某月某日某所の某スタジオ。
未来の大きなフラグとなる出来事はこのとき始まったといえる。

スタジオで撮られていた撮影は季節の番組改変時によくある特番。箸にも棒にもならない内容の薄いスペシャル番組であったがハヤトはこの日、珍しく撮影に参加していた。
本当なら・・・

「ハヤトには安売りさせたくないからこんな企画参加させたく無いんだけどねー」

などと所属プロダクション・ボンゴレ社長沢田綱吉の鶴の一声で破棄されてしまうのだがこの企画は運が良かったのか沢田氏の目に触れるより前に当の本人であるハヤトの目に触れてしまった。

「きゅーー!すごいです!!ハヤトは興味津々ですよー」

と勝手に社長のデスクの上に無防備に置かれていた台本に隼人が目を通してしまったのが運のつき。本人の強い願いとハヤトの無意識のおねだり目線ビームで会社の意向(というかツナの)に反して参加をすることになったのである。
ただ幸か不幸か。この企画に参加するのはハヤトだけではなかった。番組改編の企画番組によくある次のシーズンから始まるドラマの番宣として隣のライバル事務所から六道骸の名前が出演者の予定リストに入っていたのだ。

「クフフフ・・・僕もやる気は無かったのですがハヤトが出るというなら・・・」

微妙に乗り気では無い表情だったが骸は嬉しげなハヤトを見て参加を表明。ハヤトも以前より交流のある骸との共演とあってさらに番組への熱意をあげていた。さらにハヤトには嬉しいことがあった。それは六道骸同様、出演者予定リストに入っていた名前。

「きゅー!シャマルおじさまも出るんですか?」
「え?なに・・・ハヤト、随分とシャマルを馴れ馴れしく呼んでるみたいだけど・・・・?」
「だってシャマルおじさまはハヤトが小さい頃、良く遊んでくれてた人なんですよー」
「えええええええええええええええ!?」

ハヤトの一言でボンゴレオフィスは大きく揺れた。
ツナは信じられないと何度も叫びながら何故か目の前にいるリボーンに携帯をかけ、リボーンはそのツナからの電話を目の前で取りながら『とりあえず落ち付け馬鹿』と呟いていた。同じ番組への参加を伝えに来ていた骸は動揺からか意味不明な『クハクフ』などと言う笑いを新たに作り出し、表面上は落ち着いていると思われた雲雀はお茶を注ぎながらも溢れてることに気づかないままなみなみと注ぎ続ける。混乱に陥るボンゴレオフィス。渦中のハヤトはそんな上司とマネージャーにニコニコと笑みを浮かべながら『皆さん楽しそうで良いですねー』と呑気に呟いていた。



ハヤトが近所のおじさんのように呼んでいたシャマルという人物。それは世界的なレベルでの超有名な俳優であった。出演した映画がヒットを飛ばすこと数回。各国での女性との噂も多数。プライベートでのフリーダムっぷり。

「俺は二股をかけてるわけじゃない。皆が本命なんだ」

と悪びれもせずに有名女優との不倫が報じられたときもシャマルは普段の飄々とした態度を崩さずに語ったのは世界の誰でも知っている話である。日本でも後に流行語となったコレは彼の知名度を上げると共に『自由な男』として人気も高めた。




まぁそんな大物俳優シャマル・・・であるわけだが、まさか日本のアイドルとこんなところで繋がりがあったとは。
リボーンも信じられないようで何度もハヤトに尋ねたがどうやら本当にあのシャマルと面識があるらしい。後に確認のためにハヤトの姉であるビアンキに電話したところ『父親の友達のいとこの弟の嫁の姉の旦那の友達の友達がシャマル』という細くも太い繋がりも聞き出せた。

「はう〜・・・シャマルおじさまにあえるなんて楽しみですー。ハヤトのこと覚えてるでしょうか・・・」

頬を赤く染めながら台本の名前をなぞるハヤト。しかし、とツナを始めリボーンたちは考えた。世界のシャマルが日本のこんな安っぽい企画番組に出るわけが、無いと。ハヤトや骸のレベルの芸能人が出ること自体珍しい企画である。それに世界的な俳優が出るわけが無い。有り得ない。楽しみにしているハヤトに悪いがハヤトを除く一同はそんな事を考えていた。


