オレは初めて見る学園を見上げていた。
ここからオレの新生活が始まる…
学校は当たり前だが大きく、そして白かった。
訳あって、今までオレは学校というところに行く機会がなかった。
家庭教師がついていたので勉学には支障はないのだろうが、やはり少々寂しいところもあった。
なので、学校に行けるということはとても喜ばしいことであった。
しかもだ。
オレは学校をもう一瞥し、道を引き返した。学校は明日からだ。
オレが向かった先は大きなマンション。
今日からオレは一人暮らしだ。
過保護な親父を説得するには骨が折れたが、それだけの成果はあった。
さて、とオレは気合を入れる。
最初の仕事は荷物整理だ。
片付けが終わる頃には夕暮れになっていた。
額に浮かぶ汗を一拭いし、ふうと息を吐く。
そうだ。と思いついた。
お隣にご挨拶せねば。
引越し。ご近所周り。これ基本。というか憧れ。
オレの部屋は端っこだからお隣はひとつだけだった。
タオルと洗剤の入った箱を持ち、オレは隣室まで歩く。
チャイムを押し、相手の反応を窺う。
さて。家主は家内にいるだろうか。留守でないといいのだが。
暫くして、中からこちらへと近付いてくる気配を感じた。ドアが開かれる。
「誰だ?」
「あ、すいません、隣に引っ越してきたものですが―――」
現れた人はオレが通う学校の制服を来ていた。
(格好いい…)
オレは現れた人に見惚れていた。
胸がきゅんきゅんと鳴いている。
「ああ、わざわざすまない。並中の生徒か?」
「は、はい。明日から…あ、オレは獄寺隼人といって、」
「そうか。オレはリボーンだ。並中で生徒会長をしている。隣同士だし、何か分からない事があったら何でも聞くといい」
「はい…」
ドアが閉められ、オレはのぼせたときのように頭がぽや〜となっていた。ふらふらとした足取りで部屋に戻る。
「………」
リボーンさん…か……
生徒会長…格好いいなぁ…
顔が火照っているのが分かる。
オレはクッションに顔を埋めた。
翌日。オレは一緒に部屋を出たリボーンさんと一緒に登校出来た。夢のひと時だった。
クラスで自己紹介をし、席に座った。隣の関の人は沢田さんという優しそうな人だった。
話をすると、なんと沢田さんはリボーンさんと知り合いだった。世界は狭い。
そしてオレは現在生徒会が人員不足という話を聞き、即行生徒会員に応募したのは言うまでもない。
何の経験もなかったが、オレは副会長になれた。リボーンさんのサポート。嬉しい。
リボーンさんは聡明で、博識だった。オレも知識はあるものだと思っていたが、それを凌駕する程だった。
リボーンさんは常に正しく、平等だった。間違っていれば相手が教員でも平気で指摘し、正しければ少人数でも支持した。
リボーンさんは厳しく、一見怖い印象があるがその内には熱いものがあり、生徒からも人気があった。
オレはリボーンさんにますます惹き込まれていった。
オレは…リボーンさんが好きだ。
そう確信が持てるようになるまで、そんなに時間は掛からなかった。
しかし…これは叶う恋いだろうか。
リボーンさんは人気者だ。男子からはもちろん、女子からも。
既にもう付き合っている女性がいるかも知れない。心中の女性がいるかも知れない。たとえいなくてもライバルは多く、しかも噂では愛人が四人ほどいるという。
だけど…それでも。
(オレは…リボーンさんが好きだ……)
その偽りない気持ちに、ぽろりと涙がこぼれた。
告白しよう。
素直な気持ちで、そう思えた。
そして次の日。
オレはいつものように生徒会室でリボーンさんのサポートをしていた。
時刻は夕暮れ。もうじき帰る時間。オレはまだリボーンさんに告白出来ないでいる。
(なんて切り出そう…)
言おうとする度に緊張して、まるで違うことを言ってしまう。
「獄寺」
「は、はい!?」
「今日は具合が悪いのか? 調子が悪いように思えるが…」
「い、いえ…」
「そうか…まぁいい。今日はもう帰れ」
「え…っ」
「仕事も一区切り付いた。あとはオレ一人で平気だ。お前は早く帰ってゆっくり休め」
「え、あ…リボーンさん!!」
「なんだ?」
「あ…」
思わず呼んでしまったが、次の句が告げられない。
(言え、言うんだ…告白……!!)
頭では分かっているが、口が上手く動かない。
「獄寺…?」
リボーンさんがオレのすぐ前にいる。オレの名を読んでくれる。
リボーンさん…
「リボーンさん…あの…す、」
「す?」
「す…す、好きな方とか…いますか?」
「好きな奴? なんでだ?」
(オレの馬鹿ーーーーー!!!)
