気付けば目の前にあなたがいて。


優しい笑みを浮かべ、オレの名を呼んだ。





   リボーンさん?





呟くオレの言葉は、声として出ただろうか。


確かに言ったはずなのだが、オレには聞こえなかった。


対してリボーンさんは笑みを崩さぬままオレに近付き、オレに触れてくる。





   ん………





触れられただけなのに、オレの身体がぴくりと震える。


優しい指先に引き寄せられ、リボーンさんに抱きしめられる。





   リボーン、さん…





思わず零れたあなたの名は、やはりオレの耳には届かない。


リボーンさんがオレの耳元で、オレの名を呼んだ。





   ぁ………っ





吐息が漏れる。


耳は、駄目だ。ましてやあなたの声で、更にはオレの名を呼ばれるなんて。





頭がどうにかなってしまいそう。


思考が纏まらない。


そもそもここはどこで、


どうしてあなたは、オレの身体を、そんなに優しく触れてくるのだろう。





確かにオレたちは、恋人同士という関係なのだけれど。


それでも今までしたことといえば、手を繋いだりだとか、抱きしめあったりだとか、触れるだけのキスだとか―――そのぐらいだったのに。





   リボーンさん…駄目…駄目です……





オレは何とかリボーンさんと距離を置こうとする。されど力は全然入らない。


リボーンさんは押し退けようとするオレの手首を掴み、もう片方の手はオレの首筋へ。


長い指先に、なぞられる。


たったそれだけだ。たったそれだけなのに。


オレの背筋はビクビクと震え、言葉にならない声が漏れる。





   ―――駄目か?





リボーンさんは笑みを浮かべたまま、オレにそう問いかけてくる。


正直に言うと、駄目ではない。


リボーンさんが求めるのならば、オレはそれに応えたい。





だけど。





これは…あまりに急すぎるというか。


初めてだから………やはり。少し。怖いというか。





ああ、オレは今まで幾度と修羅場を超えてきたというに。


まるで生娘のように、性行為に怯えるだなんて。





―――不意に胸に強い感覚を覚え、思わず声が出た。





見ればリボーンさんはオレの衣類をはだけさせ、胸の飾りを摘まんでいた。


リボーンさんの爪先が、胸先をくすぐる。





   ぁ…ぁ―――っ





未知の感覚に、力が抜ける。


立ってなんて、いられない。





リボーンさんに寄りかかってしまったオレを、リボーンさんは一度優しく抱きとめて。


オレを横たわらせ、下の衣類も剥ぎ取った。


リボーンさんに少し触られただけなのに、オレ自身はもうそそり立っていて。


それをリボーンさんに見られていると思うと、羞恥で気が狂いそう。


リボーンさんの細い指が、オレ自身に触れる。





   あ―――っ





そればかりか、ああ、リボーンさんの口が、オレ自身を―――


思わずオレは眼を閉じた。





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