覚えていますか?


          昔の話です。























「獄寺。好きだぞ」


「え……え、え、え、えぇ!?」


「相変わらずお前はストレートな言葉に弱いな。面白い」


「か、からかわないでくださいっ!!」


「からかう? 失礼な奴だなお前は。オレは本気だ」


「あ、ありがとうございます…じゃなくてですね! いきなりそういうこと言われたら、その…照れるじゃないですか!!」


「好きな奴には好きだって伝えたくなるもんだ。お前はそうじゃないのか?」


「え…? えっと…」


「…そうか。オレだけか。悲しいな。それともお前、オレのこと実は好きじゃないのか」


「ええええ!?」


「なんだ…浮かれていたのはオレだけか。じゃあ恋人だと思っていたのもオレだけなんだな」


「ちょ、リボーンさん!?」


「はぁ…オレは傷付いたぞ。獄寺」


「ま、待って下さい!? オレだってリボーンさんのことお慕い申しておりますしこ…恋人だと! 思っておりますですよ!?」


「そうなのか?」


「そうです!!」


「じゃあお前も、オレに自分の気持ちを伝えてくれよ」


「はい! って、え、えぇ!?」


「どうした? やっぱりオレを恋人だと思っているということは嘘なのか?」


「そんなこと!!」


「なら、言えるよな?」


「は、はい!!」


「じゃあ、言ってみろ」


「はい! ………あの、リボーンさん!」


「なんだ? 獄寺」


「オレは…あなたのことが……」


「オレのことが?」


「………」


「………」


「………、……」


「……………」


「…………………っ」


「…クックック。分かった獄寺。悪かった。悪ふざけが過ぎた」


「うー…すいません、リボーンさん…」


「いい。いつか言ってくれればな」


「…あなたは読心術が使えるのだから、オレの気持ちなんて言葉にしないでも分かるでしょう?」


「まぁ、そうだな」


「でしたら、」


「でもな。獄寺」


「?」











…ねぇ、リボーンさん。


あの日のこと。覚えていますか?


あの時。なんて言ったか。覚えていますか?











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いくら相手の気持ちが分かっていても。好きな奴の言葉で。想いってもんを伝えてもらいてーもんなんだぞ」