マフィア戦隊ボンゴレンジャー!!
説明しよう! マフィア戦隊ボンゴレンジャーとは、並盛の平和を守る為に結成された正義の組織だ!!
…と思っているのはボンゴレブルーだけで、その実体は並盛の平和を守ることで頭いっぱい胸いっぱいなボンゴレブルーを生暖かく見守り、時にはトラブルから。時には犯罪者から。時にはストーカーから、時には痴漢から。
ありとあらゆるものから守ってあげる為の組織だ!!
そんなボンゴレンジャーの司令官ことリボーンがいきなり消えてさぁ大変。
他の隊員は手放しで喜んでいたけれど、リボーンさん大好きボンゴレブルーは悲しそうだった。
そんなボンゴレブルーの為にリボーンを探し始めるボンゴレンジャー。
そして…ようやく見つけ出したリボーンの口から驚くべき事実が。
「オレは…この星の人間じゃないんだ」
なんと…リボーンは宇宙人だった。迎えが来たので星に帰るという。
そんなまさかの竹取物語に放心するボンゴレブルー。
行かないで下さいと止めることも出来ず一方的に別れを告げられる。
そんなボンゴレブルーの消息が途切れたのは、それから暫く経ってから。
そういえばあいつはトラブル気質だったなと今更のように思い出したリボーン。
しょうがないと、リボーンはボンゴレンジャーを引き連れ立ち上がった。
もしかしたら最初で最後のある意味一番ボンゴレンジャーとして正しい戦いが、今始まる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回の敵の名前は六道骸!!
「う…?」
「あ。起きた」
ボンゴレブルーが目を覚ますと、そこは薄暗い廃墟だった。
未だ意識のはっきりしないボンゴレブルーの眼前には眼帯が印象的な女の子。
「骸様ー。獄寺隼人氏が起きましたー」
しかし彼女の方はボンゴレブルーにこれと言って関心はないらしくとてとてとどこかへ走って行った。
ひとりぽつんと取り残されたボンゴレブルーはその間状況を判断してみようと試みる。
(オレ…そうだ、リボーンさんと話して…でもホテル出されて…えーと…)
そこから…そこからの記憶が曖昧だ。誰かに声をかけられたような気もするが…思い出せない。
自分はどうなってしまったのか。そしてここは一体? それに彼女は…?
途切れた記憶。見知らぬ場所。覚えのない人間。気を失っていた自分。それらを総合して考えたボンゴレブルーの結論は…
「クフフフフ…目が覚めましたか? 隼人くん…」
そのとき部屋に入ってきたのは…やはり見に覚えのない青年。彼は何故かいやに嬉しそうで。
「誰だ…? それにここは…一体…」
「クフフ…誰だと思います?」
ぼんやりと問いかけるボンゴレブルーにもその青年の態度は変わらない。むしろ笑みが増していて。
けれどそんな彼の怪しい笑みにもボンゴレブルーは意にも返さず。言われるがまま問われるがままその質問を考える。
「えーと…」
自分は確か街を歩いていた。
↓
けれど記憶が曖昧。
↓
しかも何故か気を失っていた。
↓
オレもしかして貧血か何かで倒れた?
↓
この人たちはそんなオレを助けてくれた。とか?
↓
お礼を言わなくては。
「どうもありがとうございました」
「いえいえ。どう致しまして」
「骸様。どう考えても彼は状況を誤解しています。拉致られてお礼を言う人間はそうはいません」
拉致?
ボンゴレブルーは首を傾げた。拉致? 連れ攫い? …誘拐?
