急に静かになり、愛しいあの人の声が聞こえた。


目を開ければ、声の通りに目の前にあの人がいてくれた。



リボーンさん。



そう、言うつもりだった。言いたかった。けれど二度潰された喉からは、もう声は出てくれなかった。



リボーンさんがオレの名を呼んでくれている。


それに応えたいのに、それだけが出来なかった。


リボーンさんは辛そうな顔をしていた。



…ああ、久し振りに見た、待ち望んだあなたの顔が、まさかこんな顔なんて。


あなたの頬に手をやって、オレは大丈夫ですと告げたかった。だけど手は動いてはくれなくて。でも代わりにリボーンさんがオレの手を握ってくれた。



リボーンさん。



何とか声が出てくれないものかと、声を出そうと試みる。だけどどうやっても口がぱくぱくと動くだけで。



「動くな、獄寺!」



怒鳴られた。内心、落ち込む。


動くなって。でもそんな。


今動かないで、いつ動けってんですか。


もう、動けなくなるのに。



リボーンさん。



どうにか、どうにか声は出ないものか。


一言だけでいいのに。


あなたに伝えたいことがあるのに。



けれど現実は無情なもので。


オレの潰れた喉からは、痛みしか出てきてくれない。



「――――――」



リボーンさん。


あなたに、告げたいことがありました。


あなたに、伝えたい言葉がありました。


それが出来ぬままオレが終わってしまうということは―――とても悲しくて。残念です。



ずっとあなたの手を掴んでいたいのに、オレの指の力が抜ける。


ずっとあなたを見ていたいのに。オレの目蓋が落ちていく。



ずっと聞いていたい、オレの名前を呼んでくれている、あなたの声が遠くなる。



―――はて、雨でも降っているのだろうか?


オレの頬に、雨粒のような何かが落ちて。


それを感じたのを最後に、オレの意識と腕が、力なく落ちて。



そしてそれが、二度と浮き上がることはなかった。





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ああ、もう。オレの根性なし。


リクエスト「拍手18代目続き」
リクエストありがとうございました。