■(1)あさからおうちはにぎやかです■

ある日、ある時、ある所での話。
リボーンの家に一羽のうさぎがやってきました。
銀の毛並みと緑色の瞳の綺麗なうさぎです。
しかしある朝目覚めると、うさぎは銀の髪の幼いうさ耳少女になっていました。

このお話は我らがリボーンさん(2●才)と一羽の不思議なうさぎの物語です。


「きゅ・・すぴすぴ・・・」

「おい」

「きゅう〜・・・ん・・・きゅ・・・」

「おい」

「きゅゆ・・・きゅ〜・・・・」

「おい・・・三回呼んだんだからな」


少しキツメな言い方をしながら、リボーンはベッドの上で丸まっている布団に手をかけました。巨大な肉まんにも見えなくは無いその姿。真ん丸くまとまっている布団の一番上を無理やり剥がすと中にいる少女がベッドの上に転がりながら現れます。


「きゅ・・・きゅーーーーーーー!!!!!さささささ寒いですうううう!!!」


長いうさぎの耳をピンと立て、突然あてられた冷たい外気にプルプルと震える少女。よろよろと体を起こすと、生まれたての子馬のような頼りない動きでベッド脇で布団を持ち上げているリボーンの腰にぎゅっと抱きつきます。


「きゅ〜・・・あったかい・・・」

「おい」


少々呆れたように呟くと今度は持っていた布団を少女の上に落としました。


「きゅ!!真っ暗です!!ハヤト、目が見えなくなちゃったんですか!?」

「落ち着け・・・ほら」


布団の中から情けない声をあげているハヤトを引っ張り出すとリボーンは頭をポンポンと叩きながら落ち着かせます。


「きゅ〜・・きゅきゅうゆゆううう」

「俺の分かる言葉で話せ」

「うぅ・・・びっくりしたんです・・・」

「だろうな」


その思ってやったんだし。小さく付け足すとリボーンは昨日買った買い物袋の中から一組の服をだしてハヤトのいるベッドに投げました。ハヤトはきゅ?と首をかしげると不思議そうに洋服を見つめます。


「あれ・・・?昨日着てるのと違うんですか?」

「昨日着てたのは俺の服だろ。それに・・・いつまでもあんなみっともない格好をさせてられるか」

「きゅ〜・・・・ハヤトは昨日のお洋服も好きですけどね」


ファッションたるものの何かがよく理解してないハヤトには昨日のダボダボの服と、今日用意してもらった服の違いがよく分かってません。だってハヤトは昨日まで普通の一羽のうさぎだったんです。そんな少女に人間の洋服の良し悪しが分かるはずも無くリボーンはハヤトの見えないところでそっと溜め息をつきました。


「いいから着替えろ・・・ボタンの付け外しは昨日の夜教えただろ」

「あ、はい!ハヤト頑張って一人で着替えて見ます」


びしっと手を上げると何度も首を振るハヤト。渡された服を手に取りながら一生懸命ボタンを一つずつはずしていきます。


「ほら、そこは一段ずれてる」

「それはかぶるだけで良いんだ」

「ったく・・・後ろと前が逆になってるぞ」


「きゅ〜・・・・・・きゅ〜〜〜〜」


四苦八苦すること30分。なんとか手間取りながらもハヤトは一人で服を着替え、リボーンはその姿に満足そうに頷きました。ハヤトを連れて似合いそうな服を店員に頼んで包んでもらっただけに、用意した可愛らしい服はハヤトによく似合っています。最後にうさ耳を隠す大きめの帽子をかぶせれば何処から見てもいまどきの少女です。
・・・ただ首から覗く首輪を覗けば、ですが。


