さようなら。リボーンさん。
そう言い残して、あいつは消えた。
- 俺では駄目だったのか? -
以前から、あいつがどこか思いつめていることは知っていた。
何かで悩んでいることも。
けれど、聞かずともあいつから言ってくれると思っていた。
下手に先手を打って気持ちの整理が付く前に聞くよりも、あいつが落ち着いてから言い出してくれるのを待った方がいいと。
けれど。
あいつは。
その心の内を誰にも告げることなくこの世界から姿を消した。
この世界から。
あいつは、一度姿を消したのち死体で見つかった。
誰かに殺されたわけでもなく、事故死したわけでもなく、病死したわけでもなく。
自殺だった。
何がいけなかったのか。
どうしてこうなったのか。
何故止められなかったのか。
自問しても、答えられない。
オレはあいつの傍にいて。
オレはあいつが悩んでいると、知っていたのに。
手を伸ばせば、掴める距離にいたのに。
なのに。
オレはあいつに信用させることが出来ず。
オレはあいつに信じてもらうことが出来なかった。
あいつはその悩み。その思い。その心を誰にも打ち明けないまま、この世から姿を消した。
思考が輪のように回る。繰り返し、繰り返し。
どうしてと、どうすればと、何故と繰り返す。
何度も、何度も。
オレは答えの出ぬ問いを、いつまでも問い続け。
オレはひとりいってしまったお前のことを、ひとり考え続ける。
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「オレでは駄目だったのか?」
お前の墓石に問い掛けても、答えが返ってくることはない。