けれど・・・そんな一同の思案をよそに話はどんどん大きくなっていく。なんとシャマルが番組に出演することが決定したのだ。

「嘘だろ・・・」
「リボーンもそう思う?俺も最初は冗談だと思ったんだけどね。さっきプロデューサーから電話があってね・・・正式に出演が決定したって」
「世界的な大物・・・だよな、相手は」
「そうなんだけどさ。なんか向こうが『獄寺ハヤトが出るなら喜んで』ってノリノリらしいよ」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・黙んないでよ。俺だってここまで大きな企画になると思わなかったんだから」

けれど二人は心の中で呟く。“世界はハヤトを中心に回ってるんではないか”と。
そのハヤト本人はなにも知らずに二人の目の前で雲雀手作りのお菓子をハムスターのようにほっぺを膨らませながら食べ続けていた。この可愛らしい天然箱入りアイドル。彼女を中心に番組『どっきり☆芸能人の本音を暴露!?あの人の本音やプライベートが暴かれちゃう!ドキドキ催眠術でSHOW』は始まろうとしていた。




そして撮影当日のお話。撮影から一時間経った頃、マネージャーであるリボーンと撮影に付き添っていた雲雀は早くもこの番組への参加を後悔していた。本人達は出れないので見守るのはセット裏からだが、そこから見える光景・・・にどうしたものかと頭を抱える。

「しゃーましゃま?」

幼い口調で指をしゃぶりながらシャマルに詰め寄るのはハヤト。それを笑顔で必死に止めようとしているのは出演者の一人である骸。

「ハヤト、正気に戻ってください!」
「あーうー?おにいちゃん、だぁれ??」
「おにいちゃん!クハァ!なんて魅力的な響きでしょう・・・って悶えている番組ではありません!!」
「うー!しゃましゃまーーあそぼー」

骸に押さえられながら手足をばたばたと動かすハヤト。ジタバタと動き暴れる姿は小動物のようで可愛いが同時に危なっかしい姿にも見える。

「しゃーまーしゃーまーーー」

ぐすり、と目じりにとうとう涙までため始めたハヤト。骸もその様子に気づきぎょっと体を思わず離す。その瞬間・・・信じられない速さでハヤトは腕から抜き出ると、他の出演者達から離れてVIP席に座っていたシャマルの元へ駆けて行き・・・そして無邪気にその胸に抱きついた。

「しゃましゃまー!」
「ハヤト・・・?」
「あそぼー!あそぼっ!!」
「たっくお前は本当にしょうがねーな。じゃあお姫様のリクエストにお答えして遊ぶか」
「きゅー!あそぼー」

ぎゅむっとコアラのように抱きつくハヤト。シャマルは苦笑いを浮かべながらも何処か嬉しそうにその体を抱きしめ返す。感動的な再会。しかし・・・マネージャーであるリボーンは気が気ではなかった。

「雲雀・・・」
「分かってる」

目と目で頷きあうと雲雀は無表情でセットを破壊した。それと同時にスタジオに駆け込むとリボーンはすばやくハヤトをシャマルから引き剥がす。

「うーーー!!やぁああ!!しゃましゃまーー!!」
「こら、あばれるなハヤト!」
「おじちゃん、やぁなのー!しゃましゃまーー」
「おじ・・・いいから離れるぞ!骸、後は頼んだ」
「え・・・ええええ!!!???僕に何を!!??」

どさくさにまぎれて骸に全てを任せるとリボーンは泣いて暴れるハヤトを抱え込みスタジオを飛び出す。扉の外では一足先に車を用意していたツナの姿。

「リボーン!早く」

ツナの声に答えるように車に飛び込むとリボーンとハヤト。その間、場を誤魔化すため骸が突如始めたサンバにスタジオのスタッフ達が目を取られている間に隼人達は一路ボンゴレ事務所へと車を走らせらせた。



その夜。泣き疲れたハヤトは小さな寝息を立てながらソファで眠りについていた。小さく体を丸め、仮眠用の毛布に身を包むハヤト。癒される姿だがそれを取り囲むリボーン、ツナ、雲雀・・・そして何とか理由をつけてスタジオから逃げてきた骸の心は晴れなかった。