「お前ら…? 一体…?」
「クフフ、隼人くんのことが大好きな善良な市民その一。ですよ」
「骸様。そんな明らかにどう考えても違うであろう自己紹介はどうでも良いですけど、招かざる客人が来ましたよ」
「おや。どなたです?」
「ボンゴレンジャーです。…行方不明とされていた司令官も一緒ですね」
「司令官…? リボーンさんか!? リボーンさんが今ここに!?」
リボーンが近くにいる…そう思うとボンゴレブルーは思わずそう声を出していた。
そんなボンゴレブルーを快く思わないのは、自称善良な市民その一こと、六道骸その人。
「うーん、そんな恋する乙女全開な表情の隼人くんはとても可愛らしく愛おしいとは思うのですが…」
気付けば、骸は禍々しい凶器を手にしていて…
ザシュ…
「え…?」
そのまま、ボンゴレブルーの肌に切りつけた。
唖然とするボンゴレブルー。彼の意識があっという間に消えて行く。
「僕を見て下さい。隼人くん」
ボンゴレブルーの意識はその声を聞くと同時に、闇に塗り潰された。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だから彼はこれから自分自身が何をするのか分からない。
「ここに…獄寺くんが?」
「ああ」
リボーンとボンゴレンジャーが辿り着いた先にあったのは…見るも無残な遊園地跡。
その建物の元の名は…黒曜ランド。
「なんで…こんな所に獄寺くんが?」
「そこまでは知るか。本人に聞いたらどうだ?」
「え…?」
「獄寺。そこにいるんだろ?」
リボーンがそう言ったかと思うと。
ガサ…ッ
木陰から現れる影一つ。
出てきたのは、今まで探していたボンゴレブルー本人。
何故かボンゴレブルーは、彼に似つかわしくない静かな笑みを浮かべていた。
「獄寺くん…!」
そんなボンゴレブルーに飛びつこうと前に出たのは、ボンゴレレッド。
「良かった、無事だったんだね! もう、オレがどれだけ心配したと・・・!」
ボンゴレレッドは余程安心したのか目尻に涙さえも浮かばせてボンゴレブルーに抱きつこうとする。
―――いつもならば、ここでボンゴレブルーがボンゴレレッドに抱き付かれて。
それからボンゴレブラックやらボンゴレグリーンにやらに茶々を入れられたり邪魔をされたりしながらもボンゴレレッドはボンゴレブルーを離さないで。
そんなほのぼのな空気の中みんなでボンゴレ基地に帰る…それがいつもの光景だった。
けれど。
ひょいっとボンゴレブルーは右に避けて。
まさか避けられるとは夢にも思ってなかったボンゴレレッドは思いっきり地面に転んで。
「ご…獄寺くん…?」
「オレに…触らないで頂けますか?」
困惑するボンゴレレッドに対し、冷たいボンゴレブルーの言葉。
ショックを受けるボンゴレレッド。しかしそれすらも意にも返してない様子のボンゴレブルー。
「オレに触って良いのは…ただひとり。ですよ」
「それは…誰だい?」
ボンゴレブラックの静かな問い。それに答えたのはボンゴレブルーではなかった。
「僕ですよ」
ボンゴレブルーの背後から現れたのはパイナポーな髪形の男。
彼は馴れ馴れしげにボンゴレブルーの肩に手を回すが、当のボンゴレブルーはなんの抵抗もしない。
それどころか深く笑みを増すばかりで。
「…隼人に何をしたの?」
静かな怒りのボンゴレブラック。しかしその威圧感もものともせずにパイナポーはクフフと笑う。
「クフフフフ…さぁ。何をしたのでしょうね?」
「隼人を…返してくれるかな」
「返す? おやおやおかしな事を言いますね。彼は自ら望んでここにいるのですよ?」
「嘘だね」
「嘘じゃないですよ。…ね。隼人くん。僕にキス。…して頂けますか?」
とんでもない一言を放つクフフ。
しかしそれにみなが唖然とするよりも前にボンゴレブルーはクフフの首に手を回して…
「ちょ、隼人本気!?」
ボンゴレブラックが制止の声をかけるも虚しく、ボンゴレブルーとクフフの距離があと数センチになる。
それでも止まる事無く近付く二人の距離。そして…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大きく振りかぶる影がひとつ。
風の切れる、音がした。
ひゅんと、一瞬だけそんな音がしたかと思うと。
カッコーン!!!
