オレはあなたを尊敬している。


それは確認するまでもない事実。





- 夢の狭間 -





目蓋を開けると、そこは見慣れた自分の部屋。


………。


ぼんやりとする思考。意識が定まらない。


夢を、見ていた気がする。


どんな夢か、思い出せないけど。


オレは暫し見ていた夢を思い出そうとするけど、やがて諦めてベッドから身を起こした。


身支度を整えて、中身の殆ど入ってない鞄を引っ提げて。


さあいざゆかん親愛なる10代目のところへ。





いつも通り10代目のお迎え。今日は珍しくあなたの姿もありました。


軽く挨拶。すぐに10代目と学校へ。


つまらない授業。退屈な授業。まったく、無駄な時間としか言い様がない。


…こんな眠くなる授業よりも。


あなたとの授業の方が、よっぽど面白い。


たとえあなたにとっては面白半分、暇潰し半分だったとしても。


その日の放課後、あなたの授業があって。大騒ぎして。


10代目はもう嫌だとか、ふざけるなよとか言ってましたけど。


でも、オレは楽しかったですよ。


本当に。


そうして緩やかに、目まぐるしく時間が過ぎ去って。


気付けば10年経っていました。


あなたの授業はあなたが楽しいだけに見えて、実はオレたちのためになっていて。


それに気付いた時、ああ、あなたはやっぱりすごいんだな、なんて今更のように思ったりして。


…リボーンさん。


言ったことはありませんでしたが、オレはあなたの隣に立ちたかった。


何故ならオレは、あなたを尊敬してたから。


ずっと前から。


あなたと対等になりたかった。


あなたと友になりたかった。


それはもう叶わないけど。


なんにしろ、無理だっただろうけど。


足の痛みに動きを止め、地面に縫い付けられたオレは絶好の的。


特に、こんな抗争の最中では。


銃弾が降り注がれる中、視界の中にあなたの姿が見えたような気がしたけれど。


それを確認する時間すらなく、オレの頭が弾け飛んだ。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どこかで、夢の狭間とかで見たことがあるような、そんな光景。