忘れない。忘れません。私は貴方を忘れません。
忘れない。覚えてる。貴方をずっと覚えてます。
忘れない
貴方が長期の任務に出て、もう二年が経ちました。
私は相変わらず、ボンゴレのアジトでツナさんの秘書として彼を支えています。
……早く帰ってきて下さい。ツナさんの隣にいるべきなのは私ではなく、貴方なのだから。
早く帰ってきて。そしてまた私をからかって下さい。
早く帰ってきて。そしてまた私と口論して下さい。
早く帰ってきて。そしてまた私に―――声を聞かせて下さい。
貴方に、逢いたいです。
貴方に、触れたいです。
貴方の声が、聞きたいです。
貴方はいつになったら、帰ってきてくれますか。
貴方はいつになったら、戻ってきてくれますか。
貴方を想わない夜はない。
貴方の無事を願う事しか出来ない自分が、なんとも歯痒い。
貴方は今、どこにいますか。
貴方は今―――生きて、いますか。
「―――……っ」
涙が、溢れる、零れる。
貴方はいつ死んでもおかしくない仕事に就いていて。
貴方はいつ死んでもおかしくない任務に発っていて。
それを疑うのは、当然のことだろう。
―――でも。
………ハル。
私は、忘れない。
今回の任務は、少しばかり長くなりそうなんだ。
私は、覚えている。
だから…暫くお前とも会えないから……
あの日に起きた出来事を。私は覚えてる。
―――少しだけでいいから、今だけこのままでいさせてくれ。
あの日、貴方がどれほど不安がっていたか私は知ってる。覚えてる。
……わりぃ。今のは、忘れていいから。
あの日、私を抱きしめた貴方の身体が震えていたことを私は忘れない。
―――じゃあな。ハル……
貴方の最後の言葉を、私は覚えてる。
絶対、絶対生きて、帰ってきて下さい。
私の言葉を背に受けて、片手を上げて応えたことを私は覚えてる。
忘れない。覚えてる。私は貴方を、絶対に。
…でも、時々忘れそうになるから。だから。
「早く……帰って、きて下さい」
帰ってきた貴方に、言いたいことがあるから。
大好きな貴方に、言いたいことがあるから。
「ハルが忘れないうちに…帰って、きて下さい。獄寺さん……」
早く…早く……
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けれども貴方は。いつまで経っても帰って来ては、くれなくて。