こんこんとノックをされ、獄寺が扉を開けると赤い薔薇が飛び込んできた。獄寺の視界が赤く染まる。
「おはよう獄寺。今日も可愛いな」
「おはようございます、リボーンさん。何か用ですか?」
とりあえず差し出されたまま花束を受け取り、にっこり笑顔で獄寺はリボーンに尋ねる。
「用か…とりあえずお前の顔を見に来た」
「オレの顔ってわざわざ見に来るほど面白いですか?」
むにゅ、と獄寺は自分の頬を引っ張る。そんな顔も天然なところも可愛らしい、とリボーンは思う。
自分でも知らぬほど穏やかな顔をして獄寺を見つめるリボーン。獄寺は照れたように笑った。
「そんなに見つめられると、少し恥ずかしいですね」
「そうか? そりゃすまなかったな」
言いつつも見つめるのをやめようとしないリボーン。獄寺の顔が少し赤くなる。
「…リボーンさん、今日は確か、これから会議では?」
「そうだが、その前にお前に会っておきたくてな」
リボーンはさりげなく獄寺に流し目を送ったが獄寺は全然気付いてなかった。
「それに会議が終わったらそのまま任務に直行だしな」
「ああ、長期の任務に就くんでしたよね…お疲れさまです」
「そうなんだ。ダメツナに言われてな。暫くお前と会えなくなる…それが何より辛い」
「リボーンさんが弱気だなんて少し珍しいですね」
「お前に『頑張れ』と応援されたら頑張れるんだが」
「がんばってください、リボーンさん」
「ああ、がんばる」
腕捲りをしながら答えるリボーンを見て、獄寺は笑った。
「オレの応援なんかでいいんですか?」
「違うな。お前の応援だからいいんだ」
「はあ」
まったく意味が分かってない様子の獄寺。だがリボーンはそんなこと気にしない。
「さて、じゃあオレはもう行くな」
「ええ。リボーンさん、お気を付けて」
「ああ」
言って、リボーンは歩き出した。しかし数歩歩いたところでふいに止まって、
「そうだ、獄寺」
「はい?」
「愛しているぞ」
振り向きもせずに、言い放った。
リボーンの言葉を聞いて、獄寺は笑った。
「ええ、ついさっき姉貴にもまったく同じことを言われたばかりです」
ビアンキに先を越されたか…
と、リボーンはさり気に敗北を実感した。
「…ビアンキの愛してるとは、また違った意味の愛してるだ」
「そうなんですか?」
「ああ」
どうやら獄寺には分かりやすく言わないと伝わらないらしい。
「好きだ。恋愛感情として愛してる」
「リボーンさんってそういう冗談好きですよね」
「冗談なものか。オレは本気だ」
「嘘も好きですよね」
「嘘じゃない。本当だ」
埒があかない現状にいよいよ実力行使しかないかもしれない。そんなことを思いだしたリボーンだったが、行動に移る前に声を掛けられた。
「ああ、リボーンこんなところにいた! もー、何で会議室に来ないの。みんな待ってるって………なんで睨みつけるの」
「ダメツナ…お前には本当にがっかりだ」
「会って早々駄目出し!?」
「10代目、おはようございます」
「ああ、うん獄寺くんおはよう…」
何気なく朝の挨拶を交わすツナと獄寺だったが、そんな二人すら気に食わない人物が一人。リボーンである。
「ツナてめぇ。一体誰の許可を得て獄寺と話してやがる」
「獄寺くんと話すのに誰の許可が必要!?」
素で驚きショックを受けるツナだったが、あくまでリボーンは冷たい。
「失せろ」
「ひでぇ!! てか会議を遅刻してる人の台詞じゃないよそれ!!」
「うるさい」
「リボーンさん、そろそろ会議に行かれては…」
「お前がそういうのならば仕方無いな」
なにその切り替え。ツナは心の底からそう思った。
「はぁ…いつものことだからもう何も言わないけど、仕事に支障が出るようなことは控えてよね、リボーン…ほら、行くよ」
「獄寺…何かあったらすぐにオレに連絡してこい。すぐに助けに行くぞ」
ツナに首根っこをつかまれずるずると引きずられながらもリボーンは獄寺の目を真っ直ぐに見てそう言い放った。
「? ええ。オレの手じゃ負えないことがあったら相談させて頂きます」
やっぱりよく分かってない感じの獄寺に見送られながら、リボーンはようやっと会議に出席した。
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リボーンさんは今日も格好いいなあ。
リクエスト「攻めまくるリボ×天然獄」
リクエストありがとうございました。