オレは右に行くから、お前は左を回れ。


分かりました。





そんな会話をして別れて暫し。リボーンが待ち合わせ場所に着いたとき、そこには死体の山があった。


ところどころに散らばる四肢。爆発の後。どうやら獄寺の方が先に着いたらしい。


して、肝心の獄寺はどこだ。リボーンは当たりを見渡す。


辺りに動くものは何もない。獄寺も死体の仲間入りしてしまったのだろうか。


と、物陰に銀の髪が見えた。該当者は一人しかいない。リボーンはそちらへと向かう。


獄寺はいた。倒れていた。口からは血を出している。


死んでいるのか? リボーンは一瞬そう思ったがよく見てみると獄寺の胸元が緩やかに上下している。生きている。


だが怪我もしている。リボーンは獄寺に近付き、様子を見る。


見たところ、怪我をしているのは喉だ。喉仏が潰れている。声は出せるだろうか。


ともあれ、とリボーンは獄寺の傷の手当てを始めた。





獄寺が目を覚ますと、まず喉の違和感に気付いた。


続いて喉の奥に激痛。ざらつき。思わず顔をしかめる。


何が起きたのだっけ。よく覚えていない。少しずつ記憶を辿る。


今は、そう、任務の最中のはずだ。10代目の命に従い、リボーンと共にボンゴレを出て。


それから…


「起きたか」


降ってきた声で、全てを思い出した。


リボーンさん!


口を開けて。声を出そうとして喉に更に激痛。咽せようとしてさらに激痛。喉に手を当てまた激痛。混乱する。


「喋ろうとするな。喉が潰れてる。手当てはしたがあくまで応急処置だ」


………。


リボーンの声に状況を察する。思い出す。そういえばそうだった。


すいませんリボーンさん。


獄寺は身を起こしぺこりと頭を下げる。喉がズキズキと痛む。未熟な自分が歯がゆい。


「任務は続行出来そうか?」


出来ます。


リボーンの問い掛けに獄寺は目で答える。


「そうか。でもまぁ、あまりオレから離れるんじゃねーぞ。死なれたら困るからな」


リボーンさん! オレは…


「いいからオレの言うことを聞け。ただでさえあとでツナがうるさそうなんだ。これ以上なにかあってみろ。面倒くさい」


………。


獄寺としては一人で大丈夫だと言いたいところだが、敬愛する10代目の名前を出されては口を紡ぐしかない。そうだ、10代目はきっと心配するだろう。面目ない。


「分かったらオレに着いてこい。グズグズするな。とっとと終わらせてさっさと帰るぞ」


…はい。


これ以上迷惑を掛けるわけにはいかない。


せめてこれ以上は無様な真似を見せないようにいよう。


獄寺はリボーンの後に続いた。





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走って、撃って。少しでもあなたの役に。


リクエスト「リボーンさんと獄寺君の共同任務でどちらかが怪我」
リクエストありがとうございました。