ある日の悲劇
某月某日。天候は晴れ。
「………」
「………」
「えっと…獄寺くん?」
「あの…オレと貴方は誰でしょう…?」
ある日いきなり。獄寺くんの記憶が消えました。
ていうか帰ってきたら獄寺くんが遊びに来てて、そのときにはもう自分が誰だか分かってないようでした。
仕方がないので獄寺くんの質問に答えようと思います。
「えっと、オレは沢田綱吉でこの部屋の持ち主。キミは獄寺隼人くんで、オレの友達」
「沢田さん?」
「うん。でも獄寺くんはよくオレの事を10代目って呼んでた」
「なんで?」
「オレは時期ボンゴレ10代目だから」
「ボンゴレ?」
「ボンゴレって言うのはあるマフィアの名前」
「マフィア?」
「そう。獄寺くんはオレの右腕になることを夢見て。イタリアから日本に渡ってきたんだ」
「………」
「………」
「まっさかぁ」
うわ! 一般人の反応返された!!
でもまぁ普通そうか! いくら記憶喪失でもいきなりこんなこと言われても信じないよね!
ごめんごめん! オレの身の回りって少し常識から外れた人が多いからさ!
…でも、それが事実だった場合はどうすればいいんだろうね…
「えっと…何て言えばいいのか……」
「よーツナ! 遊びに来たぞー!」
ああ、ただでさえややこしいのに一波乱起こしそうなのが来たよ…
「…誰?」
「気にしないで獄寺くん。そして山本は今忙しいから速やかに出てって」
「ツナ酷ぇ!」
「…? やまもと…?」
「ん? どうした獄寺。そんな顔して。まるで記憶喪失者みたいだぞ?」
「………」
「あれ? なんでツナまで? まさかそうなのか?」
「残念ながら…」
「―――うわ、ベタ!」
うん、ベタで超すいません。
「オレのこと知ってるのか?」
「ああ、知ってるも何もオレとお前は切っても切れぬ関係というか…」
「へ?」
獄寺くんと山本って…そんなに深い関係だったっけ?
「そう、オレとお前の関係は恋人なんだ」
ちょい待てや。
「そうだったのか…」
え、今の話信じるの!?
「って駄目駄目獄寺くん! 信じないで! 嘘だから!」
「え? そうなのか?」
「ち…」
山本。あとで覚えてろ。
「…何してるの?」
そういう貴方こそどうしてこんな所にいるんですか雲雀さん。
貴方群れるのって嫌いなんでしょう? 一人で遊んでて下さいよもう!
「…誰?」
「獄寺くん近付ちゃ駄目だよ。この人は凶暴だから近付くと怪我するよ」
「そうなの!?」
「…なんだか酷い言われようなんだけど…何。キミ僕のこと忘れちゃったの?」
「えーと、悪い…」
「ふーん。じゃあ教えといてあげるけど。キミと僕は婚約してるんだよ」
だからまてや。
「な、なんだって!?」
「だから信じないで獄寺くん!!」
「実はもう籍も入れていて…」
「えぇ!?」
「ほら。これが証拠の書類」
ってうわ本当だ! なんか婚約届けに二人のサインが!!
「…まぁ、これは風紀の連中に作らせた偽造書類なんだけどね」
ややこしい真似しないで下さいっていうか偽造は犯罪ですよ雲雀さん。
「へぇ。どうやら本当に忘れちゃったみたいだね。何があったのさ」
「それがオレにも…」
「あー、オレが知ってるぞ」
「シャマル!」
「実は…」
「隼人!!」
って今度はビアンキ!? ああもうオレの部屋がどんどん大所帯に!!
「って駄目だビアンキ獄寺くん逃げてーって、あれ?」
「………誰?」
あれ? 獄寺くん無事?
そうか…記憶がないから反応もないんだ。
「隼人! お姉ちゃんよ!? 分かる!?」
「おねえ…ちゃん?」
―――きゅん!
あ、ビアンキが獄寺くんに魅了された。
「照れる隼人も可愛いけどこれはこれで超良い!!!」
「はれーっ」
ああ、獄寺くんがビアンキにぶんぶか振り回されてる…
「そうだ! お姉ちゃんの作ったお菓子でも食べながらお話しましょう!? それできっと思い出すわ!」
「は、はぁ…」
ああ、獄寺くん頷いちゃった。そしてビアンキに連れ去られちゃった…
「―――ってやばい! 早く連れ戻さないと!!」
「放っとけ。ボンゴレ坊主」
「シャマル!? でも…」
「記憶喪失ってのは、大体同じような衝撃を与えれば戻るもんだ」
「……へ? それって…」
「…隼人な。お前さんを待ってる間、ビアンキちゃんに捕まって無理矢理クッキーを……」
うわー…悲惨ー。
「――って、あれ? シャマルなんでそんなこと知ってるの?」
「ん? そらお前オレのモスキートの中に隼人の監視を兼ねてる奴もー…ん。げほげほ」
「へぇ…」
「…じゃっオレ帰るから隼人によろしくな!」
ガシッ
「ちょいまてや親父」
「…ふーん。あの子の監視、ね…」
「すこーしばっかり。付き合ってもらおうかな」
「いやいやあっはっは。オレは女の子と隼人以外の頼み事は聞かない主義だから残念だな」
「うん。まぁシャマルに拒否権はないから」
「おいおいボンゴレ坊主。何さらりと恐ろしいこと言ってるんだ」
「まぁまぁまぁまぁ」
「ちょ――」
そんなわけで。その日、並盛に盛大な悲鳴が上がったとか上がらなかったとか。
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しかしそれも仕方ない。だって獄寺くんのためだもの。
リクエスト「記憶喪失獄寺くん総奪戦」
摩癒様へ捧げさせて頂きます。
リクエストありがとうございました。