周りには、獄寺くんは体調を崩して休んでいると伝えてある。


今まで任務で怪我をして治療のため仕事を休むことは多々あれど、体調不良で休むことなど、一度もなかった獄寺くん。


彼を慕うものが、彼を心配しないわけがない。


ランボは特にその色を強く出していた。


仕事のミスもいつもより多く、あからさまに集中出来ていない。


この訪問も、見ただけで分かる。獄寺くんの事を聞きに来たんだ。


それが、なおさら獄寺くんを…大好きな獄寺くんを苦しめる事になるとも、知らずに。





「ボンゴレ…獄寺氏の具合は……」


「心配?」


「当たり前です…」


「なら―――お見舞いに行ってくる?」


「え?」





オレは顔を俯かせる。


だってこれから起こる事を考えると、笑いが堪えられないんだもの!





「生憎オレは忙しくてね。よかったらオレの代わりに、獄寺くんの様子を見てきてよ」


「も、もちろんです!!」





オレはランボに獄寺くんの部屋の鍵を渡す。


そして告げる。





「室内に入ったら、すぐに鍵を掛ける事。…いいね」


「? …分かりました」





頷き、ランボはすぐに獄寺くんのところへ向かった。


オレは骸に連絡を取って、オレの主務室まで来るよう告げる。


オレたちは獄寺くんの室内をパソコンから見詰める。


獄寺くんはぐったりしていて、動かない。


気を失っているようだ。





「酷い事するなあ」


「綱吉くんこそ、なんて趣味の良い。こんな数のカメラ、いつから仕掛けてたんですか?」


「決まってるでしょ」





最初からだ。


最初から、ずっと―――オレは獄寺くんを見ていた。





仕事に疲れた日の獄寺くんも。


任務で傷を負った日の獄寺くんも。





そして―――そんな獄寺くんに常に寄り添い、傷も心も癒し、支え続けたリボーンも。





やがて、ランボが獄寺くんの部屋の前に着く。


ノックをするが、返事などあるわけがない。出来ないのだから。


ランボはオレから渡された鍵を見て…それを使う。


禁断の扉が開かれる。


狂乱の宴に―――ようこそ、ランボ。





『獄寺氏…?』





ランボが室内に入り、オレの言い付けを思い出したのか、扉を閉め、鍵を掛けた。


良い子だね、ランボ。


そんなランボにはご褒美があるよ。





一度口にしたらやめられない、味を知ったらもうそれしか考えられなくなる…甘くておいしい、熟れた果実が。





ランボは室内の違和感に気付いていた。


何かがおかしいと。


けれどランボには何がおかしいのか分からない。


だからそれを自分の眼で確かめるしかない。


そっとランボは、部屋の奥へ。





『な―――――っ!?』





ランボが獄寺くんを見つける。


身体を恥ずかしい格好で拘束され、白い身体を赤い花畑で散らされ、白濁液で汚れきった―――獄寺くんを。





『獄寺氏!!』


『―――ぅ……』





獄寺くんが目覚める。薄っすらと瞼を開ける。


そしてその虚ろな眼はランボを映しつつ…けれどその口からは―――ランボではない名前が。





『―――リボーン…さん……?』





それはきっと、獄寺くんの望み。


助けを願う獄寺くんの、無意識の呟き。


何なら、夢の中ではリボーンと会っていたのかも知れない。





けれどそれは―――残酷な程ランボの心を抉る言葉だ。





幼い頃から、ランボはリボーンに劣等感を抱いていた。


何から何まで、全てにおいて優れているリボーン。


そして更には、大好きな獄寺くんと恋仲になって。





面白いわけがない。


恨まないわけがない。





やがて獄寺くんが正しく現状を理解する。





『…ランボ……』


『獄寺氏…これは…』





骸が笑う。


笑って、手元のスイッチを入れる。


獄寺くんに取り付けられたローターが、バイブが、激しく振動しだす。





『ひ―――ぁああっ』


『ご、獄寺氏!!』





獄寺くんの口から、嬌声が漏れる。


スピーカー越しに聞くオレたちだって興奮するのに。