オレは心の中で絶叫した。
「え、ええと、リボーンさんにはいつもお世話になっているのでその方にプレゼントでも贈ってみたらどうかと…そのアドバイザーになれたら、と…」
「………」
(理由に無茶がありすぎだ馬鹿ーーーーー!!!)
オレは心の中で絶叫した。
リボーンさんは難しい顔で黙り込んでいる。
そして。
「いるにはいるが…」
「え……」
一瞬、時が止まった。
リボーンさん、今なんて…?
リボーンさん…今、いるって…好きな方が……いるって……
沢田さんが言うにはいないって言っていたのに…
沢田さんの、ばか……
「あ…あはは! そうなんですか! そうなんですね!! い、一体誰なんですか?」
「獄寺…」
「リボーンさんに思われるだなんて羨ましいです!! 幸せ者ですねその方は!!」
「獄寺、」
「もう想いは告げられたのですか!? まだだったら早いうちに告げないと―――」
「獄寺」
「はいっ」
「だから…お前だ、獄寺」
「え…?」
リボーンさんが、真っ直ぐにオレを見て言ってくる。
でもリボーンさん…今なんて…?
「オレが好きな奴は…お前だ、獄寺」
「リボーンさん…」
「でも、お前の言葉を聞く限り希望はなさそうだな。悪い。忘れてくれ、獄寺」
「いえ…いえ、リボーンさん…」
「獄寺?」
「オレ…オレも、オレも……リボーンさん、ひっく、オレも…リボーンさんのことが……」
「獄寺……」
「ひっく…ひっく……」
「泣くな。獄寺」
「ごめ、ごめんなさい、リボーンさん…でもオレ、嬉しくって……」
「獄寺…」
その日。
夕暮れの生徒会室で、オレとリボーンさんは口付けを交わし、恋人同士となった。
それからのオレの生活は、変わった。
朝はリボーンさんと登校し、学校では生徒会室でリボーンさんと会い、夕暮れはリボーンさんと共に帰る。
ここまではいつも通りだが、ここからが違う。
まず、お昼のお弁当はオレが作ることにした。
オレは今まで料理などしたことはなく、上手く出来なかったがリボーンさんは全部平らげてくれた。嬉しかった。
それに休みの日はいつも一緒にいるようになった。どちらかの部屋にいたり、買い物に行ったり、時には……遠出などしてデートしたりして。
夏は海に行った。山にも行った。秋はいちご狩りに行った。紅葉狩りにも行った。
冬は雪だるまを作った。雪うさぎも作った。春にはお弁当を作ってピクニックに行った。サイクリングにも行った。
他にも遊園地に行ったり、近くの小川で遊んだり、動物園に行ったり、図書館にも行ったりした。
楽しい時間だった。とっても。
だけどその時間は…あっという間に過ぎた。
オレとリボーンさんの学年は違う。
リボーンさんが卒業してしまう…
リボーンさんは卒業生代表で挨拶をした。生徒会長はオレが引き継いだ。
卒業式も終わり、オレは涙顔でリボーンさんを迎え入れた。
泣くなとリボーンさんは言う。だけれど涙は止まらない。リボーンさんと離れ離れになってしまう。
もう二度と会えなくなるわけじゃないとリボーンさんは言う。だけど会える時間は短くなってしまう。
「なんだ…その、ほら、あれだ」
「…?」
「お前が泣き止んで、立派にあと一年生徒会を勤め上げたら」
「勤め上げたら…?」
「お前さえよければ…だが、オレと暮らさないか?」
「リボーンさん…!!」
現金なもので、オレはすぐに泣き止み笑顔になった。そしてリボーンさんとの写真を沢田さんに撮ってもらった。
(一年…頑張って勤め上げてやる!!)
