未来はひとつじゃない。


オレが10年後までに死ぬ未来だってあるだろうし、生き延びる未来だってあるだろう。


そして、この未来は単に、オレが死ぬことが決定していた未来だった。


それだけ。





   - 未来視 -





だから、お前が気に病む必要も悲しむ必要もどこにもないんだぞ獄寺。


だから泣くな。


獄寺は涙を流しながらしきりにオレにごめんなさいと口を開いている。


…別にお前が謝る必要もないんだけどな。


オレの呪いを解くのだと張り切っていたお前。


だけれど、無理だった。


単にそれだけの話。


なのに、それだけのこともこいつは納得出来ないようで。未だなおオレに謝り続けている。


…オレにはもう、聞こえていないのに。



オレはもう、死んでいるのに。



獄寺はオレの遺体を抱きしめて泣いている。


…こら、気安く触んな。


なんて一言も言えやしねぇ。


…オレの世界に白みが射す。


獄寺の姿も、オレの遺体も。消える―――…





…と、いう夢を見た。


………。


よりにもよって獄寺と付き合うことになった翌日に見なくてもいいだろ…


変な予知夢じゃねぇだろうな。コレ。


やれやれ…


と、ため息を吐いた時。オレの携帯が震えた。



直感的に、嫌な予感がした。



だけれど取らないわけにもいかず。(取らなかったといって事態は変わらないしな)


飛び込んできたのは、報告。


それは淡々とした…事実。


昨日、オレに告白をしてきて。


「返事は明日、オレが帰って来てから頂きます」なんて言ったあと逃げるように去って行って。


そして今日。オレがイエスの返事をする予定だった。


…オレの恋人になる予定だった、獄寺が抗争の最中―――撃たれたと。



―――ああ、なんだ。


ここはそういう未来だったか。



頭のどこかでそう考える自分がいる。


オレが黙っていると、電話の向こうの奴が獄寺からの伝言だと言ってオレに更に言葉を紡ぐ。





「リボーンさん。ごめんなさい」





どっちにしろお前が謝るのかよ。





―――未来はひとつじゃない。


オレが10年後までに死ぬ未来だってあるだろうし、生き延びる未来だってあるだろう。


そして、この未来は単に、獄寺が死ぬことが決定していた未来だった。


それだけ。


だからオレが悲しむ必要だってない。


…だというのに。


この胸の中の、やるせなさはなんなのか。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…と、いう夢を見た。