「ひぎゃぅ!?」
何かが思いっきりぶつかる音。ボンゴレブルーの口から漏れる声。そして吹っ飛ぶボンゴレブルー。
…そして。リボーンは何かを投げたかのようなポーズで静止していた。
「…ってリボーン!? 何獄寺くんに投げてんだよ! ていうかなにやってんだよ!!」
「ん? ああ、むしゃくしゃしてやった。反省はしてねぇ」
「しろよ!!」
ちなみにボンゴレブルーの吹っ飛んだ先から頭にたんこぶをつけてふらふらしてるレオンが戻ってきた。
どうやら鋼鉄化させたレオンをリボーンはボンゴレブルーに投げたようだった。手加減無用で。
「てか獄寺がいきなりあんな風になるわけねぇだろ。お前、獄寺に一体なにしやがった?」
「それに気付くのがもう少し早ければ獄寺くんも吹っ飛ばずに済んだんじゃない?」
「クフフ…そのことに気付くとは流石ですねぇ元ボンゴレンジャー司令官リボーン…」
「無視かよ。お前らレッドのオレを無視かよ」
う"ぉおおいと言ってるボンゴレレッドは無視されて話は続く。
「クフ…クハハハハハ! 気になります? 気になりますか僕が隼人くんになにをしたか! 宜しいならば教えて進ぜましょう!!!」
パイナポー。無駄にハイテンションだった。
「クフフ、なんて言ったって未だかつてないほどの出番ですからね! テンションだって上がりますよ!!」
こちらにまで介入をしないで頂きたい。
「ともあれ、僕が隼人くんになにをしたか…でしたっけ? クフフ、簡単なことですよ。僕は人の心を操ることが出来る」
「人の…心を?」
「ええ」
ツナの問いに骸は懐から…微妙に血の滴っている禍々しい刃を取り出した。
「この刃で僕に血を流されたものは…その身も心も。僕だけのものにすることが出来るのですよ…クフフ」
―――。
時が…止まった。
「ほう」
「へぇ」
「ふーん…つまりその刃に付いているのは、獄寺くんの血で…獄寺くんはそれに斬りつかれたってことで。良いのかな?」
「クフフ。つまりはそういうことです。っておやみなさんどうしたんですか怖い顔して。ていうかなんですか怖い顔して」
パイナポー、同じ事を二回言ってしまうぐらい動揺。
しかしそれぐらい一気に周りの空気が変わった。気温が一気に下がったような感覚。
「まぁ…あれだよ」
「獄寺くんを傷物にしてくれた責任は…」
「その身体できっちり。払って貰う事にするぞ」
「クフフ、隼人くんを傷物ってかなりそそられる描写ですよね。ていうかなにやらみなさん無駄に息揃ってますよね。ていうかちょ、囲むのは卑怯ーーー!?」
…今は朽ち落ちた黒曜ランド。廃屋となった人気のない場所で行われる暴力。
相手は誘拐暴行犯だというのに、何故か悪者に見えるのはボンゴレンジャーの方であった。
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その姿は、まるで凶悪犯罪者やマフィアのそれだったという…
「ぁ…?」
「気付いたか」
「え…あ、リボーン、さん…?」
ボンゴレブルーが目を覚ますと、直ぐ間近にリボーンの姿があった。
…あのあと。
青いパイナポーが赤いパイナポーになってきたところで延々と遠くから傍観を決め込んでいたクロームが入り込んできた。
「…その辺で許してもう許して頂けますか?」
「え? なに? 誰?」
「そこの紫気味なパイナップルの従者です」
骸、従者が居る割には慕われてないようだった。
「…まだ僕たちの気は収まってないんだけど」
「そうですか…そこまで言うなら止めませんけど………」
「けど、なんだ?」
「うつりますよ?」
・・・・・・・・・。
何が。とは聞けなかった。
暫しの沈黙のあと。ボンゴレンジャーと司令は骸から離れた。
クロームはぺこりと一礼をして。
「それでは皆様、ご迷惑をおかけしました」
と言っては主であるはずの骸の首根っこを掴みずるずると引き摺りながら去っていったのだった。
「…リボーンさん…なんで…。というか、ここは…一体?」
「何も覚えてないのか」
「無性に頭が痛いです」
「そうか。なら無理して思い出そうとするな」
「? はい」
こうしてボンゴレブルーの中でこのときの出来事は闇の中へと放り込まれた。
「ってリボーンさん…どうしてあなたが…ここに?」
もう会うことはないと。そう目の前の人は言ったのだ。なのに…