「うん、似合ってるぞ」

「きゅ!」


リボーンに褒めてもらい嬉しそうに鳴くハヤト。頬を赤らめるとベッドから飛び降りてリボーンに駆け寄りました。


「きゅきゅきゅ!!」

「あんまりはしゃぐな・・・近所迷惑だぞ」

「きゅ!ごめんなさい。でも嬉しいんです」


ニコニコと笑うとハヤトはリボーンの腕にしがみつきました。本当に嬉しくてたまらないといった様子です。


「ふふふふふ・・・・」

「嬉しいのは分かったから早くご飯食べろ。今日も出かけるぞ」

「はい!あ・・・それと」

「ん?どうした」

「ご挨拶がまだでした!ご主人様おはようございます!」


ぺこっと頭を下げる少女に、あぁっと納得するハヤト。言われてみれば朝の挨拶がまだでした。


「おはようハヤト」


一日の始まりは朝の挨拶から。まだ今日は始まったばかりです。

■(2)ぺっとしょっぷにきました■

ペットショップに通うこと2日目。
朝ごはんを早々に済ませたリボーンとハヤトはもう一度、ツナに会うためにペットショップを訪れました。ハヤトの正体を知るためにもう一度ツナに会いたいリボーン。
けれど店内から聞こえた声はツナのものではありません。


「いらっしゃい。何の用」

「・・・・・・・・・・・・・・・雲雀?」

「あれ、リボーン。こんな所でどうしたのさ」


店内から現れたのはリボーンの良く知る人物。同じマンションの隣室の住人であり、リボーンの会社で雑用のバイトをしている雲雀恭弥でした。
彼は私服の上から「ペットショップ・ボンゴレ」と刺繍の入ったエプロンを着てリボーンたちの前に現れます。エプロンをしているということはここの店員なのでしょう。けれど・・・。


「お前、それが接客の態度か?」

「別に知り合いだから良いじゃない。ちゃんと客が来たらそれ相当の態度はとってるよ」


腕を組みながら不機嫌そうに呟く雲雀にリボーンは口に出さずとも“それは有り得ない”と確信しました。なにせ同じ仕事場で手伝ってもらったことがあるリボーンはこの男が接客業に向かない人物だとよく知っています。媚びない性格に威圧的な態度。
リボーンとしては仕事をしている上で彼のその裏の無い性格は気に入っていましたが、逆にどんな相手でも引かない性格でもあるため敵も作りやすいのが雲雀という男です。何せ、上司であるはずのリボーンにもこんな口調なのですから・・・。
そんな雲雀が接客・・・しかもペットショップの店員。あまりなアンバランスさにリボーンは数回しかあったことの無いツナの懐の広さと無謀さを見た気がしました。


「それで何の用?それとも君じゃなくて後ろの子が客なの?」


雲雀はチラリと入り口に立つハヤトに目をやりましたが、ハヤトはびっくりしてプルプルと首を振ってリボーンの背中に隠れました。どうやら始めて会う雲雀に人見知りをしているようです。
思えば昨日、この店でクロームにあった時もハヤトはびっくりして後ろに隠れていたな・・・。人見知りの激しいハヤトを落ち着かせるために腕を握ってやりながらリボーンは雲雀との話を進めました。


