「久しぶりに獄寺を連れて9代目の屋敷に来た」


「9代目! お久しぶりです!!」


「おお獄寺くんか…大きくなったのう…」


「覚えてないなら無理するな」





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「こういうときなんて言うんだったか…そう、耄碌ジジイ」

「耄碌ジジイ!?」










「リボーンさん」


「なんだ」


「コーヒーを淹れました」


「そうか」


「リボーンさんも飲みます?」


「いや、オレには不要だ」


「飲めないんですか?」


「いや、そういうわけじゃない」


「リボーンさんに是非飲んでいただきたいんです。お願いします」


「…分かった」


ごくごく。


「………」


「…どうですか?」


「極上」


「!?」





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「お、オレの血の存在価値が!!」










「なに飲んでるの?」


「雲雀か」


「…ち」


「なに舌打ちしてるの」


「別に」


「珈琲を飲んでいる」


「…美味しいの?」


「極上」


「へぇ、僕にも飲ませてよ」


「誰が…」


「雲雀、ほら」


「ああリボーンさん、なんてお優しい…」


ごくごく。


「………」


「どうだ?」


「嘘。本当に極上」


「血って実は不味いのか?」





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「キミ。おかわり」










「獄寺くん!!」


「10代目? どうなされたんですか?」


「また遊びに来た!!」


「そうなんですか」


「と言うわけでリボーン!! 獄寺くん借りてくよ!!」


「獄寺はオレの物じゃないぞ」


「いえ、オレはリボーンさんの物です!!」


「そうなのか?」


「え? そうなの?」


「はい!!」


「…そうだったのか……」





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「知らなかった」










「クフフ、こんにちは」


「骸!! 雲雀がどうにかしたはずじゃあ!!」


「え? なに? この人なに?」


「敵です10代目!! オレ何度もこいつに殺されかけました!!」


「ええ!?」


「何しに来たんだ?」


「僕の槍を返してもらおうと思って」


「獄寺。あれ、どうした」


「ええと…先日燃えるごみに出しました」


「ええ!?」


「獄寺…」


「す、すみませんリボーンさん」


「あれはどう考えても燃えんだろう」


「窘める部位そこですか!?」





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「雲雀後で締める」










「それはそうとお前!! 何で吸血鬼を狙うんだ!!」


「クフフ、奴らには屈辱を与えられましてね…」


「屈辱?」


「当てて御覧なさい。無理でしょうけど」


「…分かった!! 吸血鬼に住んでた村を滅ぼされた!!」


「ブー。外れです」


「…吸血鬼に親を殺された!!」


「違います」


「…病弱で余命幾許かの妹を吸血鬼にされた。妹は病から解放されたが自分を吸血鬼にした吸血鬼と旅立ってしまった」


「えー? それはないでしょリボーン」


「それで吸血鬼恨んだら完全に逆恨みだと思いますが……」


「………」


「あれ? …骸……?」


「うううううううううわーん凪ぃぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」





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「僕のところへ帰ってきてください!!」








「リボーンさん」


「なんだ」


「今日はお仕事に行かないんですか?」


「今日は休みだ」


「そうなんですか」


「ああ。七日の内二日は休みだ」


「そうだったんですか…」


「ああ。別に毎日でもいいんだがな。何でも労働基準法に反するらしい」


「………。何ですか? それ」


「オレもよくは知らん」





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「9代目社は"ほわいときぎょう"らしい」










「買い物に行ってきます」


「オレも行こう」


「え!?」


「? 駄目なのか?」


「い、いえ…」





「すみません、にんじんください」


「あいよー! 今日はお父さんも一緒かい?」


「え…」


(お父さん!? リボーンさんが!?)


「………」


「おや。違うのかい?」


「えっと…」


(どうしよう。なんて言う? なんて言えばいい!? そりゃリボーンさんがお父さんとか超嬉しいけど!!)


ぐいっ


「え?」


「父だ」


「ああ、やっぱり。よく似てるねぇ、雰囲気とか」


「………」





「さっきから黙って、どうした」


「いえ…その、嬉しくて…」


「そうか」


「はい」





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「お父さん…お父さん……」










「次は何を買うんだ?」


「ええと…あの店でりんごを…」


「そうか。…獄寺」


「はい?」


「オレが買いに行ってきてもいいか?」


「え? それは構いませんが…」


「そうか。なら行ってくる」


「はい…って、リボーンさんお金持ってましたっけ?」


「…ああ、そうか。買い物をするためには金が要るんだったな」


「………。もしかしてリボーンさん、買い物した経験、ありません?」


「ない」


「………」





(何故か物陰に隠れてリボーンさんの様子を見てしまうオレ…)


「すまない」


(ああ、リボーンさんが、リボーンさんが初の買い物を!! なんだろう、なんか、よく知らないけど、子供を見守る気分!!)


「………この…」


(りんごです! りんごですリボーンさん!! その目の前の!!)


「りんごを、みっつ」


(よく出来ました!! 流石ですリボーンさん愛してます!!!)


「代金は…これで足りるのか?」


(多い!! 多く渡しすぎですリボーンさん!! 店員困ってます!!)





「買ってきたぞ獄寺」


「はい。見てました」


「よく知らんが、おまけとやらをしてもらった」


「流石です、リボーンさん」





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「このリボーンさんが選んだりんごはとても素晴らしいです」










「帰ってきました」


「お帰り」


「はい! ただいまですリボーンさん!! あ、荷物持っていただいてありがとうございます!!」


「ああ」


「明日からまたお仕事ですよね! 今のうちに身体を休ませてください!!」


「いや、9代目に暫く休めと休暇をもらった」


「あ、そうなんですか」


「ああ。と言うかだ。獄寺」


「はい?」


「9代目にお前のことを聞かれて話したんだが」


「はい」


「もっと一緒にいてやれと怒られた」


「はい!?」


「金と休みをやるから二人で話し合って理解を深めろ、だと」


「り、理解を深める…!?」


「そうだ」


「お、お気持ちは嬉しいですが、き、急に言われても、な、何を話せばいいのか分かりません…!!」(超話し合いたいけど!! 超理解深めたいけど!!)


「ああ、オレもだ」


「え…」


「そう9代目に言ったら、『なら一緒に旅行にでも行って来い』だと」


「旅行…?」


「ああ。どうする? お前が行きたいなら行くが」


「………オレは…」


「ああ」


「オレは、リボーンさんと一緒なら、何でもいいです」


「そうか」


「はい。城にいるなら、ずっとリボーンさんと寄り添いあっていたいです。旅行に行くなら…ずっとリボーンさんと手を繋いでいたいです」


「分かった。じゃあ一週間後に旅行に行くか。それまでは一緒に城にいよう」


「はいっ」


「急に抱きついたりして、どうした」


「こうしたいんです!!」


「そうか」


「はい!! …リボーンさん」


「ん?」


「オレ、幸せです!!」





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「…ああ。オレもだ」