どこまで着いてくるつもりなんだ? シャマル。
と、オレはシャマルを見上げて視線で聞いた。
「最後まで」
と、シャマルが返す。
…最後まで? てかシャマル仕事は……
とも思うが、シャマルはオレの思考を遮るように乱暴に頭を撫でる。
「いいんだ。お前の喉は、オレが治す」
………。
シャマルは10年前オレの喉を治せなかったのが余程悔しかったらしい。
あの日。オレに喉は治らないと宣告をしたあのあと、世界各国の治療資料を見ていたのをオレは知っている。
……ありがとうな。
「…ん? 今なんか言ったか? 隼人」
別に。
つか。オレはまだ何も言えないんだってば。
「手術にも立ち会う。治療後も傍にいる。お前の声がちゃんと出るようになるまでオレはここにいるさ」
それは心強いな。
「…まぁ、リボーンが帰ってきたら帰るけどよ」
馬鹿野郎。
「ん?」
リボーンさんが帰ってくる前に帰るんだ。リボーンさんが帰ってくる頃にはオレの声は出るようになってるんだからな。
乱暴に紙に書いて見せてやれば、シャマルはそうだった、と笑った。
忘れんな。馬鹿。
―――リボーンさんからの連絡は、オレには来ない。
…10代目のところには毎日来てるんだろうなぁ………いや定期連絡だろうけど。義務だけど。けど。
ならばオレから連絡をすればいいのだろうけど、それはそれで気が引ける。てか、隠し事は下手なオレと看破するのが得意なリボーンさん。話をすれば内緒にしているこの手術のことがばれそうで怖い。
「隼人? 携帯見つめてどうかしたか?」
別に。
「………はぁ、リボーンは仕事が忙しいんだ。けどちゃんとお前のことを想っているから心配すんな」
分かってるし心配なんかしてねーよ!!!
オレは吼えて咬み付くが、シャマルはそんなオレなど気にせずどこ吹く風だ。
「はいはい。…ああ、手術は夕方からだからな。それまでなんか飲んどくか? 暫く何も飲めなくなるぞ」
そうなのか。それもそうか。喉だもんな。
じゃあ―――――と、オレは口を開いて自販機で売られている一つを指した。
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あれがいい。
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