この想いを、どうか
そういえば、さ…
獄寺くんにだけは、これまでにただの一回だって、オレの気持ちを伝えてなかったね。
本当はとても…この気持ちを表しきれないぐらい、言葉では言い足りないぐらい、好きだったんだよ。
獄寺くんはどうだった?
獄寺くんもオレのこと好きだった?
オレは照れくさくて、恥ずかしくて。
…自分の気持ちの整理が付かなくて。…結局言えなかったけど。
獄寺くんはそんなオレの気持ちに気付いてた?
…それとも、気付かなかったかな。
変なところで鈍い獄寺くん。分からないところで鋭い獄寺くん。
オレはいつも獄寺くんに振り回されてばかりだったね。
でも、そんな毎日だってオレは楽しかった。
―――キミが、好きだったから。
…ねぇ、獄寺くん。
キミはオレの気持ちに気付いてた?
キミはオレのことが好きだった?
オレは好きだったよ。
昔から。
ずっとずっとキミだけが。
キミはあの日から今日まで、変わらない姿勢と態度を取り続けてきたね。
それはとても嬉しかった。
…そして、とても悲しかった。
限りなく近付こうとするくせに、肝心な所で一歩身を引いて。
それが、とても悲しかった。
所詮オレは10代目で、キミはそれのただの右腕なんだと。そう思わせるのに十分だったから。
…ああ、こんなことになるのだったらキミにこの想いを伝えておけばよかった。
キミと友を超えた関係になりたかったと。
ボスと部下よりも上の関係になりたかったと。
恋人よりも甘い関係になりたかったと。
…キミを、愛していたと。
もう、この思いを伝えることは出来ないけれど。
伝えても、今の関係に何の変化も起きなかっただろうけれど。
それでも―――
…キミに、オレの想いを伝えたかった。
キミが、いなくなってしまう前に。
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キミが隣にいる夢を見て。
キミと笑う夢を見て。
…起きた現実に、絶望して。
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