- 前置き。若しくは前日談 -
オレには恋人がいる。
獄寺隼人。かわいい奴だ。
愛人とはまた違う。本命、という奴だ。
職業柄、そういうのは作らないつもりだったんだが…まぁ、何が起きるのが分からないのが人生だ。
だからこそ面白い。
…甘いことだ、世迷言だと言われるかもしれないが…
出来ることなら。あいつには長生きしてほしい。
オレよりも、長く長く。
オレには恋人がいる。
リボーンさん。…渋くて、格好良くて。なのに可愛らしい方。
オレなんかがあの人の隣にいれるなんて。畏れ多くて。でも嬉しくて。
こんな日が、毎日続けばと思う。
ずっとずっと、リボーンさんと一緒にいられればと願う。
だいすきなリボーンさん。
オレの前でだけ、目を瞑って眠るリボーンさん。
それだけのことが、どれだけオレに幸福を与えてくれているのか。理解していますか?
オレは眠るリボーンさんの唇に、そっと自分のそれを重ねて。
「…愛しています」
小さな声で。告白を。
僕には好きな人がいる。
獄寺隼人…と言っても、彼は既にお手付きだけど。
まぁ、相手の彼は僕が初めて面白いと思って。興味を持った人間だから別にいいけどね。
隼人も彼に夢中みたいだから。むしろ応援してあげてもいいかなとすら思う。
相手が彼じゃなく…沢田とか山本とか。果てはあのドクターとかだったら邪魔するけどね。
でも。彼ならいい。他の誰でもない彼なら。
ただ、そう思ってない奴もいるみたいだけど。
丁度僕のだいきらいな奴だから。徹底的に邪魔するけどね。
僕には想い人がいます。
麗しきその名は獄寺隼人。
彼は今呪われしアルコバレーノに囚われています。
嗚呼…嗚呼。赦せませんね。
だって隼人くんは僕の物なのに。
早く。手早く。素早く。
奪い返さないと。
待ってて下さいね隼人くん。
すぐに僕の隣に立たせて差し上げますから。
「獄寺。獄寺起きろ」
「…リボーンさん…? あれ、オレ寝て…?」
「ああ。ぐっすりだったぞ」
「そうですか…あはは。リボーンさんの寝顔につられてしまったようです」
「オレは最初から起きていたがな」
「え? 最初からって…」
「寝てなかったってことだ」
「………!! それって…!」
「さて、そろそろ出るぞ。今回の任務…気を抜くなよ」
「待って下さいリボーンさん!! 起きてたってことは…その、」
「ほら、さっさと行くぞ」
「リボーンさんてば!! …あ。リボーンさん帽子忘れてます!」
「あ? …構わん。任務が終わったら真っ先にお前の部屋に戻れば済む話だ。…さ、急ぐぞ。もう時間がない」
「あ…はい!!」
ぱたぱたと走る足音が遠くなって。彼の部屋に残されたのはヒットマンの帽子。
微かに開けられていた窓の風に吹かれて。ゆらゆらゆらゆら揺れていた。
それは平和な日常の一コマ。色褪せない平和な日々。
…それを、憎むように。怨むように。
輪廻を巡り続ける男が見ていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続きはこちら。(死にネタ)