たとえ何もかもを失ったとしても。


彼はその人についていく。





- 何もかも失っても俺はあなたについてゆく -





本来ならば、その思いは彼の敬愛する主にこそ持つべきなのだろうが。


彼は主ではなく、彼らの先生たる人物にその思いを持った。


彼は常にその人の傍にいて、隣で微笑む。


それが彼の日常で、生活で、幸せだった。



ある日、彼の腕が吹き飛んだ。



彼は一命を取り留めたが、腕は元には戻らなかった。


それでも彼は、その人の傍から離れない。


たとえ腕が吹き飛んだのが、その人のせいであったとしても。


彼はその人についていく。



ある日、彼の足が切り落とされた。



彼は高熱を出し苦しんだが、死の淵から生還した。


その後も彼は、その人の傍から離れない。


たとえ足が切り落とされたのが、その人に原因があったとしても。


彼はその人についていく。



ある日、彼の喉が潰された。



彼は血を吐きながら、声を永遠に失いながらも生き永らえた。


そんなことがあっても彼は、その人の傍から離れない。


たとえ喉を潰されたのが、その人と恋仲にあったからだとしても。


彼はその人についていく。





その後も彼は様々なものを失っていく。


耳は聞こえなくなり。


目は見えなくなり。


贓物は破壊され。


記憶を失い。


その命を散らしても。





未だに獄寺は、リボーンの傍から離れないでいる。





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何もかもを失っても、オレはあなたについていく。

…って、オレもしかして悪霊っぽいですか?