平穏な毎日。ただそれだけが続けばいいと思っていた。


それはとても退屈で、つまらなくて。


けれど幸せで、掛け替えのないもので。


…そんな日々を、キミと過ごしていたいと。





―――――オレはそう、願っていた。










I believed that more these happy daily life continued all the time.










次の日。その日は休みだったので、オレは獄寺くんと二人で町に躍り出て。

仲良くゲームセンターで遊んだり、ファーストフード店で早食い競争をしたり。

それはとても楽しい一時で。だからあっという間に終わってしまって。



けれどその帰り道。事態は急変した。





「……あれ? ツナ?」

「ディーノさん?」

お互い帰る時間になって。獄寺くんと別れたあとすぐに聞き覚えのある声がオレの鼓膜を刺激した。

それは夕日を逆光に背負った、金髪の黒スーツを着た人。…ディーノさん。



「どうしたんですか? あ、リボーンに用事ですか?」

「んー…いや、今回用があるのは実はあくど――」



パパパパパパパパパパパパパパパパッ



聞き覚えのない、耳が痛くなるような大きな音がして。その音を聞いたディーノさんは顔色を変えた。

「な…っ銃声っ!? どういうことだっ!?」



―――銃声。



その意味を理解するのに数秒を要した。そしてそれを認識した途端、全身に冷や汗が流れる。

だってその音がした方向は…先程別れた獄寺くんが向かった先だから。

慌てて銃声の鳴る音の方へと向かう。彼は今武器を持っていない。



…そこに着く頃には、銃声は既に鳴り止んでいて。

そこには倒れている黒服の男と、倒れている獄寺くんと……



「リボーン!」



そう、煙を漂わせた銃を手にしたリボーンがいて。獄寺くんの傍に立っていた。

「リボーン…? これは一体……」

オレは倒れている獄寺くんに駆け寄りながら、リボーンに説明を要求する。



「こいつらがいきなりぶっ放してきやがった」



オレの問いに答えるリボーンの言葉は、いたってシンプルで。

けれど、それなのにオレはそれをそうだと理解するのに時間が掛かって…


そこらの壁を見渡す。先程の銃声に巻き込まれたのだろう、あちこち歪な形を成していて。

もしも人間が当たれば。一瞬で死に至りそうな、大きな銃弾があちこちに転がっていて…



「うそ…だろ……?」



声を出せば、喉はからからで。

「いきなり、撃ってきた…?」

だって、ここは日本で。安全な国で。



こんなところで騒ぎを起こせば、どうなるかぐらい、オレみたいな子供にすら分かるのに。



「―――つまりどんな騒ぎになろうとも。…たとえ自分たちが捕まろうとも。獄寺を葬りたかったんだろ」

事も無げに答えるリボーンの声が、やけに遠い。



「取り合えず場所を代えるぞ。このままだと人目に目立つ」

「そうだな…よし、ツナこっちだ。向こうに止めてある車で移動するぞ」

ディーノさんが気を失ってる獄寺くんをひょいと担いで先導する。

オレはそれに慌ててついて行った。





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分からない、分からない。今オレたちがどんな状況下に置かれているのか。

展開があまりにも速過ぎて。付いていけない。訳も分からぬまま引っ張られている気分。

何が起きているのか聞こうとしても、恐らく一番の当事者の頭の中には。それを説明出来る記憶なんて持ってはいなくて―――