「獄ちゃーん!!」
「あん? 内藤…?」
「次の移動教室同じなんだよね! すっごい偶然! 一緒に行こー!!」
「同じクラスなんだから当たり前だろうが! 何馬鹿なこと言ってんだ!!」
「あ、なるほどー! 流石、頭良い! 獄ちゃんって勉強も出来るんだよね! ねぇどんな勉強方使ってんの?」
「うわ、何しやがる! 引っ付くな!!」
「まぁまぁそんな冷たいこと言わずにさ〜☆ 同じマフィア同士、仲良くしよーよ!」
「ふざけんな! ボンゴレとトマゾじゃえらい違いだろうが!! っていうか離れろ!!」
「あーもう、獄ちゃんってばやっぱ可愛いー! ねー、オレと付き合おうよー!!」
「はぁっ!? 何言って…」
「獄ちゃん、オレは本気だよ?」
「ちょ…っおいコラ!!」
ヒュンヒュンヒュンッ!!
「!?」
「……ありゃ。見つかっちった。じゃあ、続きはまた今度ね。獄ちゃんv」
「二度と来んな!! ……ったく、何だってんだ一体…」
「………」
「ああ、あんたか。内藤ならあっちに…」
「………」
「ん? ああ、さっきの風車が少しかすっただけだ。気にすんな」
「………」
「平気だって。それよりも、あの馬鹿追いかけなくていいのか?」
「………」
「オレは大丈夫だって。ほら、行けよ」
「…………」
―――ふ。
「っ!?」
たったったった。
「……あいつ」
笑った顔は、結構可愛いんだな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょっと得した気分。
「邪魔するぜー」
「隼人? どうした」
「眠みぃから寝に来た」
「なんだー? 夜更かしでもしたのか?」
「まぁな。ダイナマイトの手入れに少し手間取っちまって…」
「かー、何でお前はそう色気のないことに労力使ってるかねー」
「はぁ?」
「健全な中学生男児ならな、もっと若いが故の過ち的なことに無駄な体力使って……」
「あ、長い話はパスな。オレ眠いから」
「あ? おい、まだ話は……」
「………」
「…隼人? もう寝たのか?」
「………」
「ったく、寝付き方から既にガキだな…」
「………」
「…寝顔だけは昔のままだな……」
「………」
「隼人―――」
ドゴォッ!!
「っ!?」
「とうとう本性を現しやがったわねっこの変態保健医!!」
「いって…と、キミは隼人の同級生の……」
「あんたに名乗る名前はない! 死ね!!」
「っ!? ぎゃー!!」
+++
「ん…」
「起きた?」
「……黒川? そっか、保健委員だったけ…」
「そういうこと。そろそろ二限始まるけど…どうする?」
「出る…って、そういえばシャマルは?」
「知らない」
「……? 何で床が血で汚れてるんだ?」
「さぁ?」
「何か今、向こうのロッカーが揺れたような……」
「そんなことよりも獄寺」
「ん?」
「あんた、危機感無さすぎ」
「はぁ?」
「そんなんじゃ、いつか誰かに食べられちゃうわよ?」
「おい、何の話だ?」
「仕方ないわね…知っちゃったからには放ってはおけないし、学校内じゃ、あたしが守ってあげるわ」
「黒川? 聞こえているか?」
「じゃ、教室戻るわよ」
「あ……? ああ…」
その後、保健室内から血塗れのシャマルが発見されるのはまた別の話。
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さて、京子にも協力を仰ぎましょうかねー。
「獄寺氏ー!!」
「あ…? アホ牛…?」
「何してるんですか?」
「何って、散歩だよ、散歩」
「へぇー…一緒にいてもいいですか?」
「別に許可なんていらねぇだろ…好きにしろ」
「へへへー」
「…何ニヤニヤしてるんだよ……気持ちわりぃ」
「え? だって獄寺氏が傍にいるんですよ? 喜ぶなって言うのは酷ってものですよ!!」
「はぁ…? どんな理論だよそりゃ……」
「それに二人っきりですし!」
「……とりあえず、二人っきりじゃねぇけどな」
「え?」
「こいつもいる」
ペコ。
「イーピン! って何獄寺氏の肩に乗ってるんですか!!」
「―…! -…―・・-…!!」
「こらアホ牛! 何大人げねぇことしてんだ! 止めろ馬鹿!!」
「-…・・――・・!」
「ちょっ…お前ら!」
「もー我慢出来ない!! エレットゥリコ……」
「――…-・・―!!」
「こらー! 人の肩周辺で技使うなー!!」
――――――ずるっ
「え?」
「あ」
「―…!?」
「……っと、大丈夫か? イーピン」
「あー! いいないいなイーピン! 獄寺氏にお姫様抱っこされて!!」
「ああ? 落ちそうになったのを支えただけだろーが…って筒子時限超爆!? 何でっ!?」
――ぽんっ
「あれ? 何でゴクデラがイーピン抱きかかえてんの?」
