ほんの少しの遊び心



獄寺くんが、いつも通りイタリアへ帰りました。


そのまま三日が過ぎました。


いつもなら電話してくれる獄寺くんからの連絡がありません。


「…まさか…何か事件に巻き込まれたとか!?


「結論早いなおい」


「なんだよリボーン。これはもう事件だって! えっとほら、オレの超直感だっけ? がそう言ってる!」


「…自分の能力うろ覚えかよ……まぁいいがな。事実その通りだし」


「へ?」


「六道の連中がまた脱獄したらしい。しかも獄寺が戻ったときとも一致してる」


「な…!?」


ご、獄寺くんが!? あの骸たちと…!?


そうなるとあれだよね! もうあの獄寺くんの可愛さだから骸たちは魅了されて獄寺くんを連れ去って獄寺くんにあんなことやこんなこと…


「ゆ、許せない!!」


「お前今何想像したんだ?」


「オレだってまだしたことないのに!!」


「何をだ?」


「ああもうこんなところでぼけっとなんてしてられないよ! リボーン、イタリアに渡ろう!


「お前獄寺関連のこととなると決断早い上に大胆だよな」


「そんなことどうでも良いから! とにかく、今は骸を見つけないと…」


「それなら簡単だぞ?」


「え?」


「見つけるも何も、もうここに来てる」


「チャオです。ボンゴレ10代目」


そう言って窓の外から身を乗り出してきたのは…骸の気配を感じさせる、獄寺くん。


「む、骸! なに雲雀さんと同じ登場シーンしてるのさ! キャラが被るから止めろよ!!


「うわぁ。ツナが壊れた


「面白いこという人ですね10代目は」


「獄寺くんの身体で10代目って言うなー!!」


「はぁ。じゃあー…沢田さん?」


「ぐぁ!」


そ、そんな、獄寺くんの身体で、しかも上目遣いで沢田さんだなんて…!


「それとも…綱吉さん?」


「う…!」


そう頬を赤らめるな! 獄寺くんじゃないって分かっていても戸惑うから!!


「ねぇ、オレは貴方の事をなんと呼べば良いのですか?」


だから獄寺くんの口調を真似るなって! あーもう近い近い近い顔近い!!


「それとも…10代目はオレのことお嫌いなんですか?」


「そんなことー…てお前骸だろ! 何言ってんだよ!!」


「悲しいです。オレは10代目のこと大好きなのに」


「!!! い。いや、騙されないから! でももう一回言って!


違うって分かっていてもそうだと信じたいときってあるだよ!


「ツナ」


「何? リボーン」


「見てるこっちが痛い


うるさいよ。


「あはは。やっぱり貴方方は見ていて飽きませんねー」


「うるさいよ! あーもう、うざいからもう出てけー!!」


「………」


「………」


「………」


…あれ? 骸の気配…消えてる?


「10代目…オレ、鬱陶しい奴だったんですね…」


「ご、獄寺くん!?」


「ぅ、オレ…今までそうだと気付かずに…っく」


「いや、獄寺くんそれは誤解! 泣かないで!」


「オレ、…もう沢田家の敷居を跨ぎませんから…っ今まで、すみませんでしたー!!!」


「ちょ、獄寺くんー!」


「あーあ、泣ーかせた


ずっと傍観してた奴が何言うか!! って、そういえば骸は? 捕まえなくて良いの?」


「ああ、それなら心配しなくてもいい」


「へ?」


「…実は骸な。脱獄したはいいが、直ぐにまた捕まったんだ


―――弱! 骸弱!


「で、丁度その時居合わせた獄寺に遊び半分に取り憑いただけらしいから。さっきのも時間切れで戻ったらしい」


「あ、そう…」


なんとまぁ、タイミングの良いというか悪いというか…


「ま、消えるタイミングを今か今かと待ってたっぽいけどな」


………。


「やっぱり締める。あのパイナップル頭


「それよりも獄寺の方が先じゃねぇか? 今頃誰にも迷惑のかからない自殺の方法とか考えてるかもしれないぞ」


「あはは。まさか。そんな…」


………。


違うとも言い切れないのが怖いよね。


「じゃあオレ、獄寺くん探してくるから!!」


それから山奥で焼身自殺しようとしてた獄寺くんを見つけ、説得するのに三時間掛かりました。


度畜生。今度あのパイナップルに会ったらぶっ殺してやる☆





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オレは骸を絶対許さない!!


リクエスト「獄寺くんが黒曜に攫われる」
達也様へ捧げさせて頂きます。
リクエストありがとうございました。