彼女を僕の傍に引き寄せる為には。


あの二人は邪魔者でしかなかった。


つまりは、それだけの話。





に映える程の白い狂気





   ある狂人の独白



彼女が僕に振り向かないのは、全部全部あの10代目のせい。


そしてあのヒットマンのせい。


彼女を助けたとか知らないけど。


彼女が憧れてるとか知らないけど。


それで彼女が僕に振り向かないなんて間違ってる!


居なければ良いんだ。


あいつらが居なければ、きっと彼女は僕に振り向いてくれる。


そうだ、そうに決まってるんだ。


ねぇねぇ、僕を見て。僕を見てよ獄寺隼人。


キミのことがだいすきなんだ。


待っててね。


直ぐに邪魔者は消し去ってあげるから。


あいつらが死んだら心優しいキミのこと、とても悲しむだろうね。


だけど大丈夫。


僕がキミを慰めてあげるから。


今キミは遠い地で別の任務に就いている。


けれどそれも今日まで。明日には戻ってくる。


…キミに最高の贈り物をしてあげるよ。


ボンゴレ10代目の穴だらけの亡骸と、黄色のアルコバレーノの生首をキミにあげよう。


そうしたら、きっとキミは―――



喜んでくれるよね?



さぁ、邪魔者なあいつらにさよならを言いに行こう。


僕達二人の愛の前に…死んでね?


バイバイ。僕の大っ嫌いな二人。





 同時刻 ある遠い地にて、ある姉妹の会話





「ねぇ」


「んー?」


「ツナとどこまで進んだの?」


「どこまでって?」


「キスとかしたのかって話」


「―――!!! げほ、な、何を突然・・・!」


「…その反応じゃあ手を繋いだことすらなさそうね…」


「あ、当たり前だろ! 何を言い出すんだよ姉貴!」


「…可哀想なツナ」


「???」


「じゃあ、リボーンとは?」


「リボーンさん?」


「リボーンとはどこまで…進んだのかしら?」


「だから…そういうのはないって。そもそもリボーンさんには姉気がいるだろ?」


「あら。あなたとだったらリボーンと3Pしても構わないわよ?」


「さんぴー?」


「…あなたにはまだ少し早かったかしら…」


「?」


「…ふぅ、あなたには本当浮ついた話はないのね。そういえばあの白い坊やとはどうなったのかしら?」


「ああ、白蘭?」


「随分とあなたに夢中みたいだけど…しつこいなら強く言って切り離さないと駄目よ? 付け上がるから」


「ははは…まぁ、確かにいきなり飛び掛られた時は驚いたな…」


「まぁ、そんなことしてきたの? …今度会ったら私が引導を渡してくれるわ」


「姉貴…目が怖いって。でも…うん。あいつ中々面白いよ?」


「あら。脈有り?」


「そんなんじゃねーって。でもまぁ…今度会ったら話しぐらい。しても良いかもな」


「恋の相談ならいつでも乗るから、安心してね。隼人」


「いや、だから……………まぁ、そのときはよろしくな」


「ええ。任せて」


「ああ。…さて、そろそろ飛行機乗ろうぜ姉貴。これに乗り過ごすと到着時間が大幅に遅れちまう」


「そうね。…ああ、早くリボーンに会いたいわ!」


「…あまりリボーンさんに迷惑掛けるなよ」


「あら。やきもち?」


「だから違うって…。でも、オレも早くリボーンさんに会いたいよ。10代目にも。そしてみんなに」


「白い坊やには?」


「―――当然! 会いたいさ! だから姉貴、早く帰ろうぜ!!」





ぱたぱたと走りながら、飛行場へと駆け込む獄寺隼人。その後ろを笑いながらビアンキがついていく。


この同時刻、ボンゴレでは無数の銃声が鳴り響いていることも知らずに二人は笑顔で。


獄寺隼人を待ち構える、白い狂気。



「早く帰っておいで? 僕の花嫁」



笑いながら明日を待つ白蘭の手には、誰かの生首。


その生首から、それがいつも身に付けていた黒い帽子が転がり落ちた。


赤い血溜まりの真ん中で、真っ赤になった白蘭は。いつまでも笑い続けていた。





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彼女が真相を知ったとき。その心はどうなってしまうのか。


ヒビキミトリ様へ捧げさせて頂きます。