「いや、客というか・・・ここの店長に用が会ったんだが」

「店長・・・あぁ、ツナね。彼なら今、外出中。商品の仕入れに手間取ってしばらく空けるって」

「いつ頃帰るかは聞いて無いか?」

「さぁ?僕も鍵貰ってるから時間になったら着て、時間になったら帰るだけだし。興味ないからいつ帰るとかも聞いてないよ」

「興味が無いって・・・」


店員なのにそれで良いのか。呆れながらリボ様が呟くと突然、雲雀のエプロンのポケットがもぞもぞと動き出しました。


「ひ、雲雀・・・なんだそのエプロン?」

「ご、ご主人様!!???何ですかあれ????」


リボーンの後ろから様子を伺うように見ていたハヤトが驚いて背中にしがみつきます。

もぞもぞもぞ・・・。その間もせわしなく動き続けるポケットの中身。
雲雀は驚く二人に苦笑すると掌をポケットの中に突っ込んで中身を取り出しました。

■(3)はむはひばりがだいすきです■

「うじゅーーーーーーーーーーーーーー」


今まで聞いたことの無いような奇声。
雲雀が掌に乗せて二人に見せたのは小さな毛玉。・・・もとい小さなジャンガリアンハムスターでした。


「な、なんだこれ?」

「ハムスター」

「見れば分かる!それが何でお前のエプロンに入ってるんだ」

「知らないよ。餌を入れ替えようとしたらこの子がケージから逃げ出してここに入り込んじゃったんだ」


僕だって迷惑してるんだよ。雲雀がそういうと、掌に乗っていたハムスターは雲雀の腕をたどってちょこちょこと頭の乗っかりました。


「うじゅー!」

「ちょ・・・そんな所乗らないでよ」


雲雀が手を延ばして掴もうとするとハムスターはひらりとかわして右へ左へと逃げます。腕から肩へ。肩から首、胸、背中。そして雲雀の体中を走り回り満足したのか自分からポケットに入り込むと、そのまま大人しくなりました。


「無理やり出そうとすると・・・こんな感じなわけ」

「そうか・・・随分と懐かれてるな」

「・・・あんまり嬉しくないけどね」


疲れたように肩を落とす雲雀に苦笑するリボーン。いつも仕事場では彼の余裕のある態度しか見た事が無いので珍しくってたまりません。


「いくら小さいハムスターでも警戒心があるらな。そこまで傍によってくるならソイツはお前の事が好きなんだろ」

「そうかな・・・けど別にこの子はここの商品で僕のペットのわけじゃないんだから」

「まぁそう言うな。コレを縁に飼ってみたらどうだ」


リボーンは冗談でそう言いましたが、それを聞いた雲雀は驚いたように目を見開きました。けど少し考え込むと首を振ってリボーンを睨みます。


「君も知ってるだろう。・・・僕は群れる草食動物が嫌いだ」

「・・・・そうだったな」

「ふん・・・」


雲雀が気を害したような態度を取ったとき、カランカランと入り口のベルが鳴りました。店内に響き渡る音に3人が振り向きます。


「いらっしゃ・・・い、って君か。また来たの?」

「にゃー」


店の扉を押して入ってきたのは首に白いリボンを結んだ黒猫。黒猫は慣れた手つきで店内に入ってくるとハヤトを見つけて足元に擦り寄ってきました。


「きゅ!」

「にゃー」


びっくりして体をこわばらせるハヤトの周りをくるりと回る黒猫。猫はハヤトの匂いをかいだりしながら何週か回った後、今度は雲雀に近寄って行きます。けれど近くまで寄ったその瞬間・・・雲雀のポケットで大人しくしていたハムスターがぴょんとポケットから飛び出しました。


「ううううじゅじゅじゅじゅーーーー」


ハムスターは慌てて雲雀の体をよじ登ると腕を伝って空のケージの中に自分から入っていきます。


「どうしたんだ?」

「あぁ・・・この子、クロームが苦手なんだよ。やっぱり鼠だからかな」


巣の中に隠れて小さくなくハムスター。さっきまでの元気な様子が嘘のように小さく丸まってしまっています。


「・・・ん、クローム?」

「昨日、あった人の名前もクロームでしたよね」


小さく尋ねるハヤトにリボーンも記憶をめぐらせます。たしか、昨日此処にきたときにあった少女もクロームという名前だった気が・・・。
何かの偶然か、はたまた・・・?気になったりボーンはクロームと呼ばれる黒猫を抱えている雲雀に尋ねました。