「何がどうなったわけ?」

現場に居合わせず、ただ一言『緊急事態だ』とだけ告げられたツナはわけがわからず一同を見合す。

「それは・・・」
「僕の口からは・・・」
「説明・・・しがたいです」

一様に表情は暗い。しかし語らないわけにはいかない。けれど言葉より先に出るのはため息ばかり。
要領も事情も飲み込めないままのツナからも同様にため息しか出ない。

「何なのさ・・・一体」
「事情が知りたいなら俺が教えるぜ」

その声にはっと顔を上げるリボーン。まさか・・・と思いながら声のする扉のほうへ顔をやると、そこには何故かシャマルが立っていた。

「ななななななんで貴方がいるんですか!?」
「可愛いハヤトとあんな形で別れたとあっちゃあ心残りでしょうがねーだろ。だからわざわざこの俺がこんなヤローしかいない事務所までわざわざ来てやったっんだろうが」
「はぁ・・・そうですか」

素直に大物の訪問を喜べない表情のツナ。けれど相手の機嫌を損ねるわけにもいかず雲雀に茶菓子の用意を頼むと、一同はハヤトを起こさないように隣の会議室へと移動する。

「で、改めて聞きます。すみませんがハヤトに何があったか教えていただけませんか」

真剣な顔のツナ。そして雲雀が茶を配ると同時にシャマルの口から暴かれた衝撃の事実。

「あれは・・・そう思い出すこと撮影が開始して40分くらいのことか」


似非催眠術師の登場。それが悲劇の始まりだった。


『はい、じゃあこの五円玉見てくださいね』
『はーい』
『じゃあ貴方はどんどん体が温かくなっていきますよー』
『きゅー』
『きもちよーい気分になってきましたか』
『きゅ・・・きもち・・・いいです』
『安心できる気分ですねー。ふわふわですね』
『です・・・きゅ・・・』
『だーんだん・・・まわりの音が小さくなっていきますよー』
『・・・・・きゅ・・・・』
『ゆらゆら〜気持ちが良い、ここはお母さんのお腹の中です』
『・・・・ゆ・・・きゅ・・・』
『はい、貴方はもうすぐ生まれますよー』
『・・・・きゅ・・・きゅ・・・・』
『はい!生まれた!』
『おーぎゃーー!!』

とそんな感じでハヤトは胡散臭い催眠術にかけられてしまった。単純明快。しかしそれゆえに子供だましかと思われたが面白いくらいに単純なハヤトは見事に引っかかってくれた。
そして暫くして・・・。

『はい、貴方はすこし成長しました。いまは3歳くらいです』
『きゅー・・はやと、しゃんしゃい』
『そうですね。3歳ですね』
『・・・ひっく・・・ここどこぉ?』
『ここは・・・ってええ!?泣かないでください!』
『おねえちゃんは?パパはママは・・・うぇええええええええんんんんん!!!』
『わ!おちついて、ね?ね?』

催眠術師も素人同然だったのだろう。突然のハヤトの変化に戸惑いながらも何とか泣き止ませようとする。しかし3歳の子供に怪しいスタジオも奇抜な格好の催眠術師も全てが恐ろしく見え泣き止むことは無かった。そんな中、ハヤトが見つけたのは催眠術師達のようすを見ていた出演者達。そしてその一人、シャマルに目を留めた瞬間泣き続けていたハヤトの顔に笑顔が生まれた。

『しゃましゃまーーー!!』

幼いしぐさでシャマルに駆け寄ろうとするハヤト。それに気づき慌ててとめようとする骸。そしてパニックに陥ったスタジオの片隅で雲雀がツナに電話をかけ・・・今に至る。


「3つの頃って言えば俺がハヤトの家に何回か遊びに行ってた時期だからな。だから幼児化してもハヤトは俺が分かったんだろう」
「なるほど・・・じゃあ逆に最近知り合った人たちは認知できないわけか」

