「む…くろ……」





獄寺くんが、その名を呟く。


その眼には、光が。


暗く燃える―――憎悪の光が。





「こ…ろす…お前は、お前だけは―――!!」


「おお、怖い怖い」





獄寺くんにとって、骸は全ての元凶なのだろう。


身体を、心を穢してきただけでも業腹なのに。


きっと…獄寺くんからしたら、獄寺くんから見たら―――





「お前が…10代目を……!」





うん。そうなるよね。


獄寺くんからしたら、きっとそう見える。


違うのにね。





「それは誤解です」


「うるさい!!」





獄寺くんは骸の言葉に耳を貸さない。


獄寺くんにとって、骸は全てを押し付けられる恰好の獲物だ。


むしろそうでもしないと、何でもいいから無理やりにも、強引にでも何かのせいにしないと心が壊れてしまうだろう。


骸は苦笑いして―――


その身から、霧を出す。


それを見て、オレは静かに告げる。





「骸。―――獄寺くんに幻術を使ったら、殺す」





骸の動きが止まる。霧が霧散する。


幻術は、駄目だ。


だって骸は―――獄寺くんを殺す気だから。





あの日は、多分大丈夫だってオレの直感が言っていたから放置したけど。


でも、今はオレが止めないと。





…リボーンを怨んでいる骸。


そのリボーンを最も苦しませる方法。


恋人である獄寺くんを辱めて殺し、殺してなお、その心を凌辱し続ける。


それをリボーンに知らせたら。いや、まあその顔は見物だとは思うけど。


でも、駄目だ。





「…仕方ないですねえ」





骸はしょうがないと、やれやれと言わんばかりに呟き、姿はそのままで存在感だけ増した。


幻術から本体に切り替わったらしい。


そしてそっと、獄寺くんに触れた。





「触んな!!」


「まあまあ、絆を深めましょうよ」





獄寺くんの睨みなど、骸にとっては何の効果もない。


むしろ、嗜虐心が増されるだけだろう。


その証拠に―――骸は、嫌な笑みを浮かべていた。





「しかし隼人くん、あなたはアルコバレーノの恋人のはずでしょう…? 一体綱吉くんと何してるんですか?」


「―――――っ」





言いながら、骸が獄寺くんの背を下から上になぞる。獄寺くんが震える。





「ん…っ」


「背中も弱いんですか? なんて愛らしい」


「ふざけ―――…ぅぁっ」





骸が獄寺くんの耳を攻める。


獄寺くん、耳弱いもんね。


獄寺くんの身体に力が入り、オレ自身が締め付けられて気持ちいい。





「やっぱりあれですか? ボンゴレに身も心も捧げた者として、夜伽ぐらい当たり前って感じですか?」


「馬鹿野郎、オレは…オレは―――!!」





獄寺くんの身も心もリボーンのもの。


悲しいけれど、それが現実。


それを、オレは無理やり奪っただけだ。


骸も、もちろんそんなこと分かりきってる。


聞くまでもない。何も言わなくても、獄寺くんの腕を縛る縄を見れば、それだけで。


全て分かりきった上で、獄寺くんを言葉でなぶる。


…性格悪いなあ。





骸は言葉で獄寺くんの心を、指と口で獄寺くんの身体を攻める。


耳元で囁きながら、首筋をついばみながら、指は獄寺くんの胸を、獄寺くん自身をいじる。


オレにその身を貫かれながら、自由を奪われながら、別の男に…忌み嫌っている男に身体をもてあそばれる。


それはどれだけ獄寺くんの心を抉るだろう。


なんて―――ゾクゾクする。


オレ自身が、大きくなった。





「あ―――っ」


「クフフ。ほら、隼人くん。敬愛する10代目にご奉仕しないと」





骸が獄寺くんの腰を掴み、乱暴に動かす。





「やめ、あ、あ、あぁっ」


「獄寺くん、気持ちいいよ」


「ほら、綱吉くんもそう言ってる」


「や―――だ、ぁっ」





もともと、そろそろ出そうかと思ってたぐらいだ。


オレは獄寺くんの中にまた欲望を出す。


今度は獄寺くんもそれが分かったみたいで、呆然とした顔をして、身体を震わた。





「ぁ―――ぁ…」


「ほら、隼人くん。休んでる暇はありませんよ」


「ゃ―――」





骸は獄寺くんの身体を使いオレ自身を扱き、また膨張させる。


そしてまた獄寺くんの中へ。





「ひ―――ぅ―――」





獄寺くんが小さな呻き声をあげる。


骸は嫌な笑みを浮かべている。


ああ―――これは…


獄寺くんも、可哀想に。





「え―――…」





獄寺くんの頭が骸の手によってオレの胸に押し付けられる。


骸はオレが入ったままの獄寺くんの中に、入ろうとして来ていた。


ただでさえ、獄寺くんの中は狭いのに。


そもそも、獄寺くんは性の経験が少ないのに。


なんて可哀想な―――獄寺くん。





「や―――無理、入るわけ…やめろ!!!」


「大丈夫。死にはしませんから」





骸は獄寺くんの制止も聞かず無理やり入ってくる。


オレは抵抗しようとする獄寺くんの肩を抱きしめ、その僅かな足掻きでさえ阻止する。





「10代目…っなんで―――」


「みんなで気持ち良くなりましょうね」


「やめ…っ」





骸がじわじわと入ってくる。


骸は三日月の笑みを浮かべている。


…きっと、オレもまた同じ笑みを浮かべているのだろう。


ふと、そう思ったとき。


獄寺くんの中に、骸が一気に入り込んだ。





「あ…ああああああああ!!!」





獄寺くんの悲痛な叫び声。


ああ、裂けちゃったんだね。


なんて―――可愛そうな獄寺くん。





「気持ち良いですよ隼人くん」


「あ…あ―――ぁああ!!」





骸が獄寺くんの中を暴れ回る。


わざと、傷を広げるように。


オレも獄寺くんの中で動き出す。


二つの異物が、獄寺くんを蹂躙する。





「は―――ぁああ、あ…っ」





獄寺くんの苦痛の声が響く。


ああ、なんて可愛い、愛おしい獄寺くん。


オレたちは何度も何度も果てた。


―――獄寺くんの中で。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・