「なぁ雲雀。そのクロームってのはお前の知ってる猫なのか?」

「知ってるも何もクロームは僕達の・・・」


♪〜♪〜


雲雀の声をさえぎるように流れるメロディ。リボーンは雲雀に一言謝ると自分の胸から携帯電話を取り出しました。メールが一通。発信者は・・・。


「わりぃ、仕事だ」


リボーンはメールの内容を見ると短くそう言いハヤトの手を引いて店を出ようとしました。けれど雲雀はリボーンを意外な一言で引き止めます。


「ならこの子も一緒に連れてってよ」


雲雀がそう言いながら手渡してきたのはクローム。クロームは雲雀の腕からリボーンの腕でなく隣のハヤトの腕に飛び移ると「にゃあ」と一鳴きしました。


「仕事に行くのに、なんでこいつを連れて行くんだ・・・?」

「だってクロームは僕達の会社の社長の飼い猫だし」

「・・・・はぁ?」

「連れてけば骸が喜ぶよ」


じゃあね。それだけ言うと雲雀はリボーンたちを追い払うように手を振りました。カランと音を立てて閉まる扉。
リボーンは押し付けられた感じのあるクロームを見つめながらとりあえずハヤトと一緒に会社を目指して歩き始めました。

■(4)ごしゅじんさまのおしごとは?■


とことこと歩く2人と1匹(正しくは1人と1匹と一羽)。
ペットショップを出て直ぐにクロームを抱えるのに疲れたハヤトはクロームを地面に下ろしてしまいましたが猫は逃げることもなくハヤトの後を付いて歩いていました。ペットショップであったときもそうでしたが随分とハヤトに懐いているようです。
ハヤトは前を歩くご主人様を追いかけ、後ろからクロームがやってくるのを確認しながら何度も首を動かし歩きます。


とことことこ・・。


「そういえば・・・」

「どうした?」

「ハヤト、ご主人様の会社に行くの初めてです。ご主人様の仕事はなんですか?」


ふと浮かんだ疑問にハヤトは首を傾げました。思えばリボーンに飼われて数ヶ月。ハヤトはリボーンから仕事の話しも様子も聞いた事がありません。
まぁ先日までうさぎだったので当たり前といえば当たり前ですが・・・。


「あぁ・・・お前には話したことなかったな。俺はカメラマンの仕事をしている」

「かめら・・・まん?」

「そうだ。お前だってそのために俺が買ってきたんだぞ」

「きゅ!?そうだったんですか」


モデルに使う動物は「専門のプロダクションのペットじゃ嫌だ」というクライアントの意見の為にリボーンは突然ペットを飼うように会社から言われたのでした。条件が条件である以上嫌なら断れる仕事でしたし、リボーンにはそれだけの権限がありました。
けれどリボーンは強く“うさぎ”というモデルの存在に心惹かれたのです。気がつけばリボーンは仕事を承諾しており、数日後にはペットショップでハヤトを購入していたのでした。


「けどその依頼自体は相手の会社の倒産で無くなった訳だけどな。モデルのうさぎも人間になるなんて事にもなったからちょうどよかったが・・・」

「きゅ・・・ごめんなさい」

「謝ることじゃない。仕事がなくなったのは運が悪かっただけだし。うさぎを飼うのを決めたのは俺だ。人間になったことだってお前も不測の事態だったんだから・・・誰が悪いってことはない」

「・・・・・・ご主人様」

「なんだ」

「・・・・・・ハヤトはどんな形でもご主人様に飼われて幸せ者です。運がいい幸せなうさぎです。ハヤトは今、そう思いました」

「急になんだ・・・」


急に真面目な口調で言うハヤトに振り向いたりボーンは言葉を失いました。自分の後ろを付いてくる少女は今まで見せた幼い表情でなく、大人びた顔でリボーンを見つめながら淡々と口を開きます。


「ハヤトはご主人様に会う前にお姉ちゃんから色んな事を聞きました。ご主人様になる人の中にはペットを苛める人、飼ってもすぐ飽きて面倒を見ない人・・・捨てちゃう人がいるんだって。十代目は“そんな人の家には行かさないから安心して”って言ってくれたけど、ハヤトはずっとずっと怖かったんです。飼われても直ぐに捨てられたらどうしよう。気に入ってもらえなかったらどうしよう。一杯一杯考えてました」

