「てめー瓜…そこはオレの居場所だぞ」
「にょーん!!」
バチバチと見えない火花を散らせながら、一人と一匹との争いの幕が開く!!
- その胸の中に -
「にょうん」
事の始まりは、獄寺の筺から瓜が生まれたところからだ。
瓜は獄寺に懐いているのかいないのか、獄寺に爪を引っかけ暴れながらも最後には獄寺の頭やら胸の中やらに鎮座している。
…そこはつい先日までリボーンの居場所だったというのに!!
しかもただでさえ二人は修行中の身で二人っきりになる時間さえ少ないというのに!!
そのことを知ってか知らずか瓜は自由気ままに過ごし、獄寺の気を引いている。
この間だってそうだ。
そう…あれは瓜が迷子になったとかで獄寺がアジト内を捜索していたときだった。
たまたま出会ったリボーンに捜索協力を求め…一緒に探すということでリボーンは久方振りの獄寺の胸元に落ち着いた。
二手に分かれないのか、という無粋な突っ込みはこの際ご遠慮頂きたい。むしろ察して頂きたい。
リボーンさんは、獄寺くんにぎゅーされたかったんです!!
しかし。そうして瓜捜索に二人が足を踏み出したそのときだった!
「にょん!!」
今の今まで影も形も見えなかった瓜が唐突に現れ、獄寺に飛び込んできたのだ!
探していたパートナーが見つかり獄寺は安心してリボーンを降ろし…自分もまた瓜へと走る!
しかし。
「いってー!!!」
瓜は獄寺の伸ばしてきた腕に咬みつき引っ掻く。そして獄寺に生傷を大量に作らせる。
…なのに最終的には獄寺の胸元に収まっていた。
そこはさっきまでリボーンが享受していた場所だというのに。
「………」
リボーンは全ての思いを眼光に詰め込んで瓜を睨み付けた…が、流石というか、瓜はどこ吹く風と気にも止めなかった。
むしろぱたぱたと尻尾を揺らし、余裕のポーズだ。
憎たらしいぞあの野郎。
リボーンが瓜に殺意を抱いた瞬間であった。
…しかし。リボーンは知らなかった。
「…あーもう! コラ瓜! 大人しくしろッ!!」
「にょん!!」
自室に戻った獄寺は瓜を抱きしめる。小さな猫の身体がすっぽりと獄寺の胸元に納まっている。
…その小ささは、獄寺にある人物を思い出させて…
「あああ…やばい。やっぱり瓜を抱き締めた時の感覚と、リボーンさんをぎゅ―ってした時の感覚…似てるわ」
リボーンさん。と言いつつ獄寺は自分の炎で生み出した猫をむぎゅーとすりすりと抱き締める。ああこれぞ至福の時。
けれど身代わりを被っている瓜としてはたまったものではない。いつものように爪を立て、暴れて、鳴き喚く。
「にょーん! にょんにょん!!」
「だから暴れるなー!!」
獄寺は瓜に最愛のリボーンを重ね、瓜はリボーンのせいで獄寺に見てもらえず。リボーンは瓜がいるから獄寺に構ってもらえないと思っている。
嗚呼食い違いの擦れ違いの日々。そしてその思い違いは今日も軌道修正されないまま迷走を辿る。
(…今日こそあの猫鬼畜野郎に引導を下してくれる…)
「なー小僧。今日の修行はー?」
「イメトレでもしてろ。オレはちょっと出てくる」
(…また獄寺のところかなー…)
最初から獄寺を担当生徒にすればよかったのに。とか思いながら山本はイメトレを始めた。
まとめ。生徒の指導はちゃんとして下さい。先生。
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数十分後、リボーンは少ししょげながら帰ってきた。
辛口ムース様より頂いたリボ獄漫画が素敵過ぎたので書きました!!