この世界は、向こうから見れば真っ暗闇でしょうけれど。
それでもあえて二つに分けるとするならば、あなたは闇側で、オレは光側でしょうね。
- 交わる事のない関係 -
オレがあの方の護衛をしている頃、
あなたは人知れず闇の中に溶け込み。
オレが表で陽動をしている頃、
あなたは裏の要人を暗殺する。
オレたちは同じ世界にいながら交わらない。
オレが陽の下を歩けば、
あなたは月明かりに照らされて。
オレが昼の街中を進めば、
あなたは夜の路地を横切る。
オレたちは同じ道を歩みながら交わらない。
オレが立ち止まっても、
あなたは真っ直ぐ突き進み。
オレがあなたの前にいても、
あなたはオレに気付かなくて。
オレが死んでも、
あなたは変わりなく。
オレはため息一つ吐き、墓地に向かい自分に宛がわれた墓に背を付けて空を見る。
日が照っても身が焼けることはなく。
雨が降っても肌が濡れることはなく。
風が吹いても髪が揺れることはない。
オレは止まり、あなたは進む。
オレは終わり、あなたは続く。
だからオレとあなたの関係が交わる事は、もう起こりえない。
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いつか、一度くらいは……なんて思っていたけど、もう遅い。