「ハヤト・・・」

「けどご主人様はハヤトを捨てませんでした。たくさん可愛がってくれて・・・人間になってもこうして見捨てないでいてくれます。それはとても凄いことだと思うんです」


そこまで言うとハヤトはいつもの幼い表情に戻り笑顔を浮かべました。


「ハヤトはとても幸せなうさぎです」


輝くように顔を向け微笑むハヤト。リボーンは少女の精一杯の思いに胸の奥の温かさを感じました。


「にゃーーーー」


ぼーっと見詰め合った二人はクロームの鳴き声にはっと周りを見渡します。気がつけばそこはリボーンの会社の入り口。
クロームは数歩先の玄関に立つと二人を促すように何度も鳴いていました。
早く中に入れろ、と言わんがばかりに鳴き続けるクロームに我に返ったリボーンは慌てて玄関のガラス戸を押し開きます。そしてまだぼーっとしたままのハヤトを手を振りながら呼び寄せました。



「ほら、早く来い」

「あ、はい!」


まだぼんやり気味の頭を振り払って走り出すハヤト。そしてリボーンが背を向けるとその背中に小さく呟きます。



「だから・・・ハヤトもリボーンさんを幸せに出来るでしょうか?」


■(5)おしごとをけんがくしよう■

スタジオ・黒耀。国内でも5本の指に入る大企業黒耀グループが新企業として数年前に新しく設立したカメラスタジオがリボーンの仕事場でした。
周りのビルに比べてひけをとらない大きさと、内部の豪華さ。そして始めてみる撮影現場にハヤトは口をポカンとあけながらキョロキョロと見渡します。


「ほら、いつまで突っ立ってんるんだ。置いてくぞ」

にゃ」

「きゅ!置いていかないでくださいーー」


先を歩くリボーンとクロームにせかされるハヤト。すでに数歩先にいるリボーン達の姿を見て慌てて後を追いかけます。


「いいか、これから俺の仕事場に入るが余計なことはしゃべるなよ。あと、いつも見たいな俺の呼び方はするな。出来る限りおとなしくしてろよ」

「きゅきゅきゅ!わ、わかりました」

「はぁ・・・まぁ無理だと思ったら黙っとけ。黙っておけば上手く俺がフォローするから」

「kyきゅゆゆゆymhふぁうはあはははははははい!」


念を押され見るからに動揺する姿に苦笑しながらリボーンは自分の後ろにハヤトとクロームを隠すようにしてスタジオに入りました。今日はリボーン個人の打ち合わせだからそれほど人はいません。
リボーンはスタジオ内にいるスタッフの数を心の中で数えながら出来る限り怖がらせないようにハヤトを目立たないところに座らせます。人見知りの激しいハヤトだから数人のスタッフに囲まれただけでもパニックになると予想してのことです。
とりあえず人目に気付かれないように座らせることに成功しほっとするリボーン。


「あれ、来てたんですか?来たのなら声をかけてくれればよかったのに」


けれどほっとしたのもつかの間、突如後ろからかけられた声に体をこわばらせました。


「む、骸・・・?」

「はい?僕は六道骸ですが、今更どうしたんです?」


変な事を聞きますね。クスクスと笑いながらリボーンとハヤトを見つめる少年。ハヤトより少しだけ年が上に見える彼は六道骸。黒耀グループの御曹司であり、親の会社の一つであるこのスタジオにも何度も出入りして手伝いをしている高校生です。
骸は始めてみるハヤトを興味深そうに見ていましたがしばらくすると足元にちょこんと座っている黒猫を見つけて驚いた表情を浮かべます。


「クロームじゃないですか?」

「あぁ・・・来る途中、ペットショップであってな。雲雀が此処に来るなら連れてけ、と」

「そうですか、ありがとうございます。まったく、君はあのペットショップが本当に好きなんですね」

「にゃー」


困った仔です。複雑な笑みを口元に浮かべて骸が抱き上げるとクロームは嬉しそうに腕の中に丸まりました。にゃあ、と小さく鳴きながらゴロゴロと喉を鳴らして甘えます。骸はそんなクロームを優しく撫でながら改めてリボーンに尋ねました。