「…ああ、お前をひとりにしておくと危なっかしいってことをすっかり忘れていてな」
「な…オレは子供じゃないんです! ひとりで平気です!!」
実際は全然平気ではなかったのだがそれはボンゴレブルーのみが知らない事実。誰もが密かに溜め息を吐いた。
と、そのとき背後から巨漢の男が現れて。
「…リボーン。こんな所にいたのか」
「家光か。なんだお前まだ国に帰ってなかったのか」
「お前を連れ戻すのが任務だっつーに!!」
「そんなことよりもリボーンさん、手早く素早く国に帰らなくてはならなくなりました」
「そんなことって言ったかお前。オレとリボーンのコミュニケーションをそんなことっつったかお前」
「どうしたバジル」
「無視かよ」
家光は少し淋しそうだった。
「先程本国連絡がありまして、リボーンさんが花嫁探しに星を出たのではないことがばれました」
「そうか。だがそれぐらいで帰る理由にはならんだろう」
「ザンザス殿が「リボーンが某惑星で変な部隊を立ち上げ、無理矢理結成した部員たちと毎日あんなことやこんな事を…」とか言いふらしているそうですが」
「そうか。よし、ぶちのめしに行くぞ」
リボーン、完璧に自分主義だった。
「オレは部員と遊んだりしてねー。むしろ毎日ひとりで寝てる。訂正しに行くぞ」
「そんな理由で帰るのかよ!!」
帰るらしい。
「…まぁ良いか。よしバジル。リボーンの気が変わらないうちに帰るぞ。他の部員にも連絡を入れておけ」
「既に入れておりますよ。あとは親方様が荷物をまとめるだけです」
「なんかお前オレに対してだけ冷たくねぇ!?」
そんなことを言いながらあっさりと…本当にあっさりと。リボーンは元の星へと帰って行ってしまった。
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さよならを言う間もなく。こちらを見ることもなく。
…それから、数日。
「………はぁ…」
元ボンゴレ基地内で、憂い顔で溜め息を吐く銀髪の青年がひとり。
―――ボンゴレンジャー司令官たるリボーンがなき今、ボンゴレンジャーは解散状態に陥っていた。
なのでボンゴレブルーも今はボンゴレブルーではなくただの獄寺隼人だ。
それでも彼は何かに縋るようにここにいて。離れようとはしなかった。
この場所は、彼と自分とを繋いでいた場所だから。
獄寺は窓際に肘を付いて、遠くの空の向こうを見ている。
「リボーンさん…」
小さく呟いてみるも、その声に応えてくれる人物はどこにもいない。
彼の人は遠い所へと旅立ってしまったから。
獄寺は俯いて。切なさに胸を震るわせる。
元ボンゴレレッドたる沢田綱吉も元ボンゴレブラックたる雲雀恭弥も獄寺をどうにか元気付けようとした。
しかし…やはりというかなんというか。どれも効果はないようで…
「リボーンさん…」
会いたい想いと。逢えない現実。
それは涙が出そうなぐらい辛くて。獄寺はただただ彼の人へと想いを馳せる他なかった。
「リボーン、さん…」
幾つか目の名を呼ぶ声。幾つか目の溜め息。
―――と、そのとき基地内を揺るわす大地震が巻き起こった。
「な…にごとだ!?」
「分かんない…けど、基地内に何かが降って来た…みたいだね」
「何か…? 何かって…」
元ボンゴレンジャーが様子を見にその場所へ向かってみる、と…そこには―――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――あの人が…
「出迎えとはご苦労だな」
「…え、」
懐かしい、声が聞こえてきた。
「久しいな、獄寺」
その声は、自分の名を呼んでくれた。
たったそれだけのことが、嬉しかった。
濛々と立ち上がる煙の中、現れたその人は…
「リボーンさん・・・!」
その姿を確認すると、獄寺は思わず飛び込んでいた。
そんな獄寺を受け止めてくれたのは…我らがリボーン。
「熱烈な歓迎だな」
「リボーンさん・・・! リボーンさんリボーンさん…!!」
苦笑しながらも獄寺を抱き締め返してくれるリボーン。
その確かな感触に、暫し酔いしれる獄寺。
「…あー、はいはいそこまでー」
…そこに、割って入る綱吉。
「…10代目何するんですか。酷いです。あんまりです。…そんなことする人嫌いです」
ガーン!!
沢田綱吉はショックを受けた!
ちょっと立ち直れそうにない!!
