目を開けたら、見慣れぬ天井が飛び込んできた。
「………」
ええっと、ここはどこだっけ……
ぼやけた頭で考える。なんだっけ。どこだっけ。どうも思考に霞がかかっていて、上手く思い出せない。
てか、なんか、喉に違和感があるわけだが。
喉元に手を伸ばそうとして。その手を誰かに掴まれる。
視線を向ければ、シャマルがいた。
「まだ触んな。治るのが遅くなるぞ」
………。
あー。
そうか。思い出した。オレ喉の治療に来てたんだった。
シャマルは握っていたオレの手を下ろし、オレの頭を撫でる。
「まぁ、よく頑張ったな。手術は終わった。成功かどうかは………お前の喉の痛みが治まらないとわかんねーけどな」
喉の痛み? んなもんねーけど。むしろ痺れてて感触がない。
「ああ、そりゃ麻酔だ。まだ残ってるんだ。でも麻酔が切れたらいてーからな。覚悟しとけ」
分かったよ。
ふっと力を抜けば、目蓋が下がる。暗闇が視界いっぱいに広がる。
声が。出るようになるかも知れない。昔のように。
喉が治ったら。声が出せるようになったら。言いたいことがある。あの人に。
早く言いたい。早くその時が来ればいい。
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いや、まだ分からないんだけど。
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