「おお。丁度よかったアホ牛。こいつを頼む」
「え?」
「オレは逃げるから! じゃ!!」
イーピンが爆発したのは、その10秒後。
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イーピンが獄寺くんに落ちたのは、その10秒前。
「よお。スモーキンじゃねぇか」
「あん? …何だ跳ね馬か」
「何だはねぇんじゃねぇ?」
「うっせ。何か用かよ」
「いや。知った後ろ頭を見かけたから声を掛けただけ」
「暇人」
「…手厳しいなぁ」
「………」
「………」
「…で、何で着いてくるんだよ」
「暇人だから」
「―――――チッ」
「……なぁスモーキン」
「何だよ」
「キャッバローネに来るつもりはねぇか?」
「冗談」
「…オレは本気だぜ?」
「そこまでオレに執着する理由が分かんねぇな」
「…好きだから、じゃだめか?」
「それこそ冗談だ。笑えねぇな」
「……どうすれば、信じてもらえる?」
「はぁ?」
「オレのことを好きになれとは言わない…ただ、オレは本気でお前のことが好きだということを、信じてほしいんだ」
「……………」
「なぁ、どうすればいい?」
「……そーだな…じゃあ―――」
+++
「…何か用? ディーノ」
「ビアンキ…」
ガバッ
「っ!?」
「お、弟さんをオレに下さい!!」
「………」
「び、ビアンキ…?」
「あんたみたいなヘタレに私の可愛い隼人を任せられるわけないでしょーが!!」
「ぎゃー!!」
+++
「………まさか本当にやるとは。恐れ入ったぜ跳ね馬のディーノ」
でも……ま、そこまで覚悟を見せてくれたんだから、信じてやるかな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
にしても…あいつがオレをねえ……
「あれ? 獄寺くん?」
「10代目?」
「こんなとこで会うなんて珍しいね。どうしたの? オレはリボーンが頼んだ本を受け取りに来たんだけど」
「オレは……その、少しは自立しようと、料理の本を…」
「へぇーじゃあさ」
「…あら。二人ともどうしたの?」
「あ。母さん。ちょうどいいところに。ねぇ、獄寺くんが料理の勉強するんだって。母さんが教えてあげてよ」
「10代目?」
「ええ。もちろん大歓迎よ」
「え? でもそんな…」
「いいから! さ、早く帰らないとリボーンになんて言われるか…」
「さ、獄寺くん行きましょ?」
「あ…は、はい」
+++
「……それで獄寺くん」
「はい? 何でしょうお母様」
「どうしていきなり料理を?」
「えっ!? ……で、ですから、その…」
「……ツっくんに食べてもらいたいからじゃない?」
「―――っ!?」
「あら? 図星?」
「そ、その…このことは10代目には……」
「――内緒、ね。分かったわ。……それにしても、ツナは幸せものねー」
「――え?」
「こーんな可愛い子に、こんなにも想われてるんだから」
「か、可愛いって…その……」
「可愛いわよーもう。私があと10年若ければ絶対放っておかないわー」
「そんな、お母様は今でも十分お若いですよ!」
「あら! 嬉しいこと言ってくれるのねー!! そうだ! 獄寺くん今日はうちに泊まっていかない?」
「え?」
「うん、そうしましょう? ね、ね?」
「で、でもそんな、ご迷惑では……」
「何言ってるのよ! 全然迷惑じゃないんだから!! ね? おばさんの一生のお願い!」
「お、お母様頭を上げて下さい!! 分かりましたから!!」
「本当!? 嬉しいわー! ありがとー!!」
「わーっ!?」
「二人ともさっきから何話して…ってちょっと母さん! 何獄寺くんに抱きついてるのさ!!」
「あらツっくん。妬いてるの?」
「な…んなわけないだろ!!」
「そう。…そうだ。獄寺くん今日うちに泊まるからね?」
「……お邪魔します」
「あ、そうなんだ…急いで部屋片付けないと」
「その心配はないわよ?」
「え?」
「獄寺くんは私の部屋で一緒に寝るから」
「えぇーっ!?」
「お母様っ!?」
「うふふ、ツっくんに買ったけど大きすぎたパジャマが丁度あるのよ。きっと似合うわー」
「ちょ、勝手に話し進めんなよ! 獄寺くんはオレの部屋に泊まるの!!」
「え……え?」
「あら…じゃあ、今からうちまで駆けっこで先にゴールした人の部屋に泊まるのよ? じゃあスタート!!」
「あ! 母さんずるい!!」
「獄寺くんはゆっくり来ていいからねー!!」
「ちょっ……10代目…ってお母様速っ!!」
勝敗は如何に?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
同時にゴール!! じゃあ三人で川の字ね!!