オレは意気込み、リボーンさんのいない生徒会を引き継いだ。
沢田さんも入ってくれて、それなりに充実した生活だった。
リボーンさんは変わらずオレの隣に住んでいて、お弁当はオレが作った。変わらず空になって帰ってくるお弁当箱が嬉しかった。
リボーンさんは時折生徒会の様子を聞いてきた。オレは生徒会であった武勇伝を語ったり相談事や悩み事を打ち明けたりした。
そうして、一年があっという間に過ぎた。
リボーンさんと暮らせる。
そのことに胸をときめかせていると…オレのところに一本の電話が入った。
実家からだった。
電話の内容は…戻って来いと。
家に、帰って来いと。そういう内容だった。
オレはすぐにリボーンさんに打ち明けた。
夜中、泣きながら訪れたオレにリボーンさんは驚きつつも迎えてくれた。あたたかいココアを出してくれ、ゆっくりと話を聞いてくれた。
「そうか…」
「はい…」
「お前は、どうしたいんだ?」
「戻りたくないです…リボーンさんと、もっとずっと……いたいです…」
「そうか。なら挨拶しないとな」
「え…?」
「娘さんをくださいってやつだ。まだ早いか?」
「え? え? …リボーンさん?」
「なんだ?」
「オレを…もらってくれるんですか?」
「そのつもりだが、お前は嫌か?」
オレはぶんぶんと首を横に降った。リボーンさんは笑った。
「なら、いいじゃないか」
オレはリボーンさんの言ってくれた言葉を何度も何度も反復して…ようやく意味を理解して、
「はい!」
と、笑顔で答えた。
「でも、オレの家系は少し複雑なんです…」
「そうか? でもオレもだ」
「そうなんですか?」
「ああ。ま、なんとかなるだろ」
「…そうですね」
リボーンさんがそういうと、なんでも叶うように思える。
オレは笑顔で答えた。
そして親父が来る当日を迎えた。
オレは緊張していたがリボーンさんが隣にいてくれたので心強かった。
そして親父が現れた。
「チャオー! 元気だったかい隼人ちゃん!! 三年も会えなくて寂しかったよー!!」
「親父…いや、白蘭。話がある」
「どーしたの改まって。隣の人は誰?」
「この人はリボーンさん。…オレの好きな人だ」
「な…!!」
オレは今までの経緯を白蘭に話した。白蘭は口をぱくぱくしながら聞いていた。
白蘭に話したあと、オレはリボーンさんにも話した。
自分の家系はマフィアであること。
ファミリーに火が飛び交ったのでオレは安全のために学校に通うことになったこと。
「今まで…黙っていてすいませんでした」
リボーンさんは黙って聞いていた。
「リボーンさん…こんなオレでも…もらってくれますか……?」
「獄寺…すまん…」
「リボーンさん…」
ああ、やっぱり一般人とマフィアでは付き合えないか…
いいんです…諦めます。やっぱり一般人とマフィアでは超えられない壁があるんですよね……
「その飛び火は…うちのファミリーのものだ」
「…は?」
驚いた。
リボーンさんもマフィア側の人間だった。
世界は狭い。
「そうだったんですか! オレがマフィアだから引いたとかそういうのではないのですね!!」
「ああ…それよりもすまない。うちのファミリーがお前のところを…」
「気にしないでください。そのおかげでリボーンさんと会えました」
「獄寺…」
「リボーンさん…」
「…ちょっとー…そこの二人ー」
「あ。白蘭。いたの」
「いたよ。それより僕、二人の関係認めないから!!」
「じゃあオレファミリー抜ける!!」
「もっと認めないよ!!」
「うるせぇ!! もうお前なんてファミリーじゃねぇ!!」
「逆勘当!?」
「ああ勘当だ!! オレは白蘭よりリボーンさんを取る!!」
「隼人ちゃんひどい!!」
「獄寺…いいのか?」
「はい! オレ、一生リボーンさんに着いていきます!!」
「ええい、隼人ちゃんは若気の至りで正常な判断が出来なくなってる!! こうなったら最終手段!!」
「!? 白蘭、なにを!!」
「隼人ちゃんの純情を奪った恨み!! 喰らえ、死ねーーーーー!!!」
「!! 白蘭!! やめろ!!」
白蘭はマシンガンでリボーンさんを撃った。
「ガッシ! ボカッ!」
リボーンさんは死んだ。リボーン(復活)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
───オレの名前は隼人。心に傷を負った女子学生。モテカワスリムで不幸体質の愛されマフィア♪
オレがつるんでるダチは寿司屋と部活をやってる山本、学校にナイショで
ボンゴレのボスをしている10代目。訳あって不良グループの頂点に立ってる雲雀。
ダチがいてもやっぱり学校はタイクツ。今日も山本とちょっとしたことで口喧嘩になった。
ガキ同士だとこんなこともあるからストレスが溜まるよな☆ そんな時オレは一人で繁華街を歩くことにしている。
がんばった自分へのご褒美ってやつ? 自分らしさの演出とも言うかな!
「あー腹立つ」・・。そんなことをつぶやきながらしつこい不良を軽くあしらう。
「テメーちょっとツラかせや」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
平和ボケした男は献上品をくれるけど薄っぺらくてキライだ。もっと等身大のオレを見て欲しい。
「おい・・。」・・・またか、とお嬢なオレは思った。シカトするつもりだったけど、
チラっと不良の男の顔を見た。
「・・!!」
・・・チガウ・・・今までの男とはなにかが決定的に違う。スピリチュアルな感覚がオレのカラダを
駆け巡った・・。「・・(渋い・・!! ・・これって運命・・?)」
男はリボーンさんだった。抗争に連れていかれて陽動作戦に入れられた。「ウオーやめろ!」ダイナマイトをきめた。
「ガッシ! ボカッ!」オレは死んだ。ジ・エンド・ザ・オブ・オレ(爆)
というわけでリクエスト「 先輩リボ後輩獄♀学パロ」
リクエストありがとうございました。