まったくもってついてない。


オレはやれやれとため息を吐いた。



オレはまず暗殺任務から片付けようかと思っていた。思っていて、ターゲットも無事見つけ出した。


見つけ出したのだが…



感付かれたのか、あるいは偶然なのか。あの野郎民衆に隠れやがった。路地に行け路地に。撃つから。


殺気…押さえてたと思うんだけどな。気配だって辺りに上手く溶け込めていたと思うんだが。


あの野郎運良いな。まぁなんにしろ近いうちに消すんだが。



…つか、



オレは目線だけで後ろを見る。…いつしか、この地に着いて間もなく感じた視線が復活していた。


うざい…


むしろあっちを先に仕留めたいのだが、相変わらずこっちが探りを入れると見事に気配が消えて。いまいち距離感が掴めない。場所が見えない。



イライラするな………



オレの腕も落ちたか? それとも勘が鈍ったか。はたまた相手がそれだけ凄腕なのか、判断に苦しむな。


任務初日からこれなんて、まったくついてない。



こういうとき、獄寺がいればいいんだけどな。やる気が出る。


つっても現実はそう上手くはいかず。獄寺はイタリアだし携帯にも何も音沙汰はない。



…ポツッ、と帽子に何かが落ちる。…雨まで降ってきやがった。


空は暗雲。冷たい雨粒。ターゲットは人込みの中。何者かはオレの見えない何処か。身体の調子は悪い。手の痺れがやけに強く感じる。気がする。



…そろそろ直らないか? お前。



はぁ、とオレはまたため息一つ。


こっちの天気は非常に悪い。色んな意味で。





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…なぁ、獄寺。

そっちはどうだ?