「…リボーンさん…オレはもう大丈夫ですから、リボーンさんのお好きなように動いて下さい」
「獄寺…だが……」
なおもオレを気遣い、遠慮するリボーンさんに嬉しく思う反面、少しだけ腹も立ってくる。
オレが良いと言っているのだから、動いてくれて全然構わないのに。
リボーンさんが動かないのなら…
「ん…」
「ごく…」
オレは腰を、円の字に動かした。
いや、上手くは出来なかったけど。円というか少ししか動けなかったかもしれないけど。
だってほんの少し動いただけで、背筋から脳天まで電気が走ったのだから。
もしかしてこれが…快楽、と呼ばれるものなのか。
「獄寺…」
リボーンさんが低い声で、オレの名を呼ぶ。
それだけでオレは震え、そのかすかな動きでさえ、電気が走る。
「お前…オレがどれだけ堪えて、今を耐えてるんだと思ってるんだ……」
リボーンさんがオレの腰を持ち直す。
その手は、燃えてるんじゃないかと思うほど―――熱くて。
「もう、とめられないからな」
そう、言い終わると同時、リボーンさんは激しくオレを突いてきた。
電撃のような衝撃が、オレの全身を貫く。
「あ―――――!!!」
思考が霧散する。脳内が焼ける。眼の前が真っ白になる。
オレの中で暴れ回るリボーンさんが、あの場所を…とてつもなく感じるところを、擦った。
「あ…ああああ!!!」
甲高い声が響く。…それはにわかには信じ難いが、オレの声だった。
リボーンさんはその場所を何度も何度も突いてくる。
もう、これは、電気だとか、電撃だとか、そんなレベルじゃない。
一度貫かれる度に、殺されているようなものだ。
内側から燃え尽くされる。
抉られる度に身体を削られていく。
行為が終わる頃には、もしかしたらオレはこの世に残っていないんじゃないか?
そんなことすら思ってしまう。
でもそれも悪くないなと感じるオレもいて。
いやいや、それは困ると冷静になってるオレもいて。
室内に響く、オレの喘ぎ声と、リボーンさんの吐息と、肌と肌がぶつかる音と、体液が混ざり合う音。
やがて―――リボーンさんはオレの中から入れていたものを引き抜いて。
「あ―――!」
「………っ、」
その衝撃で、オレは何度目になるかも分からない絶頂を迎え。
リボーンさんはオレの背に熱いものをぶちまけた。
………。
あれ?
「―――え!? 中に出さないんですか!?」
「ゴムも付けてないのに出すわけないだろ…緊急事態とはいえ生でしちまったのすら誤算だってのに」
「え、でも上書き…」
「…中に出されたのか?」
「出されたといいますか、変な液を滴らせている植物の蔓みたいなのが何本もオレの中を出入りしました」
「よし、骸今度見つけたら拷問して殺す」
それは別に構いませんけれど。
………あのリボーンさんの熱いものがオレの中で弾けたなら、どんな気分だったのだろう。
「………」
「…獄寺?」
オレはリボーンさんを見つめる。
正確には、さっきまでオレの中を暴れ回っていたリボーンさん自身を。
…大丈夫……初めてだけど、きっと出来る……
オレはリボーンさん自身を、手で包み込む。
「ごく…でら…?」
「リボーンさん、もう一回しましょう」
「―――は!?」
珍しい。あのリボーンさんがこんな素っ頓狂な声を出すとは。
「…お前、初めてだっただろ。身体の負担を考えろ」
「リボーンさんはオレとしたくないですか?」
「したいけれどだ。これ以上はお前の身体の負荷が…」
リボーンさんはいつでも、いつだって、オレの事を一番に考えてくれている。
それはとても嬉しい。素直にそう思う。
けれど。
オレは手の中のリボーンさん自身をゆっくりと扱く。
「こ―――ら―――」
「痛いですか?」
「気持ちいいけれどだ。ただでさえお前は今体力を消耗して…―――!?」
気持ちいいと言ってくれたことと、なおもオレを気遣うリボーンさんが嬉しくて。
オレはもっとリボーンさんに気持ち良くなってほしくて。
オレはリボーンさん自身の先端に口付けしていた。
先程までオレの中に入っていたリボーンさん自身を。
「ん―――」
「獄寺…こら、離さないか……」
リボーンさんだってオレが嫌がっても中を舐めるのやめなかったじゃないですか。お返しです。
眼でそう訴えて、オレはリボーンさん自身に集中する。
筋を舌でなぞり、そっと…口に含む。
…どうすれば気持ち良くなってもらえるのだろう。
オレの手持ちの材料といえば、先程リボーンさんにしてもらった経験だけだ。
それを頼りに、似た手順で、リボーンさん自身を舌で刺激していく。
「ん…ん……」
「獄寺…こら……」
リボーンさんの言葉に力がない。
代わりに、オレの口の中のリボーンさん自身が大きくなっていく。
…もしかして、オレで感じてくれているのだろうか。
―――嬉しい。
…あれ、なんか、変な感じ……
オレの顔が、身体が段々熱くなっていく。
「んん……」
「獄寺…離せ」
リボーンさんがオレを押し退けようとする。
え、嫌ですけど。
オレは腕をリボーンさんの足に絡ませる。
「ごく…でら!」
「ん―――」
リボーンさん自身が一瞬大きく膨らみ。
オレの口内に、苦い味が広がった。
「ん、ん……」
咽そうになるのを堪えながら、飲み込んでいく。
ふと見上げれば、リボーンさんが恨めしそうな眼でオレを見ていた。
「お前……」
…知りませんもん。
オレはリボーンさん自身に付いたものも舐め取っていく。