雲雀は先ほどの様子を思い出しながら納得したように頷く。しかし、そうなると・・・。

「ハヤト・・・リボーンのことおじさんって呼んでたね」

ピク。雲雀の言葉にリボーンが小さく反応した。

「3歳くらいの子供では大人は皆“おじさん・おばさん”ですからね。僕はまだ若いのでおにいちゃんでしたが」
「・・・・・・・何が言いたい」
「いえ、別に。お気になさらず」

慇懃無礼な骸の態度に腹を立てながらもショックが無いわけではないリボーンは小さく舌打ちをすると会話を強制的に止めた。話を聞いていたツナも雲雀もなんとなく目をそらす。まだ学生の骸ならまだしもツナ達は立派な社会人。分かっていてもその名称で呼ばれることは精神的なショックがあった。

「まぁそれはともかく、これからどうするんだ」

そんな一同を他所に髪をガシガシといじくりながら尋ねるシャマル。リボーンもその言葉に眉をひそめながら雲雀とツナに意見を求めた。

「とりあえずあのままのハヤトを放置しておくのは危険だ。仕事に出すのも無理だろう」
「それはそうだね。じゃあ明日以降の仕事はどうにか俺が手を回しておくよ」

ツナはそう言うと各方面への電話をかけに会議室を飛び出した。

「雲雀、お前は今回のプロデューサーに連絡して催眠術師とコンタクトを取れ」
「わかった。催眠術が解けない限りはどうしようもないからね」

雲雀もリボーンの言葉に頷くとツナの後を追って部屋を出る。
こうして会議室に残ったのはリボーン、骸、シャマルの三人。なんともいえない組み合わせだが、意外なことに最初に口を開き部屋を出たのはシャマルだった。

「じゃあな。俺は帰るぜ」
「・・・以外とあっさりしてるな」
「こう見えても忙しい身の上でね。明日にはまた別の国で仕事だ」
「腐っても大物ってことか」
「ふん。だから悔しいがハヤトのことはお前さんに任すぜ」

そういうとシャマルはリボーンに意味深な笑みを浮かべる。

「俺の可愛い子だ。泣かせたら容赦しねーぞ」

一瞬見えた、本気の顔。言葉の意味をリボーンはすぐに理解できなかったがシャマルの真剣な声に『分かった』と返すことしか出来なかった。シャマルはその言葉を聞くとまた普段のような気の抜けた笑みを浮かべひらひらと手を降りながら部屋を出る。

「あーあ。おじさん、寂しいね」

何処か哀愁漂うその言葉。シャマルはそれだけ言い残しボンゴレを後にした。

「で、」
「はい」
「お前は何時までここにいるんだ」

最後に残ったリボーンは隣にいる骸に思わず尋ねる。

「お前はボンゴレの人間じゃないだろ」
「ボンゴレの人間じゃないですがあのスタジオを収集させた僕の努力を労っていただいてもよろしんじゃないでしょうか」
「・・・・・お前は良くやった。さぁ隣の事務所に帰れ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

無表情かつ棒読み。そのあまりな態度に骸は乙女泣きをしながら静かに自分の事務所に帰っていく。そして静かになったボンゴレの事務所。ツナは先ほど他の事務所と今後の仕事の打ち合わせにいくと会社を出て行った。同時に雲雀も催眠術師の元へ行くとメールが入っていた。
つまり、今この事務所にいるのはリボーンとハヤトの二人きり。

