綺麗なお前を汚れたオレの手で壊す。
それはずっと。10年も前から、ずっと夢見てたこと。
汚れたモノ
とある町の裏街道。そこで10年ほど逢ってなかった奴を見つける。
そいつを、後から着けてるのがいたから。
「………」
めんどいと思いつつも、オレも後を追った。
いつまで経っても変わらない愛用の武器を使って連中を懲らしめる。
―――精々、毒の苦しみで狂い死ぬがいい。
「―――…ん? ヨーヨー使い?」
奴は奴で待ち構えていたのだろう。倒れているそいつらを見て、奴は合点がいったみたいに頷いた。
「…てめぇがオレを助けるたぁ、どういう風の吹き回しだ?」
怪訝そうに尋ねるそいつに腹が立つ。
―――ガッ!!
ヨーヨーを握った手で思い切り殴る。
…こんな攻撃も。避けられないのか。
「…随分と弱っているな。さっきの奴らでも殺せそうだ」
「―――うっせ。…なんで助けたんだよ。んな義理ねぇだろうが」
「…煩い。お前が他の奴に倒されるのが見たくなかっただけだ。…お前を壊すのはオレだ」
綺麗なお前を。汚れたこの手で。
「―――はぁ? お前まだあの時骸に言われたことを気に掛けてるのか?」
呆れたように奴は言う。
「…オレが誰の命に従おうと、どうだっていいだろう。お前だって変わらずボンゴレ10代目に付いてるじゃないか」
まぁな、と奴は笑って。
咽て、血を吹き出した。
「…ぼろぼろ」
「―――やかましい。…少し、ミスった」
少し。か…確かに少しなのだろう。
ただ、この業界じゃあその少しのミスで命に関わる。
オレは、オレたちはそのことをよく知っている。
「………死ぬのか?」
「見りゃあ、分かんだろーが…」
息も絶え絶えとはこのことか。奴は壁に手を突いて。
「―――――どうせ死ぬのなら」
オレは奴の首筋に針を這わせて。
「今、お前を壊させろ」
オレがそう言うと奴は笑って。
「ぜってぇ、嫌だ」
銃を構えて。
「―――相打ちで、勘弁してやる」
そんな事を言い出して。
………ばれてた。何だか不覚だ。
「てめぇだってぼろぼろの癖に、オレの首だけ取ろうったって、甘ぇんだよ」
「…何だか癪だ。いつも最後で勝てそうなのに、最後で相打ちなんて」
「馬鹿野郎。それはこっちの台詞だ。いっつも勝てそうなのに、最後で相打ちたあ」
お互いに、不敵に。笑い合って。
「まぁいい。それで手を打ってやる。沢田綱吉の右腕、獄寺隼人」
「ああ。それで手を打たされてやる。六道骸の側近、柿本千種」
最後に、オレの名を呼ばれて。
ああ、こいつ。オレの名前を知っていたのかと。場違いな感想を抱きながら。
奴の指が引き金を引くのを見送りつつ、オレは手に持ってた針を彼の喉元へと滑り込ませた。
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やっとお前と決着がついた。