あなたがこの世界から消えて。


オレはあなたのことばかり考えるようになりました。





- 遠い想い -





あなたがこの世界から消えてから。


オレの胸はぽっかりと穴が空いたよう。


不思議ですね。


オレはあなたに、苦手意識を持っていたはずなのですが。


あなたのことは嫌いではなかったし、


あなたのことは尊敬してましたけど。


でも、それだけで。


まさかあなたがいなくなった程度で、こんなにも喪失感が湧くなんて。思いもよりませんでした。


もっと、淡白に。冷静に日々を過ごせると、本気で信じていました。


なのに、頭の中は何故だかあなたのことばかり。


何かあるたび、あなたならこうするだろう、こう言うだろうと思うばかり。


そうしてあなたの思考を追っていると、


そうしてあなたの思考を読んでいると、


今までは気付くことが出来なかった、あなたの優しさや気遣いが垣間見れて。


…その優しさや気遣いが、オレにも向けられていることを知って。


オレは、あなたのことは嫌いではありませんでしたけど、


オレは、あなたに嫌われていると思ってましたよ。


オレは、あなたのことは尊敬してましたけど、


オレは、あなたにどうでもいいと思われていると思ってましたよ。


なのに、それなのに。


そうではないと、そうなんだと、今初めて気付きました。


そのことに、あなたがいなくならなければ気付くことすら出来ないなんて、なんて愚か。


オレはあなたがいなくなってから、あなたに惹かれていきました。


遅すぎる思い。意味のない慕情。


ふと空を見上げて、人知れずため息を吐く。


―――こんなオレをあなたが見たら、あなたは何と言っただろう。





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この想いは遠いあなたに伝わらない。

この想いはどこの誰にも伝えない。