「本当に・・・世界はお前を中心に回ってるな」

リボーンは苦笑気味に呟くとソファで眠るハヤトの方に布団をかけなおしてやった。その途端、ハヤトは気配を感じてか寝返りを打つとうっすらと瞳を開く。

「・・・きゅ・・・・」
「なんだ?まだ子供は寝てろ」
「・・・・こわいゆめ、みて・・・」
「は?」
「こわいから・・・て・・・にぎって・・・」

ハヤトはそう言うとリボーンの手を握り締めた。そしてそのまま眠りにつく。すーすーと静かなオフィスに響き渡る寝息。

「おい」
「きゅー・・・きゅーー・・・・」
「俺をこのままにする気か・・・」
「・・・・・きゅー・・・」

すやすやと安心しきった顔で眠るハヤト。リボーンもこのまま起す事もできずに仕方なく床に腰を下ろす。

「・・・・元に戻ったら覚悟しておけよ」

そういうとリボーンは不自然な姿勢のまま顔に帽子をかぶせ目を閉じた。






翌朝、携帯の振動で目を覚ましたりボーン。そこに書かれていた文字を見てリボーンは大きくため息をつく。

『差出人:雲雀
 本文:寝たら直るって』

雲雀らしい短い文章。しかしその内容の分かりやすさゆえに逆に憎憎しい。リボーンは乱暴に携帯を閉じると大きくため息をついた。そうすると隣で眠っていたハヤトもその音に気がつきゆっくりと目を覚ます。

「きゅ・・・きゅ・・・・きゅーーー!!」
「なんだ・・・」
「リボーンさん!?なんでハヤトの隣で寝てるんですか!?ってあれ、ハヤトはなんで会社で眠っているんですかーーー!?」
「はぁ・・・まぁ落ち着け」
「きゅーきゅーーー!?しかもハヤト・・・はう・・・リボーンさんと手を・・・手を・・・」
「いいから落ち着け」
「きゅ!」

叫ぶハヤトにリボーンは無表情でチョップを銜えると強制的に黙らせる。

「とりあえず・・・俺が誰か分かるんだな」
「はい???リボーンさんですよね???」

不思議そうに見上げてくるハヤトにリボーンは内心胸をなでおろす。どうやら元に戻ったようだ。そしてリボーンが何回か確認のためにハヤトと問答を繰り返しているとツナも疲れた顔をして事務所に帰ってきた。

「・・・・はぁ・・・結局徹夜だよ・・・っておはよう、リボーン。ハヤト」
「きゅー、おはようございます、社長!」
「おはよう、今日も元気だね・・・ってえええ!?なに、もう元に戻ってるの!?」

はい?と首をかしげるハヤトに自分の昨夜の苦労は何なのかと項垂れるツナ。しかし、とも考える。結果的になにも無いなら良いじゃないか。レッツポジティブシンキング。あははは人生前向きに。しかしそう切り替えようにもツナの心労は深かった。

「きゅー・・・???社長はどうしたんでしょうか」
「気にするな」
「きゅー?」
「そうだよ・・・気にしないで。あと、ハヤト・・・今日は休みだからゆっくり休んでおいで」
「きゅーーー!?お休み!?良いんですか、社長!!」
「構わないよ・・・もう今日は仕事ないし」
「ありがとうござます!」

急な休みに喜ぶハヤトは何度も何度も社長に頭を下げる。無邪気に喜ぶそのしぐさ。ささくれかけてたツナの心はそれに少しだけ癒された。

「きゅー!どうしましょう!お休みですって!!どうしましょうー、リボーンさんハヤトどうしましょう!」
「嬉しいのは分かるが落ち着け。・・・ったくお前は朝から落ち着かない奴だな」
「きゅー!」

ぴょんぴょんと撥ねながら喜ぶハヤト。それに呆れながらもリボーンも小さく微笑んだ。

「とりあえず良かったね、リボーン」
「まぁな。これで仕事も出来るしな・・・」
「そっちじゃなくて」
「・・・・なんだ?」
「おじさん、ってハヤトにもう呼ばれなくてすむんだよ」

クスリと笑うツナに手加減なしでチョップをくわえるリボーン。ハヤトはそんな二人を見てさらに笑みを深くする。

「お二人とも仲良しでよかったです」
「そう見てくれるのはハヤトだけだよ・・・」

涙目で訴えるツナ。そんなツナにさらにチョップをくわえるリボーン。そこにリボーンに任された仕事をおえ事務所に慌てて帰ってきた雲雀が加われば普段どおりのボンゴレ事務所の姿に戻る。

「ただいま・・・って、なにやってるのさ、君たち」
「たすけてください雲雀さん!リボーンがさっきからDVなんですよ!」
「いつ、ここが家庭内になった」
「イタ!そういう冗談が通じないところがおじさんなんだよ!おーじーさーん!!」
「・・・お前も大して年齢かわらねーだろうが」
「はぁ・・・まだそんなくだらない事で言いあってたの」
「雲雀さんも他人事みたいな顔してますけど貴方だって俺達の仲間ですよ!」
「・・・・・・・・・・・」
「イタ!雲雀さんまで酷いです!」
「今のはお前が悪い」
「君が悪いね」
「きゅきゅ♪なんか楽しいです」