「ちょ…雲雀聞いてよ! 獄寺くんが酷いんだけど! あんまりなんだけど!!」
「うるさいよ綱吉。あと僕のこと呼び捨てにしないでくれる? 咬み殺すよ?」
「ってこっちもひでぇ!!」
「…それはともかくリボーンさん、どうなさったんですか? 国に帰って…その、王位を継いだのでは…」
「ああ、そのことか。確かにオレは王位を継ぐが…少し先送りにしてきたぞ」
「え?」
―――リボーンの話によると、一度国へと戻ったリボーンはまずザンザスをどついたらしい。
「手加減無し攻撃な」
「流石ですリボーンさん!」
「キミって本当盲目だよね」
それで、ザンザスを病院送りにしたリボーンは床に伏せっている9代目の所まで赴いた。
そして―――
「仮病使ってんじゃねぇ」
「げふがぁあ!?」
「どついたんですか!? お父様を!?」
「ていうか…仮病?」
「ああ。オレを王位に継がせる為の猿芝居だ。付き合ってらんねーから「てめーが本当にぶっ倒れて死んだら王位継いでやる」っつって来た」
「え…それじゃあ」
期待を込めたような獄寺の声に、リボーンは笑って。
「ああ。今しばらくはここにいられるぞ。…ボンゴレンジャー、ここに再結成だ」
「嬉しいです、リボーンさん!!」
獄寺はその言葉の想いを行動に移すように、今一度リボーンに飛び付いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お帰り。愛しき日々。
マフィア戦隊ボンゴレンジャー!
説明しよう! マフィア戦隊ボンゴレンジャーとは…
「リボーン。…おーい、リボーン」
「10代目」
「あ。獄寺くん…ね、リボーン知らない?」
「しー。です10代目。しー…」
「え?」
「リボーンさんが起きてしまいます」
「………zzz」
「………」
「…どうしました10代目。気難しい表情をして」
「いや…なんていうか…ってか」
「? はい」
「リボーンが寝てるのは…良いよ?」
「はい。リボーンさんはお疲れですからね。眠い時ぐらい…寝かせて差し上げたいです」
「うん。それは分かるよ? でもさ…」
「はい」
「なんで獄寺くんがリボーンに膝枕なんてしているのさ」
「リボーンさんがオレに寄りかかってきまして。そのまま眠ってしまったようで…動かすと起こしてしまいそうで怖くて…」
「ウンソウダネ。でも…やっぱりそのままだと身体とか痛めちゃうんじゃない? 起こしてでも部屋に連れて行くべきじゃない?」
「あ…は、はい。そうですね…分かりました」
「ふぅ…」
「リボーンさん…リボーンさん起きて下さい。風邪を引いてしまいますよ…? って、わ!?」
「?」
「あ、の…リボーンさん、そんな抱きつかれるとこま…あの、眠るならお部屋まで…ちょ、へ!?」
「獄寺くん・・・!?」
「………」
「…ちょっとリボーン。獄寺くんを引き摺ってどうするのさ」
「眠いから…寝る」
「獄寺くんは?」
「これは…枕」
「枕?」
「枕…」
「………」
「抱き枕」
「抱くのかよ! 獄寺くん逃げて!」
「大丈夫っす10代目! リボーンさんの安眠の為ならば不肖獄寺隼人、任務を全うして見せます!!」
「そういう問題じゃねー!!!」
マフィア戦隊ボンゴレンジャー!
説明を再開しよう! マフィア戦隊ボンゴレンジャーとは、なんかもう並盛の平和とかどうでも良くただ単に司令官事地球外生命体リボーンが楽する為に結成しただけの組織だ!!!
隊員ていうかむしろボランティア的なボンゴレンジャーはボンゴレブルーを中心に今日も頑張っている!
とりあえず司令官とボンゴレブルーは今日も幸せそうだった!