「さっきは随分焦っていたみたいですけどどうしたんですか?それにその子は・・・」

「あぁ・・・えっとコイツはハヤトって言って俺の親戚だ。こっちに遊びに来たって言うから色々連れていってやろうと思ったんだが俺が急な仕事で此処に来ることになったから一緒に連れてきたんだ。悪いがよろしく頼む」

「ははははハヤトです!よろしおくおえがいしますすすすす」

「くふふふ・・・そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。僕は骸といいます。クローム共々よろしくお願いしますね」


クロームを肩に乗せながら拍手を求める骸。ハヤトはフルフルと手を震わせながらその手に自分の掌を重ねました。


「よ、よろしくお願いします・・・」

「・・・うさぎ」

「きゅ?」


びっくりして手を離すハヤトに骸の呟きを聞いて目を見開くリボーン。骸はそんな二人を見て愉快そうに笑いかけながらハヤトの手をもう一度握りました。


「二人ともどうしてそんなに驚いているんですか?」

「い、いや・・お前・・・」

「ハヤト君はうさぎみたいに可愛いですね」

「きゅ??」

「そう言おうとしたら急に手を離すから僕が驚いてしまいましたよ」


僕のこと嫌いですか?眉をひそめて呟く姿に罪悪感を覚えたハヤトは首を左右へ何回も振りました。


「じゃあ・・・リボーンの仕事が終わるまで僕とちょっとお茶でも飲みながらお話でもしませんか?」

「きゅ!?」


突然の申し出にハヤトは助け舟を求めてリボーンのほうを見ました。リボーンも思いもしない展開に口を出そうとしますがそれより先に骸が口を開きます。


「いや・・ですか?ならしょうがないですね」


哀愁を帯びた言い方に陰のある表情。またも罪悪感を刺激されたハヤトは無意識に口を開いてしまいました。


「は、ハヤト・・・骸さんとお茶飲みます!」

「本当ですか?嫌なんじゃないですか本当は?」

「そんなことないです!ハヤトお茶のみたいです」


手をばたばたと振りながら骸の言葉を否定するハヤト。そして気がついたときには・・・リボーンのフォローが不可能なほど泥沼に入っていたのです。


「ハヤト・・・」


はぁ、と溜め息を作りボーンの声にハヤトはやっと我に返りました。困惑気味のリボーンと対照的にニコニコと笑顔を浮かべる骸。ハヤトも自分で気付いたときには全ては手をくれでした。


「じゃあお茶しましょうか。あ、リボーンは打ち合わせが終わってから迎えに来て下さいね。僕達は3階の休憩室にいますから」

「きゅきゅきゅ〜・・・・〜〜〜」


情けない声をあげながら骸に手を引かれスタジオを出るハヤト。その後姿を見ながらリボーンは自分のペットの単純さに頭を抱えて、はやく打ち合わせを終わらせるべくスタッフ達を集めるのでした。





全快から続いている獄うさぎです。今回はえらく中途半端なところで止めてしまいました。
そして続けて新キャラ登場; 人が増え、話がえらく長くなるのが獄うさぎの特徴です。

あはははは、本当にコレまとめきれるかな、かな?
裏設定とか伏線とかはりまくりですが回収はしていきたいと思ってます・・・いつかは!

では拍手有難うございましたー


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花ミドリ恋ワズライ のヒビキ様の所から強奪してしまいました☆
はぅーv きゅーきゅーなハヤト萌えー! ご主人様なリボ様に萌えー!
伏線が次々と張られていってますね!! 全てを回収出来る日は果たしてくるのか!!
ていうか朝の挨拶が本当ツボでどうしようですよ! 萌え! 平和な日常万歳!!

ではヒビキ様萌えきゅんな獄うさぎ続きをどうもありがとうございましたーv