夜も深け、ようやく仕事を終わらせる。
オレはひとり、獄寺くんの部屋の、扉の前に立つ。
…眼を閉じ、耳を澄ましても…何も聞こえない。
この中で獄寺くんが何日も前から辱められてるなど、誰も知らない。
オレは予備の鍵を取り出して。
扉を開ける。
湿気った空気と淫靡な香りが出迎えてくれる。
扉を閉め、鍵を掛け…部屋の奥。
獄寺くんのいる場所へ。
獄寺くんは、未だランボに犯されていた。
「ぁ―――ぁ―――…」
「は―――あぁ―――」
意識がほぼない獄寺くん。
理性がほぼないランボ。
ああ、駄目だこりゃ。
オレはランボを思いっきりぶん殴って意識を飛ばす。
ランボを獄寺くんから引き剥がす。
獄寺くんの秘部から、大量の白濁液が溢れ出てくる。
…これが若さか……
獄寺くんは、虚ろな眼。
その目尻には、涙の後。
…この数日の内、獄寺くんはどれだけ涙を流したのだろう。
オレは一体、どれだけ獄寺くんを泣かせたのだろう。
オレは獄寺くんにそっと触れる。
「獄寺くん」
「………ぅ、」
呼び掛ければ、獄寺くんの意識が僅かに戻る。
その眼がオレを捉え―――獄寺くんはオレを見て…
怯えた。
「ぁ…ぁ―――…」
「獄寺くん、大丈夫?」
「ぃゃ…も、ぅ―――…許して…下さ……っ」
獄寺くんの哀願の言葉。
なんて心地が良いんだろう。
オレは獄寺くんに口付けする。
獄寺くんはもう抵抗しない。
抵抗するだけの体力も、気力も、獄寺くんにはもうない。
「ん―――…」
獄寺くんの唇を、口内を、舌を、たっぷりと味わう。
いつもより時間を掛けて、獄寺くんを犯す。
「ん、ん―――…は、ぁ―――…」
口を離せば、獄寺くんは酸素を求めて息を吸う。
オレは獄寺くんの頬に舌を這わす。
頬から耳へ。柔らかな耳たぶを噛み、息を吹き掛け…囁く。
「獄寺くん、知ってた? 誰もがね、キミの身体を狙ってるんだよ」
「………」
獄寺くんは反応しない。
けれど、その耳には届いているだろう。
オレは更に囁く。
「獄寺くんの身体を見る男の眼。それがどれだけいやらしい視線だったか、獄寺くん気付いてた?」
「………」
「10年来の付き合いの奴も、獄寺くんの部下だって、みんなみんな獄寺くんを犯したいって、自分のものにしたいって。思ってるんだよ」
オレの声は、自分でも驚くほど優しい。
言ってる事は最低だけど。
…オレのこの言葉は、勿論事実ではない。
けれど全くの嘘でもない。
むしろ、どちらかと言うと…
「獄寺くんは、事の元凶は骸だって…あの日、骸が獄寺くんを犯したからだって思っているようだけど…そんなことはないんだよ」
「……?」
「たとえあの日、骸が手を出さなかったからって…いつかはね。獄寺くんは誰に犯されて…こうなっていたんだよ」
それは例えば、同じ守護者だったり、部下だったり、他のファミリーの人間だったり。
可能性はいくらでも。それこそ無限にある。
オレは適当を言ってるわけじゃない。
オレには強い確信があった。
リボーンがいなくて。獄寺くんが無防備で。そして獄寺くんを思う誰かが傍にいたならば。
「信じられない? そんなことないって? でも―――その証拠が、ランボじゃない」
獄寺くんの身体が、震える。
ついさっきまでその身を貫かれていた身体が、獄寺くんに恐怖を思い出させる。
「兄弟みたいに仲が良かったのにね。そんなランボだって―――…一皮剥いたら獣のように獄寺くんを、嫌がる獄寺くんを犯したじゃない」
「―――――ぁ…」
獄寺くんが、反応しだす。
獄寺くんが、崩れ出す。
「嘘だと思う? 嘘だと信じられる? だったら―――試してみる?」
「…?」
獄寺くんの眼が、オレを見る。
オレの言わんとしている意味が、理解出来ないと言っている。
オレは獄寺くんの胸の飾りを、親指の腹で、爪先でいじる。
「ん…っぁ……っ」
散々骸にいじられて敏感になった胸を攻められて、獄寺くんの口から可愛らしい、色っぽい声が漏れる。
オレは獄寺くんの胸を刺激しながら、言葉を放つ。
「有志を募ってみようか。―――獄寺くんを犯したい人募集。って」
「ぁ…っぁん……」
「きっとね。獄寺くんの想像を遥かに超える人数が集まるよ。その中に獄寺くんを放してさ…それは見物だろうね」
「ゃ―――ぁ、は……」
獄寺くんが嫌がっている。
聞きたくないと、首を振る。
その動きも弱々しくて…いじらしくて。
思わず、いじめたくなる。
いや、もういじめてるんだけど。
「有志の中には獄寺くんの知ってる人も知らない人もいっぱいいてさ。嫌がる獄寺くんを無理やり押さえつけてさ。犯してさ」
「ゃ…ぃゃ………も―――ゃ……め、て……」
