなたの傍にいる。
あなたはやっぱり誰に対しても仮面を付けていて。
それが外れることはない。
あなたは誰ひとりとして胸の内を告げることなく。
いつもひとりで。
…余計なお世話だろうけど、心配してしまう。
触れられぬ手で、あなたにそっと腕を伸ばす。
するとあなたは。
「ん? …ああ、なんだ」
オレが見えないはずなのに。
「お前、まだいたのか」
オレの方を向いて。
「オレみたいな酷い奴、忘れちまえばいいのに」
真っ直ぐにオレを見て。
「相変わらず、馬鹿な奴だ」
オレと目が合って。
「ここまでオレを思う奴なんて、お前ぐらいなもんだな」
微笑んで。
「心配すんな。オレは大丈夫だ」
なんて言って。
ここには誰もいないのに。
ここにはリボーンさんしかいないのに。
ここには誰にも見えぬオレしかいないのに。
誰にも触れられぬはずの手が、あなたの手と重なる。
感触なんてないはずなのに、あたたかみを感じた気がした。
そんなに優しい眼差しなんて知らない。
そんなに優しい手なんて知らない。
そんなに甘い声なんて知らない。
だけどそれは、朽ちて誰にも知られぬオレに向けられたもので。
ああ―――これが、今のあなたが。
今まで仮面を付けて、隠していたあなたの本性。
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知り合って、好き合って、死んでしまったそのあとに。
―――あなたの心が、やっと見えた。