獄寺がオレに抱きつき、胸元に顔を埋める。


オレは獄寺に顔を寄せ、口付けを交わす。


「ん………リボーン、さん…」


甘く、蕩けるような獄寺の声。


そんな声をもっと聞きたくて、口を離せば獄寺から不満そうな声。


「リボーンさん…キス、もっと…もっと……」


その声に応えようと、オレは角度を変え何度も何度も獄寺にキスを降らせた。


キスは唇だけに留まらず、額に、頬に、耳に、首筋に。


そうしてお互いを昂ぶらせていると、不意に獄寺の姿が変わった。


大人の獄寺から、子供の獄寺へ。


獄寺は自身の場所が誰かの胸の中と知るやいなや身体を強ばらせ、おずおずとオレを見遣る。


「り…リボーン、さん…?」


「久しいな、獄寺」


そういえば10年前、少し乱れた獄寺が現れたことがあったか。


あの頃は一体誰とお楽しみ中だと思ったが…まさかオレ自身だったとは。


オレは獄寺を優しく抱きしめ、頬にそっと口付けする。


「え…えぇ!?」


「まあ、10年後はこういう関係になってるってことだ」


驚く獄寺に軽く説明すれば、獄寺の身体はますます硬直した。


オレは先程獄寺にされたように、獄寺の胸元に顔を埋める。


柔らかな感触に甘い香り。驚くほど安心出来る。


安らぎなどオレには不要と思っていたが…こうして味わってみると悪くないものだ。


手放すなど、考えつかないほどに。


そうこうしている内に5分が経過したのか獄寺の姿が元に戻る。子供の姿から、大人の姿に。


「ただいま戻りました」


「ああ、お帰り」


オレは獄寺に口付けをする。獄寺はオレに頬を寄せる。


「…知ってましたか? 先程の5分間で、オレはあなたに惚れたんですよ」


「そいつは知らなかったな」


「ええ。…いつも格好いいあなたが、オレに甘える姿が、愛らしくて」


「そいつは照れるな」


そういえば、告白はこいつからだったか。


オレも獄寺に頬ずりし返し、ベッドに押し倒す。


「…なら、責任取らないとな」


「…ええ、お願いします」


言って、笑って。オレはまた獄寺に口付けをするのだった。





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まだ二人の時間は始まったばかり。