「飽きるまで犯すことって条件を付けたら、それはどれぐらい続くだろうね。獄寺くんを味わった人からの口コミで人は更に増えて…獄寺くんは朝も夜も、上も下も、休みなしで身体中で…もしかしたら死ぬまで、相手をすることになるかもね」
「ぃゃ……ぃゃ……ぁっ」
胸に与える刺激を、強くする。
空いてる手で、獄寺くんの秘部の中に指を入れる。自分勝手に放たれた欲望を掻き出す。
「ぁ―――ぁあっ」
「こんな量じゃ足りないぐらいの精液を中に出されてさ。掛けられてさ。飲まされてさ―――あぁ、見てみたいなあ」
「や―――ああ!!」
獄寺くんの秘部に入れた指をかき回して、卑猥な音を出させる。
その音は獄寺くんの耳を、オレの囁きは獄寺くんの心を犯す。
ははは。
なんて可愛い獄寺くん。
ああ、本当に―――見てみたかったなあ。
「…なんてね」
「ぁ…は、ぁ―――…」
今オレが言ったことは、もしかしたら実現したかもしれない未来。
なんなら明日、有志を募ってみようと―――本当に思っていたことだ。
あの電話が来るまでは。
だからこそ、残念でならない。
「―――リボーンがね」
その名を出す。
それだけだ。オレがしたことと言えば。
それだけで、獄寺くんの眼に光が戻る。
これだけ酷い目に遭いながら。
これだけ理不尽を受けながら。
まだ希望を失わないなんて。
まだ絶望に染まらないなんて。
なんてつまらない。
でも…決めていたから。
この宴は、この夢は―――…あいつが帰ってくるまでだって。
「明日、帰ってくるんだって」
「ぁ……」
「まったく、嘘みたいでしょ。オレがあいつにどれだけ仕事を押し付けたか獄寺くんも知ってるでしょ? なのに―――全部、終わらせたんだってさ」
「………」
獄寺くんは、何も言わない。そもそも、もうオレを見てない。
あいつが、恋人が、リボーンが帰ってくる。その事実だけで、もう救われた気になっている。
なんてつまらない。
せめて意地悪してやる。
「余程、獄寺くんとセックスするのが楽しみなんだろうね」
「…っ」
「所詮はリボーンも、獄寺くんをこうしたくて仕方ないんだよ」
「ちが…っリボーンさんは…っ」
獄寺くんの否定を聞き流しながら、オレは骸が獄寺くんに施した束縛を、脚の縄を解く。獄寺くんの脚が自由になる。
「…まぁ、それはともかく今日までお疲れ様獄寺くん。…よく耐えたね」
「じゅう、だい…」
オレは獄寺くんを抱きしめる。
そしてそのまま押し倒し、有無を言わせず貫いた。
「―――ぁ…っ!?」
「…朝になったら、解放してあげるよ」
「や…嫌、です、10代目…!!」
獄寺くんが暴れる。
この数分で、随分と元気になったものだ。
恐るべしはリボーン効果。
とはいえ腕の拘束は解いてないし。
今まで散々犯され、なぶられた獄寺くんの身体に体力など残っているはずもない。
だからこれは、ただの空元気。
それでも抵抗する獄寺くん。
なんていじらしい獄寺くん。
…自分で決めた事を、思わず破ってしまいたくなる。
このまま獄寺くんを、連れ去らってしまいたくなる。
ここではないどこかへ。
オレたちを知る人がいないどこかへ。
ボンゴレもマフィアも関係ない、そんな世界へ。
獄寺くんは逃げようとするだろう。
だから四肢をもいで。
獄寺くんは拒絶の言葉を吐くだろう。
だから喉を潰して。
獄寺くんは睨み付けるだろう。
だから眼を抉って。
獄寺くんは噛みついてくるだろう。
だから歯を砕いて。
五感を奪って、四肢を取って、自殺すら出来なくして、ずっと獄寺くんをオレの傍に置いといて。
毎日眺めて、毎日見詰めて、毎日撫でて、毎日抱き締めて、毎日キスして…毎日、抱いて。
それが出来たら、どれだけ幸せだろう。
そうしたい思いを、どうにか押さえ付けて。
我慢したオレを、誰かに褒めてもらいたい気分。
オレは時計を見る。
獄寺くんを自由に出来る時間は、あと3時間ってところだ。
それまで、精々楽しまなきゃなのに。我慢した分、楽しみたいのに。
あまり気分はよくなくて。
リボーンのせいだ。全部、リボーンのせい。
それと骸も悪いし、何ならランボも悪い。
オレは獄寺くんを後ろから…二人の、最初の体位で犯す。
「10代目…っ、この体勢……嫌、です!!」
「またリボーンに上書きしてもらいなよ」
「10代目!!」
獄寺くんがキャンキャン吠える。犬みたいに。
まったく、うるさい。
煩わしい。
憎らしくって。
―――――愛おしい。
ああ、獄寺くん。可愛い獄寺くん。
好きだよ。本当に。
…大好き。
リボーンと、幸せにね。
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