ふと、寝苦しくなって目が覚めた。


一体…なんだ……?


暗闇の中、目を凝らしてよく見てみた。


………?


闇に慣れてきた目でよく見てみた。


オレの眼前に、何故か眠る獄寺がいた。


もう、本当、オレのすぐ目の前、距離はまさに数センチというところに。



どういうことだ。



オレは固まった。


しかも、先ほどからどこか身体が動きづらいと思っていたらオレは獄寺にしっかりと抱きしめられていた。



つまりどういうことだ。



オレは混乱した。


夢か。夢オチか。それならいい。それならオレはこの素晴らしい理想の夢を心行くまで教授しよう。


だがこれは…夢というには余りにもリアルというか…



「…ん……」



獄寺が身動ぎする。



「リボーン、さん……」



寝言か、獄寺がオレの名を呼ぶ。


寝惚けてか、獄寺がオレを強く抱きしめた。



死ぬ。


殺される。


獄寺に。



その証拠にオレの理性の9割がこの数秒で死滅した。



オレがアルコバレーノでなければ死んでたぞ……


だが…このままではオレが死ぬのも時間の問題だな…



「…おい獄寺。起きろ」


「ん…」


「起きろって……おい」


「…ん……ふふ」


「何笑ってるんだお前…」


「…リボーン、さん……」


「ん?」


「…だいすき、です……」



死んだ。



完膚なきまでに叩き潰された。


もうなんで獄寺がオレを抱きしめて眠っているのかなんて、どうでもいい。


むしろ、もう、オレがアルコバレーノだということとか、呪われた身であることとか、それすらどうでもいい。


つーか、なんつーか、もう、生きるとか、死ぬとか、人生とか、それすらどうでもいい。



ただ、オレの目の前に獄寺がいる。


今のオレにとって重要なのは、それだけだ。



それ以外はどうでもいい。





「……ん? あれ…オレ、なんで……って、リボーンさん? リボーンさんなんで満ち足りた顔してるんですか!? リボーンさん!? リボーンさんー!?」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数時間前。


「10代目どうしましょう!!」

「え? 何どうしたの獄寺くん?」

「オレ…リボーンさんが大事にしていたコーヒーカップを割ってしまいました!!」

「よし獄寺くん、オレにいい考えがあるよ!!」



結果。


「…リボーンさんごめんなさい…オレ、リボーンさんが大事にしていたコーヒーカップ割ってしました……」

「ああ、なんだそんなことか。気にするな」

「…リボーンさん…なんてお優しい!!」