- ショウゲキテキな出会い -
「…ねぇ、正ちゃん」
「なんでしょう。白蘭様」
「なんで…僕は今歩いてるんだろう」
「白蘭様にしては哲学的なことを聞いてきますね。色々理由があるとは思いますが…足があるからじゃないですか?」
「いや、そうじゃなくて…ついさっきまで僕達、車に乗ってたよね? 暖房がガンガン効いた広い車に乗ってたよね?」
「乗ってましたね」
「なのになんで今はこの寒空の下雪原の中僕達は歩いているのかな」
「あんたが車ぶっ壊したからですよ・・・!!」
「正ちゃーん? 今口調変わってたけどそれが素?」
「気のせいです白蘭様。それよりも、白蘭様の不注意で車に不具合が発生してそれで僕達は今歩いています。…この寒空の下雪原の中」
「正ちゃん? 今小さな声でなにか言わなかった?」
「気のせいですよ白蘭様」
「ふーん…でもなんで僕達だけ? γくんやチェルベッロとかもいたはずだけど」
「ああ、他のみんなは仕事が押してるので先に行ってもらいました。車で」
「車で!? あれ!? 車ってぶっ壊れたんじゃなかったの!?」
「直しました」
「直した!? じゃあなんで僕たちそれに乗ってないの!?」
「あんたがまたぶっ壊すと思ったからですよ・・・!」
「正ちゃん? 今なんか…」
「気のせいです白蘭様。それに白蘭様、どうせアジトに行ってもやることないじゃないですか」
「僕ボス! ボスだよ正ちゃん!!」
「ボスだろうがなんだろうが、白蘭様アジトで仕事してないじゃないですか」
「何言ってるのさ正ちゃん。ほら、マシマロ食べたり」
「それ仕事じゃありませんから・・・!!」
「はぁ…まぁ良いや。雪を踏むの楽しいし! この雪原僕が独り占めー!!」
「…子供だ」
「なんか言った?」
「いえ別に」
「ふーん…まぁともあれ、雪、雪、ゆきー!!」
「あああ白蘭様、そんな、そこ車道ですから! 車が来たら危ないですよ!! 轢かれますよ!!」
「大丈夫だって! 車なんて滅多に来ないし来ても人がいるって分かるから減速してくれるって!!」
「ああもう白蘭様、忘れてると思うんですけどこのファミリーの制服真っ白で、雪の保護色になって分かりづら…ってあああそんなときに車が! 白蘭様避けて!!」
「え?」
キキキキキキィィィイィイイイイイイ!!!!!
ドーン!!
「やべ! やっちまった!! おい、あんた大丈夫か!?」
「きゅー…、ううう…死ぬかと」
「良く生きてましたね白蘭様」
「正ちゃんが酷い…」
「悪かったな…」
「って、悪かったなで済んだらオルメタはいらな……………」
「………白蘭様?」
「…どうしたんだこいつ。人の顔じっと見て」
「白蘭様、初対面の方に失礼ですよ」
「……………」
「…なんだ? おい、大丈夫か…?」
「…は! だだだ、大丈夫! 大丈夫ですはい!」
「白蘭様?」
「そうか…? じゃあ、悪いけどオレ行くぞ。急いでるんだ」
「はい! お気をつけて!!」
「―――って本当に行っちゃいましたけど、白蘭様…一体どうしちゃったんですか?」
「………正ちゃん」
「はい?」
「あの天使はなんだい…!?」
「天使!? さっきの人ですか!?」
「何ていうかもうマ―ヴェラス!!! 完璧じゃね!? 僕のコスモがお前を倒せと轟き叫んでいるよ!?」
「白蘭様少し落ち着いて下さい!!」
「いや! 無理あの天使を僕の手元に置くまではこのテンション抑えきれない!!!」
「最悪だ…!!」
「正ちゃんどうしよう! 僕どうしよう!! こんなときめき初めて!! あの人ストーカーしても良いかな!?」
「駄目に決まってますよ何言ってるんですか!!」
「分かった! とりあえずアジトに行こう! そこであの人の情報集めよう!! ワオ! 僕仕事してね!?」
「それ全然仕事じゃないですよていうか勘弁してあげてください白蘭様!!!」
「ほらほら正ちゃんも早く!! てかほら! 今度は車から避けて行ってくれるよ!? これも愛の力!?」
「それ単に白の制服がさっき轢かれたときの血で赤く汚れて目立ってるだけですから!! ていうか白蘭様出血酷いから!! 白蘭様、白蘭様ー!!!」
「待っててハニー!!」
「そんな恥ずかしい単語を大声で言わない! 白蘭様…! ああもう、血の足跡でうっかりホラー現場ですから! 白蘭様ーーー!!!」
…この後。
予定よりも早く到着した血まみれの白蘭の姿を見て、ミルフィオーレに衝撃が走り。
うっかり白蘭を轢いてしまった獄寺隼人氏の所属するボンゴレが標的にされてしまったりするのだが、
それはまた、未来の話。
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そうして起こる、全面戦争。
ヒビキミトリ様へ捧げさせて頂きます。