なんか…すごく、変な気分……
…はしたないやつだと、引かれてないだろうか。
ぼんやりとする頭。眼を瞑れば、オレの口内にあるものにより意識が向いた。
「―――っ」
…あ、少し、大きく…なった。
………なんだか、可愛い…かも。
「…お前、いつまで咥えてるつもりだ」
「あ…」
リボーンさんに強い力で引っぺがされた。
リボーンさんはしかめっ面。
…怒らせてしまった。
「…初めてのくせに、よくやる」
「え、こういうときってこうするんじゃないんですか?」
オレはあまり性に興味はないのだが、それでも耳に入ってくる情報もある。
それを総動員させてみたのだが…はて。何かおかしかっただろうか。
リボーンさんがため息を吐いている…
「…まあまあ、オレ蔓に口どころか喉奥までやられたんで、これも上書きの一環ですよ」
「あの野郎…」
「…それより、その……」
オレはリボーンさんを抱きしめ…そのままゆっくりと押し倒す。
リボーンさんはオレを見つめ…何故だか身体を強張らせ、冷や汗をかき始めた。
「え、もしかして今度はオレが入れられる側か?」
「え? い、いいえ、そうじゃなくて」
オレはリボーンさんにまたがり、秘部をリボーンさん自身にあてがう。
「次は、その…こういう感じで…」
「馬鹿、慣れないことをそんな体勢でしたらお前の身体が…」
「でも、オレ…リボーンさんの顔、全然見れませんでしたし…」
そう。
そのことが、さっきの行為で不満だったのだ。
リボーンさんがオレの身体を第一に考えてくれているのは分かったけど。
でも、やっぱり…後ろ向きは…ちょっと……
「だからって…」
「ん………」
なおも何か言おうとするリボーンさんを無視し、オレは腰を落とす。
「ん―――!!」
「獄寺、そんな無茶な動きするな…入れるなら、ゆっくり―――」
「でも…」
オレはリボーンさんに気持ち良くなってほしいのだ。
オレのペースで入れていたら、またリボーンさんに我慢を強いらせてしまう。
それは…オレは……
「いいから、分かったから、お前のいいように動くんだ。…オレは十分、気持ちいいから…」
「リボーンさん……はい…」
リボーンさんに諭され、オレは一度深呼吸をする。
息を整え、少しずつ…リボーンさんを迎え入れる。
「は……ぁ―――」
少し入れては止め、少し落ち着いてからまた腰を動かし、入れる。
吐息が、声が、漏れる。
さっきはそんなこと考える余裕もなかったけれど、オレ、今―――リボーンさんと一つに、なってるんだ。
胸の中に熱い何かが込み上げる。
何故だか涙さえ溢れてきた。
「獄寺…?」
「なんでも…ないです……」
オレの腰の動きが、先程よりも早くなる。
漏れる声の音量も大きくなって。
だけど、身体は止まらなくて。
いつの間にか、リボーンさんはオレの中にすべて入っていた。
「は―――ぁ…」
「獄寺…」
リボーンさんの声に眼を開ければ、リボーンさんと視線が合う。
視線が、熱い。
でも、リボーンさんの顔が見れて…嬉しい。
…ん?
あれ…もしかして…すごく当たり前のことだけど。
オレの今の顔も、リボーンさんに見られているのか…?
いや、オレの場合は顔どころか、身体も。
途端に、なんだか、ものすごく恥ずかしくなった。
急激に感じる羞恥に、思わず身が捩れる。
その動きで、リボーンさんがまた大きくなり―――オレの感じるところに触れた。
「あ――!!」
「…獄寺」
「ぁ…ぁ…ん……」
リボーンさんがオレの腰に手を添える。
その手は、とても熱くて―――
「悪い…そろそろ、動きたいんだが…」
「はい…はい、お好きに…動いて、下さい……」
オレがそう言い終わると同時。
リボーンさんの腕が、腰が、動き出す。
「は―――あぁ…っ」
はしたない声が、溢れる、零れる。
だけど、今のオレはさっきまでの、余裕のないオレではない。
オレも―――僅かではあるけど―――腰を動かし、リボーンさんに奉仕する。
「ごく…」
「ん、んぅ……」
リボーンさんがまた大きくなる。
オレたちが重なっている部分から水音が響く。
「リボーン、さん…好き…好きぃ……」
心臓が爆発しそう。
血液が蒸発しそう。
身体が…溶けてしまいそう。
「あ―――あぁっ!!」
「獄寺…そろそろ……」
「はい…中に、出して…くださ……っ」
「だが…」
なんと、なおもリボーンさんは迷っているらしい。
むしろまた外に出そうと、オレから出ていこうとしているではないか。
………。
やだ。
それは、絶対に、やだ。
「ん―――」
「こら、獄寺!!」
オレはリボーンさんを押さえつけ、腰の動きを速めた。
と言っても、オレの力などリボーンさんからすればたいしたものではない。
リボーンさんがその気になれば、あっという間にオレたちは離れられるんだ。
だからオレに出来るのは、懇願だけ。
「お願い、します…っリボーン、さん―――」
「………」
リボーンさんは、困り顔。
けれど、やがてそれは真剣な表情へと変わり―――
「…分かった、オレの負けだ、獄寺」
「ん、んん―――っ」
リボーンさんがまた動き出す。
今までにない、激しい動き。
眼の奥がチカチカする。
リボーンさんが、ひときわ大きくなり―――
オレの中に、熱いものが放たれた。
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