「…あれ? そこの人! 何か落としたよ!!」


「ん?」





   - 出会いの先の白い狂気 -





「と言うわけでちょっと出てきます。夕方には戻ります」


「…いや、獄寺くん。そんな急に言われても分からないから」


「ああ、すいません。…白蘭の見舞いに行ってきます」


「白蘭? って、あの人だっけ? この間獄寺くんが爆破した」


「…少し語弊があるような…オレの落としたダイナマイトを拾って、それが運悪く着火して、爆破されたんです」


「…さほど語弊もないような…」


「そんなことはありません。と言うわけで行ってきます」


「ああー…うん。行ってらっしゃい」





「と言うわけで、来たぞ」


「? え? なにがどういうわけで?」


「深くは気にするな。それより具合はどうなんだ?」


「全然平気です! イエイ!!」


「そうか。なら帰って良いか?」


「ノォー!!! 帰っちゃダメ! 一人は退屈で退屈死しそうです!!」


「爆破地点の中心部にいても生き残ったじゃないか」


「それはソレ。これはコレ。です。ひとりはメーなのメー!!」


「…はいはい」


「ところで今日のお見舞い品は?」


「これか?」


「マシマロー!! 隼人ちゃん大好き! 愛してる!!」


「一ユーロで買える愛か…」


「んに?」


「いやなんでもない」


「? 変な隼人ちゃん。でも隼人ちゃんって良い人だよね」


「あ? いや、結構悪人だ」


「悪人は怪我した人を放っとくよ?」


「一応オレの責任もあるからな。無関係なら放っとく」


「そうかなー…隼人ちゃんなら目の前に怪我した人がいたら何かしてくれると思うけど」


「お前の思い上がりだ」


「酷いなー」



ケラケラと白蘭は笑う。楽しそうに。可笑しそうに。



「…あ、ごめん隼人ちゃん。今日はこれから別の人がお見舞いに来てくれるんだ」


「そうなのか。じゃあオレは席を外した方が良いか?」


「うん。…ごめんね。隼人ちゃん」


「なに、構わねぇよ。じゃあまた明日来るな。白蘭」


「うん。楽しみにして待ってる」


「マシュマロをか?」


「マシマロと、隼人ちゃんを」


「…はいはい」



言って、獄寺隼人は退室する。


残されたのは白い人間がひとりだけ。



「…本当に…人が良いよね。隼人ちゃんは」



白蘭は獄寺が持ってきたマシュマロを一掴み。そして口の中へ。





「隼人ちゃんはとっても良い人だから。隼人ちゃんだけは生かしておいてあげるね」





ニコニコと微笑みながら白蘭はそう言って。それと同時にノックの音が病室に入った。


「入りなよ」


「失礼します」





かくして、歴史は回り始める―――





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さあ、まずはボンゴレ10代目を殺しに行くよ。


ヒビキミトリ様へ捧げさせて頂きます。