マフィア戦隊ボンゴレンジャー、ここに完結!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もう少しだけ続くんじゃよ。
「じゃあ、行ってくるぞ」
「………」
「なんだ。どうした」
「また…直ぐに戻ってきます、よね…?」
「当然だぞ」
その日は、リボーンが定期的に国に帰る日だった。
一応国を継ぐものとして、国、国民、そして現当主である9代目の近況を知らなければならないから。
…というのは建前で、その実は息子に会えない9代目が寂しいから戻って来い。と言ったからなのだが。
無論その程度の呼びかけに応えるリボーンではないのだが、そうしないと9代目から毎日のように「会いたい」と手紙が届くのだ。
正直。嫌過ぎる。
しかもそれすらをも無視するとまたも家光部隊がやってきては力付くでもリボーンを連れて帰ろうとするのだった。
それに抵抗するのが面倒臭いと考えたリボーンはこうして定期的に国に帰ることを決めた。
「ここほど居心地の良い場所はねーからな」
「リボーンさん…」
その答えに、安心したように…微笑むボンゴレブルー。
「それともお前も来るか?」
「え?」
と。意外なリボーンの言葉に面食らうボンゴレブルー。
「一人ぐらい増えても問題はないからな。オレは別にかまわねーぞ」
「ぇ…あ、は、はい!」
少し上ずった声で答えたボンゴレブルーに笑うリボーン。
「そうか。じゃあ「う"ぉおおおぃ! ちょっと待ったー!!」
言葉を遮られるリボーン。
誰だろうか。ヴァリアーの残等のう"おおおおぃの人だろうか。
「なんだツナ。珍妙な鳴き声を上げてどうした」
ではなくボンゴレレッドだった。ボンゴレレッドは異議あり! と言わんばかりに挙手をしていた。
「さっきの会話聞こえてたんだけど! 獄寺くんもリボーンと一緒に行くってマジ!?」
「マジだぞ」
「ちょ、なんでだよ! 折角リボーンがいない間ちょっと憂い顔な獄寺くんを堪能しようと思ってたのに!!」
「かなり自分勝手な奴だな。あいつの望むままにさせただけだぞ」
「ああそうかよ! じゃあオレも行く!!」
「良いぞ」
「って良いのかよ! 反対意見とかないわけ!? そんなんで本当にお前良いのかよ!!」
「お前も良い感じにわけわかんねーな」
「ほっとけ!!」
「ともあれオレは別にかまわねーぞ」
「そうなの…? てっきり邪魔になるから残れって言われるかと思ったんだけど」
「別に邪魔じゃねーしな。あそこは無駄に堅苦しくて息が詰まるし。むしろ歓迎するぞ」
「リボーン…」
「精々、オレの空気洗浄機として存分に働け」
「人扱いですらねぇ!!!」
「リボーンさん、準備出来ました!!」
「そうか。じゃあ行くぞ」
「はい!」
「あ、待ってって! オレも行くんだから!!」
「10代目もですか?」
「うん」
「……………はい! 一緒に行きましょう!!!」
「今の間はなにーーー!!!」
―――こうして、ボンゴレンジャーは宇宙へと飛び出した。
次に彼らを待ち受けているのは、一体―――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ボンゴレンジャー、今度こそ完。
ボンゴレンジャーお疲れ様会。
「微妙に拍手回数が余ったからお疲れ様会をするぞ」
「今までの全部お芝居だったんですね」
「急遽そうなったな」
「では、お疲れ様でしたリボーンさん!」
「ああ。お前もな」
「恐縮です! しかしリボーンさんが司令だったり敵になったり宇宙人だったりと大活躍でしたね!」
「つーかツナじゃなくてオレが10代目なんだな」
「そうですね。ついでにお父様と10代目は今回は他人のような関係みたいです」
「原作設定潰しまくりだな」
「いつものことですね」
「そうだな」
「そういえばラストはリボーンさんが地球に残る編とオレも一緒にリボーンさんの星に行く編の二案があったそうですね」
「ああ。ボンゴレンジャー考案者たっての希望で地球編になったがな。オレは獄寺と一緒に星に帰る編でも良かったんだが」
「そうなんですか?」
「そっちだとお前はオレの右腕兼妻になって日々を過ごしていたらしいぞ」
「つ…妻ですか」
「ああ。そしてオレの隣を歩きながらも擦れ違うマーモンにときめいたりもする」
「え…」
「浮気か。獄寺」
「そ、そんな! 違いますリボーンさん、誤解です!!」
「オレという奴がいながら。酷い男だお前は」
「で、ですから・・・!」
「まぁそれはともかく。これぐらい話せば良いだろう」
「え?」
「それなりにページも埋まったから。帰るぞ獄寺」
「あ、はいリボーンさん!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
考案者たる雨宮おねーさまに捧げます。