「・・・・楽しんでるのはハヤトだけだよ」

「きゅ?」

3人のはもった声に首を傾げるハヤト。今日も世界は彼女を中心に回り続ける。クルクルクルクル何回も。



その後、幻の企画となった番組はフィルムごと何処かへと消失。都市伝説と成り果てた。
世界的なスターのシャマルの来日も特に何事も無いまま終わった・・・ということになり、全ては何事も無かったように過ぎていく。


世界はクルクル回る。けれど何処かでまたつながる。それは明日か来月か何年後か・・・。

「きゅー・・・シャマルおじさんに会いたかったです」
「・・・・しゃましゃまじゃないのか?」
「きゅ!なんでハヤトが小さいときにそう呼んでたの知ってるんですか???」

頬を赤く染め、恥ずかしげに顔を隠すハヤト。彼女の願いが叶い再会を果たすのは何時のことか。そしてその絆は意外な形でつながったりする。

でもそれはまた・・・別の物語。




そしてハヤトが久しぶりの休日にリボーンを連れまわしている頃、ボンゴレのオフィスでは・・・。

「・・・・なんか慌てて帰って来て損したかも」
「どうしたんですか、雲雀さん」
「どうしたもこうしたもないよ」

雲雀は上司であるツナにそういうと大きな欠伸をしてソファに横になった。

「リボーンに送ったメールにさ重要なこと書き忘れたから伝えようと思って急いできたのにハヤトがもう元に戻っちゃってたらから意味ないな、と思って」
「重要なこと?」
「うん。メールにはハヤトが寝たら治るって書いたんだけど本当はもう一つ重要な事があったんだよ」
「それって何なんですか?」

興味深げに聞いてくるツナに雲雀は携帯を開く。そして作成途中のメールを開くと・・・そのままツナの目に触れる前に削除した。

「君には教えない。絶対にこれをネタに遊ぶに決まってるから」
「え・・・えええ!?ずるいですよ雲雀さん!!」
「うるさい。僕だって複雑なんだ。とりあえず僕は寝る。邪魔したら噛み殺すよ」

雲雀はそう言うと目を閉じる。こうなると何をいっても無駄と判断したツナは釈然としないながらも渋々自分のディスクに戻った。一体、メールに書かれていた文章はなんだったのか。それが明かされるのは・・・すぐ先の話。



『送信先:リボーン
 本文:さっき焦って大事なこと言い忘れてたから修正。
     ハヤトの催眠術を解く方法は
     “大事な人に手をつないでもらった状態で寝たら治る”
     だって。彼女の姉にでも電話して頼んでみたら』



ハヤト本人がまだ気付いていないその思い。淡い思いが芽吹くその日まで全ては雲雀の胸の中に−。



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メイドさんに捧げます!ハヤトアイドルなのに完全にウサギ化してます!きゅーきゅー泣いてます。ていうかウサギハヤトと大差ないです;
すみません書き分けで来てなくって・・・。さらに後の重要キャラになるであろうしゃましゃまの出番と台詞が激しく少なくって・・・orz
こんな駄作ですがどおぞお納めくださいませwヒビキさんはこんなに書きにくいアイドル獄をかく熊さんを激しく尊敬&応援してますよv
ではしゃましゃまが出たところで続きを楽しみにしておりますv

きゃー! ご主人さまのアイドルハヤト来たー!!!
大丈夫☆ 熊さんとこのアイドルハヤトも滅茶苦茶きゅーきゅー鳴いちゃうから☆ むしろアイドルハヤトがうさぎハヤトです…ワオ。
まさかはじめて、しましょ★の裏にこんな話があったなんてね! 熊さんびっくり&激萌えしましたw きゃーんかぁいいよう☆
約束のシャマシャマが出たことで熊さん…夢の続きが書けるね。任せてご主人さま! この萌え…熊は受け継いでみせる!!
ではいつもながらも萌えをありがとうございましたv きゅーv