それから、数日後。


変わらずリボーンさんからの連絡はない。オレはとっくに退院して、ボンゴレに戻ってきたというのに。



戻ってきてから、オレは10代目にリボーンさんからの連絡が来てないかどうかを聞くのが日課になってしまった。来たらすぐに連絡すると言われているが、それでもどうしても気になってしまう。


今日も何の音沙汰もないまま日が暮れてしまった。


けど、オレの足は10代目の主務室へ。



…最後にもう一度だけ、10代目にリボーンさんから連絡がなかったかどうかだけ聞いて戻ろう。そう思いながら、オレは10代目の主務室まで赴いていた。


微かに開かれたドア。そこから漏れるのは室内の光と……10代目の声。誰かと話しているのだろうか。それにしては声が小さいから電話か? ―――よもやリボーンさんか!?


思いついた可能性に、それだけで胸の奥がきゅんと跳ね上がる。もしそうだったら嬉しいのに。そうであれ。


だけど、聞こえた声は。



「ああ―――頼んだ。あいつが行動した後を辿って、捜索して欲しい」



硬い。業務的な事務的な―――無機質な声。


相手がリボーンさんならば、10代目は絶対こんな声は出さないと断言出来た。


オレは部屋に近付くことも遠ざかることも出来ず、部屋に歩み寄るポーズのまま止まっていた。


…あいつ、とは、一体誰のことです?



「徹底的に探して欲しい。ないならないでそれでいいが…嫌な予感が拭えない」



徹底的に、何を探すつもりなんですか?


徹底的に探すのに、なくてもいいものって、なんなのですか?



外れることのないあなたの勘は、一体何を告げているのですか?



結局オレは、主務室に入ることが出来なかった。


入ったら最後。絶望的な何かを突きつけられるような気がして。


考えないようにしていた可能性に、無理やり目を向けさせられるような気がして。



自室に戻ってきたときには、身体が震えていた。気が緩んだら泣いてしまいそうだ。いい年して、情けない。


だけど。例え情けないと思われても。それでもいいから。





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リボーンさんに会いたいと。そう願った。