ここがどこだかすら分からない。


眼が醒めたら、オレは薄暗い場所にいて。


眼の前には、骸が嫌な笑みを浮かべていた。


オレの衣類は全て剥ぎ取られていて、身体は骸の幻術で身動きが取れぬ状態で。





ああ、もう、なんなんだこれは。





幻術により生み出された植物の蔓のようなものが、オレの自由を奪っている。


腕は一つに纏められ頭の上に。脚は―――左右に大きく開かせられ、骸の前に晒されていて。


しかも蔓からは変な粘液が滴っていて、それが肌に絡みついて―――ああもう気持ち悪い!!!





「気持ち良いですか?」


「………」





答える代わりに、骸を睨みつける。


殺す。こいつは絶対に殺す。


オレはリボーンさんのなのに、こんな、こんな…





「まあまあそんな怖い顔しないで。折角なんですから隼人くんも楽しみましょうよ」





何が折角だ。


骸はオレに顔を近付ける。


嫌な笑みを張り付けたまま―――オレに告げる。





「さっきまであんなに気持ち良さそうに喘いでいたじゃないですか」


「―――っ」





蔓が動き出す。


ああ―――やめろ。


蔓が耳を、首筋を、胸を、臍を―――オレ自身を、まさぐりだす。





「ん―――んんっ」





ビクビクと、身体が震える。


蔓から出ている粘液が、肌と蔓とを擦れて、嫌な音を響かせる。





「可愛いですよ、隼人くん」





骸の声も、どこか遠くに聞こえる。


…今はこの感覚を、身体から追い出さなければ。


唯一動かせる首を振って、蔓の感触を逃そうとする。


けれど中々上手くいかない。


身体に熱が溜まるのが分かる。


蔓が、オレ自身を痛いほど激しく扱いてくる。





「ぁ―――ああ!!」





このままでは先程の二の舞だ。


さっきはここで達して、気を失った。





息が荒くなる。





達しそうになるオレ自身の根を、蔓が強く締め付けた。


強い痛みに、悲鳴にも似た声が出る。


骸の手が蔓と一緒にオレ自身を扱き出す。


二つの異なる感覚に、締め付けられる痛みに、頭の中が真っ白になる。





「や、め……」


「いきたいですか?」





骸は手の動きを強めながら、速めながら。







「いかせて下さいって、可愛くおねだり出来たら、いかせてあげてもいいんですよ?」








そんなことを、オレの耳元で告げる。


…ふざやがって。





「だれ…が……」





骸は笑みを崩さない。


それどころか、満足そうな顔をして。





「隼人くんはやはりそうでなくては」





骸の口元が三日月に歪む。


身体中を蠢く蔓の動きが激しくなる。


蔓の先端が四方割れ、オレの肌を吸い付く。


それは執拗にオレの胸をねぶり、オレ自身の先端をなぶってきた。





「ゃ、あ―――」





粘液が擦れる音と、オレの堪え切れない声が辺りに響く。


その音を、オレの痴態を、骸は楽しそうに眺めている。





「もっと気持ちよくさせてあげましょうね」





骸が指を鳴らす。


急激に蔓が増え、オレの秘部をまさぐりだした。





………まさか。





そのまさかは的中し。


大小様々な蔓は粘液を出しながら、オレの中に無理やり入ってきた。





「ああ―――や…あ!!」





嘘であってほしい。


冗談であってほしい。


夢であったら、どれほどよかったか。


されどこれは現実で。





オレは今、複数の蔓に犯されていた。





蔓達はオレの奥まで入り、そうかと思えば一気に下がり、また入ってきて…中の肉を抉る。


オレの思考が嫌悪感に支配される。


なんて気持ち悪い。


気付けば、オレの視界は滲んでいた。


オレは…泣いているのか?


唖然とする中、口内にすら蔓が入ってきた。





「―――ん、んん!!」





蔓はオレの口を、喉を犯す。


苦みが口の中を支配する。粘液の味だ。喉に絡まり、呼吸が出来なくなる。


身体の上も、下も、外も、中も蔓が暴れ回る。





オレは―――ここで死ぬのだろうか?





死をも覚悟したその時。


急に身体中の蔓が霧散し。


薄暗い空間も消え果て。


気付けば視界に映るのは見慣れた天井。それはオレの自室の寝具から見上げる景色。


夢…ではない。


その証拠にオレの身体中には、先程までの蔓の感触がまだありありと、生々しく残っている。





「…獄寺」





ふと、聞こえた愛しい声。


声のした方に目を向けると、そこにはリボーンさんが立っていた。





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