生で、眼の前でそれを聞いて、喘ぐ獄寺くんを見て、一体誰が耐えられるだろう。





『こ…れ、取って……』





言われて、ランボははっとしたように獄寺くんに近付き…胸のローターを取ろうとする。


ランボの指が獄寺くんに触れ、それだけで獄寺くんはびくりと震え、また声があふれる。


その声にランボは怯み、けれどローターをまた取ろうとして、上手くいかなくて…結果獄寺くんを辱めるだけに終わる。


長い時間を掛けて、ランボはようやくローターを取り払った。


獄寺くんの荒い息が、聞こえる。





なんて―――いやらしい。





『した…のも……』


『した……』





ランボの目線が、獄寺くんの秘部で暴れるバイブに向けられる。


ランボは黙ってバイブを掴み、体液に手を滑らさせながら…引き抜いていく。





『ぁ…ぁあ……っ』


『………』





太くて長いバイブが、ゆっくりと引き抜かれる。


バイブの後から、今まで散々出された汚らしい欲望が溢れ出てきて―――その量にランボが息を呑む。


道具の凌辱から解放された獄寺くんは、多少は楽になったのか吐息を漏らして。


その表情の、なんと蠱惑的なことか。





『ロープ…も……』


『ロープ…』





ランボが獄寺くんを拘束する縄をどうにかしようとするけれど。


きつく硬く結ばれたそれは、ランボの手ではどうにも出来ない。周りに刃物の類もない。





『…これは…無理です……』


『そうか…』





獄寺くんが落胆する。


そして、きっと無意識に呟く。





『リボーンさん……』





………。


そうだね。


今ここにいるのがリボーンだったら、もうとっくに獄寺くんは解放されてるね。


ランボみたいな手際の悪さなんて一切なくて。





でも、それは酷だよ獄寺くん。


今、そこにいるのはランボなのに。


ランボはキミを、思っているのに。





ランボは今必死に―――我慢しているというのに。





…まあ、とはいえ。


獄寺くんの余裕を極限まで奪ったのは、こちらなんだけどね。





『…リボーンリボーンって…今、あいつは居ないのに…』


『ランボ…?』





ランボが獄寺くんの胸を摘まむ。


獄寺くんが驚きで大声を出す。





『あぁ!?』


『あなたはこんなことされて、こんなことになっていて…でも、あいつは助けに来ないのに…今、あなたの眼の前にいるのはオレなのに―――』


『ラン、ボ…っやめ……ぁっ』





獄寺くんの嬌声。


それは理性を溶けさせる。


うん。それで良いんだよランボ。


眼の前のご馳走を―――もう我慢しなくても。


ランボが獄寺くんの胸に吸いついた。





『ぁ―――ぁ…ああぁ、あっ!!』


『獄寺氏…獄寺氏!!』





ランボは下半身を露出させ、とっくの昔に膨張していたそれを獄寺くんの中に押し入れる。


散々ほぐされた獄寺くんの秘部は、抵抗など一切なくランボを迎え入れた。





『ゃ…あ……あぁ―――!』





オレが乱暴した日とは比べ物にならない程喘ぎ、乱れる獄寺くん。


それに増々理性を蒸発させられ、まるで獣のように激しく腰を振るランボ。


弟のように思っていたランボに犯され、涙を流す獄寺くん。


オレたちはその様子を、カメラ越しに見ている。





「大分感じるようになったね」


「まだまだですよ。ああ、薬か幻術が使えたら…もっと隼人くんを淫らに出来るのに」


「駄目だよ」


「殺しませんから。…雄を欲する、雌にするだけですから」


「駄目だったら」


「ケチ」


「ケチで結構」





言いながら、獄寺くんの嬌声を聞きながら、オレは今後の事を考えていく。


獄寺くんを責め立て、獄寺くんを泣かし、獄寺くんを狂わせ、獄寺くんを壊す―――算段を。


そうしていたら、電話が。


オレは誰からの着信かも確認せず受け取って。相手の声を、用件を聞いて。





………。


―――ぇえ…





思わず嫌な声が出た。





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